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ゆゆ勝手に映画評(2023

kittomitukeru

「きっと見つける」

ロブ・ロウ主演他。恋人に振られ失意のどん底に落ちた大学4年のフィールディング(ロブ・ロウ)。友人の励ましも効果はなく、ある出会いをきっかけに保護犬の子犬ゴンカーを飼うことにする。フィールディングはゴンカーと楽しく過ごし立ち直るが、卒業後の進路を決められずに実家に戻ってくる。そんな中、ゴンカーがアジソン病という腎不全の病気を患っていることが判明。ゴンカーは30日に1回注射を打たないとならない。そんな中、フィールディングは友人とゴンカーを連れて山へ出かけるが、ゴンカーがキツネを追いかけて行方不明になってしまう。注射の効果が切れる20日以内にゴンカーを見つけ出さないと、彼は死んでしまう。フィールディングは家族や地域住民たちと協力して必死の捜索に乗り出すが・・・。実話をもとにした心温まるヒューマンドラマ。

4点!!最近、自分でもびっくりするほどペット依存状態なので鑑賞。実話ベースだから、見つからなかったけど人生の糧になったね方面だったらどうしようかと思ったけど、そんなことも特に意外性もなく、ドストレートな作品。「101」の監督です。シンプルなストーリーだけど1時間半という短い時間に収めてくれているので間延びすることもなく観やすかったです。ポイントはダメンズウォーカー代表みたいな主人公かなぁ(^^;) ビアボング舐めさせちゃうし、仕事中の父親に丸投げにして自分で世話もしないし、首輪もつけないし、ゴンカーが前日の夕食を次の日の昼過ぎになっても食べていなくても気づきもしない、飼い主としてもダメンズ過ぎるし、人としても自己肯定感だけ高く行動出来ない現代っ子代表みたいな。そんな飼い主だから、起こるべくして起こった事故ともいえるけど、アメリカの捜索態勢の規模に驚かされました。アメリカのこういう善意の和が広がりやすい文化は見習いたいと切に思います。意外性はないけれど、人と人とが理解し合えることとか、後悔や落胆、悲しみ、願いがちゃんと伝わってくる良い作品です。2023年劇場未公開・NETFLIX作品。

「ちひろさん」

有村架純主演他。きっと彼女に、会いたくなる―。ちひろ(有村架純)は、海辺の小さな街にあるお弁当屋さんで働く元・風俗嬢。ちょっと口が悪くて、マイペース。そして自由。そんな彼女は街では浮いている。へんな“おとな”だ。でもなんでだろう。彼女に会いたい。ひとり母をの帰りを待つ小学生。誰にも本音が言えずにいる女子高生。そして無口なホームレスのおじさん・・・ちひろの優しくない言葉と素っ気ない態度が、さびしくて不思議とあったかい。この不思議を体験しに、さあ、ちひろさんに会いに行こう。熱狂的支持を集める漫画「ちひろさん」が、ついに映画化!ようこそ。主演:有村架純×原作:安田弘之×監督:今泉力哉が生み出す世界へ。

3点!!原作は序盤だけ読んでます。気まずさのカオスが売りの今泉監督が好みそうなテーマだなぁと観始めましたが、今泉作品の牙が全部抜け落ちてしまい、ふんわりボンヤリした話になってしまっていました。映画としての起承転結というかメリハリがない。でも、問題にするまででもないけれど問題にしておかないと後々チクチク痛みだすような色んな人たちの傷は絶妙に描けていたと思います。ちひろの傷跡にもう少し斬り込んでくれた方がメリハリが出たし、ちひろの魅力が増して、彼女をもっと観ていたいと思えたと思う。ただの良い話、良い出会いになってしまっているのが残念です。お弁当は美味しそうで食べたくなりました。2023年公開。

「彼女の面影」

アリソン・ブリー主演他。故郷に帰省したTVプロデューサーで仕事人間のアリー(アリソン・ブリー)。偶然、再会した初恋の人ショーン(ジェイ・エリス)とともに思い出にふけるが、ショーンにはキャシディ(カーシー・クレモンズ)と婚約していた。キャシディに会ったアリーは、ショーンを取り戻そうとバチバチの火花を散らすが、キャシディを知るにつれ彼女の姿にかつての自分を重ねていき・・・。大人の為のひと夏のロマンティック・コメディ。

5点!!まぁまぁ高評価だし観なくちゃいけない事情があったので観ましたが、眠っ怠っ!途中、落ちそうになりながら、Amazonオリジナルにしては珍しくハズレかな?と思っていましたが、後半になるにつれ人間関係の変化とラブコメが得意なアリソンの良さが出てきて、ラスト良い感じにまとまっていました。大人のひと夏の成長物語って感じです。大人の場合、新しい体験で成長ではなく、過去の後悔と向き合い成長なんですよね。どちらも切なさを伴うけれど、大人の方が生きてきた分だけ切なさが積み重なっているから共感出来て辛い~私もショット煽りたくなりました(爆)カーシー・クレモンズがチャイナ・アン・マクレーンに似てて途中何度も同一人物が検索かけてしまった(^^;) 大人になればなるほど、自分を変えるのは大変だから相手を変えようとしがちだけど、自分が変わらないと状況は良くならないんだよね・・・これは人によっては相当キツイ作業で、だから本作は私には耳に痛かったです(涙)本当の私って何だろう?大人で積み重ねてきたものの重さで身動きが取れなくなっている方にオススメしたいライトコメディです。2023年劇場未公開・AmazonPrime配信作品。

「非常宣言」

ソン・ガンホ主演他。高度28000フィート、バイオテロ発生。それぞれの選択が運命を決める。娘とハワイへ向かう飛行機恐怖症にジェヒョク(イ・ビョンホン)は、空港で執拗にふたりにつきまとう謎の若い男(イム・シワン)が、同じ便に搭乗したことを知り不安がよぎる。離陸後まもなく1人の乗客男性が死亡。直後に、次々と乗客が原因詰めいで死亡し機内は恐怖とパニックの渦に包まれていく。副操縦士のヒョンス(キム・ナムギル)は、乗客の命を守るため奮闘するが、飛行を続けるタイムリミットが迫り、「非常宣言」を発動。しかし、期待はついに操縦不能となり、地上へと急降下していく。見えないウイルスによる恐怖と、墜落の恐怖が乗客を襲う。妻とのハワイ旅行をキャンセルしたベテラン刑事のク・イノ(ソン・ガンホ)は警察署にいた。飛行機へのバイオテロの捜査を開始するが、その飛行機は妻が登場した便だった。テロの知らせを受けた国土交通大臣のスッキ(チョン・ドヨン)は、緊急着陸のために国内外に交渉を開始する。地上にいる人々に、高度28000フィート上空の愛する人を救う方法はあるのか―!?混乱の渦に包まれたK1501便が迎える運命とは?

9点!!新幹線の次は飛行機か。でも多分、船はない(^^; この世代の韓国人俳優は泳げない)。てか国際航空法どうなってんのよっていう。非常宣言、拒否権ないはずなのに世界中が拒否って(爆)冒頭からショッキングでグロい映像連発させて一気に緊迫感高まりドキドキした。ホラーかよっていうくらい怖い。てかイム・シワン、普段イケメン枠なのに夢に出そうなくらい怖かった。韓国の俳優さんって若手でもホラーな表情が皆上手くて本当にほの暗い怖さがある。飛行機が傾く際の映像も凄かった。日本じゃ作れないし、心にくるショッキングさでいってもハリウッドでもあまりこういう見せ方はしないと思う。人間の負の部分をグリグリ削ってくる感じ。てか、なんで酸素マスク降りてこないの?韓国の機体、酸素マスク21個しかないデンジャラスな機体が普通なの?(怖)話は航空法に戻って、ダイヤモンド・プリンセスの後、日本は海域にいる感染者を乗せた船を受けて入れていない(実はあの後もかなりの数が海で漂流していた)。今後、対応を変えるのかどうかはわからないが、成田のあの対応だけはあり得ないと思った。日本は上空侵犯されても殆ど威嚇射撃をしたことがないし、押されたら押し返す力のない国だ。ましては民間人が乗っている機体にあんな危険な威嚇が出来るわけない。軍事力がある国は他国も同じだと思っているのだろうか?戦争がなくならないわけだ。偶然か必然か、ウイルスの怖さもワクチンの危険性もどちらも描いているタイムリーな作品だった。韓国はとにかくエンタメ映画にかけてはてんこ盛りが大好きで、今回も飛行機なのにカーチェイスも銃撃戦もやや強引にねじ込んでいて凄いなと思ったら、ウイルスとワクチンのリアルまで入れてきたから、今後、ハン・ジェリムの作品は見逃せない。「観相師」も良かったし。本作はカンヌに正式出品されているが、「シークレット・サンシャイン」のソン・ガンホとチョン・ドヨンが再び共にカンヌに降り立ったというのも胸アツ。イ・ビョンホンは特に好きではないがそれでもスキャンダルを吹き飛ばす上手さだった。映画館の大スクリーンで観たかったな。リアルな世界はいつになったらウイルスの脅威から救われるのだろう(涙)2023年公開。

「ハンガー 飽くなき食への道」

チュティモン・ジョンジャルーンスックジン主演他。タイ・バンコクの旧市街。家族が営む食堂で働く20代の女性・オエイ(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)は、ある日客の一人に才能を見いだされ、タイきっての高級料理店のシェフチーム「ハンガー」で働くことになる。チームを率いるシェフのポール(ノパチャイ・チャイヤナーム)は、独創性あふれる最高の料理を追求する一方で、スタッフに対して独裁的に振る舞う人物だった。常に完璧を求める彼にしごかれる中、オエイは自身の限界と料理への熱意を試されてゆく。若きシェフの葛藤と成長を描いた人間ドラマ。

10点!!「バッド・ジーニアス」のリンちゃんことチュティモン・ジョンジャルーンスックジン最新作。「バッド~」同様、ひと癖ある骨太な人間&社会ドラマ。タイの貧富の差問題、ここ数年で一気に一般化した人々の承認欲求、シェフたちの生きざまとそれに対する客の反応に刺激される“自らが食べることのどこに重きを置いているか?”問題が二転三転のその先まで描かれていて満腹感を味わえる作品です。同じシェフもの「ザ・メニュー」に酷似していて、言わんとしていることも少し被るけど、ちゃんとオリジナリティがあって最後までサスペンスフルでじっくり楽しめます。駄々っ子麺、味が濃そうだけど食べてみたくなりました。あーお腹空いた!(^^) 2023年劇場未公開・NETFLIX作品。

「母の日にアディオス!」

新婚夫婦のリディア(ガラ・モステス)とマヌエル(ミシェル・デュバル)はお互いの家族に一度会ったきり。そんな彼らとその家族が母の日に再び集合することに。でも家族には、バレてしまったら何もかもを変えてしまうほどの重大な秘密があった。夫婦それぞれの母親であるエスメラルダ(アネット・ミッシェル)とロサ(レティシア・レジャラ)はその危機を知った時、この一日を乗り切りきるために共闘することに。家族それぞれが抱える秘密とは?それぞれの秘密が明らかになった時、皆が無事に母の日を乗り越えることはできるのか?世界の母親たちにエールを贈るメキシコ発ホームコメディー。

6点!!何故か国内ノーレビューなのですが、アマプラに良質作ありを証明したコメディだけどドタバタし過ぎておらず、多分無理だけど(涙)、世の中に母親たちの本音が伝わることを願って家族で観て欲しいメキシコ映画でした。同国のミシェル・フランコ作品でも思いましたが、メキシコの女優さんって綺麗な人が多いからそれだけで随分観やすくなっていると思います。本作もヒロイン役の子とその義妹役の子が可愛い。一見、身勝手に見える母親が自分の誕生日プレゼントを自分で買いレストランまで予約してしまうのも、母の日に貰った最悪なプレゼントを言い合うのも、めっちゃ気持ちわかるわー。だって、子どもや男性が自分の記念日(子どもの日とか父の日とか誕生日とか)を忘れられたり、酷い惨状になったら絶対拗ねるしむくれるでしょう?なのに、どうして母親に対しては妥協という心が半分も入ってないプレゼントを贈ったり、スルーしたりできるの?そんな自分本位の物を貰うくらいだったら、心のこもった手紙の方が余っ程嬉しいんだわ。義弟が最終的にマフィア目指しちゃってる思考回路とか、実は一番最初と最後でキャラ印象が違うハイメが強くなった理由とか、ちょいちょいクスッと笑いが織り込まれているのも良かったです。弟のエミリオだけは最初から最後までうざかった(笑)最初の方は展開遅くて辛いけど、中盤からどんどん加速度的に面白くなっていくので、最初ちょっと我慢して観るのオススメです。2023年劇場未公開・AmazonPrime作品。

「ボーンズ アンド ウォール」

テイラー・ラッセル主演他。愛は血の味がした。生まれながらに人を喰べる衝動を抑えられない18歳の少女マレン(テイラー・ラッセル)。彼女はその謎を解くために顔も知らない母親を探す旅に出て、同じ宿命を背負う青年リー(ティモシー・シャラメ)と出会う。初めて自らの存在を無条件で受け入れてくれる相手を見つけ、次第に求め合う二人。だが、彼らの絆は、あまりにも危険だった―。二人の逃避行の先に待つ世界が、揺れ動く純愛のゆくえが、あなたを未体験の恐怖と感動に突き落とす―人を喰べて生きる若者たちを描き、世界が賛否両論。誰も見たことのない純愛ホラー、誕生。ヴェネチア国際映画祭監督賞・新人俳優賞W受賞作。

5点!!赤髪シャラメの破壊力!!初めてのキスの交わし方良いなぁ(^^) テイラー・ラッセルが16歳くらいにしか見えない(^^;) で、シャラメのリーは何歳設定だったんだろう?まぁ、行きつく先はこっちかあっちよねって感じで。マーク・ライランス怖いよぅ(>_<) こういうロードムービー調のどこへ向かってるのかわからない系は苦手なのですが、シャラメは本作みたいな破滅的な愛が似合っていて、不思議と眠たくならなかったです。でも、何人も人を喰べる人たちがいるのなら、世界でこの二人だけという愛でもなく、でも普通の若者より深いところまで相手を理解し受け入れようと繋がっているどっぷり感は表現出来ていました。原作気になるなぁ。すべてを受け入れることが愛を地でいく二人のお話。2023年公開。

「忘れられない年、夏」

リビア・インウジ主演他。憧れの地、パリでファッションを学ぶためにカーニバル嫌いの少女イニャ(リビア・インウジ)が小さな田舎町からリオデジャネイロに乗り込む。目的はブラジルで最も有名なデザイナーから推薦を取りつけること。名門のサンバチームに縫製師として潜入しようとする彼女は、やがてカーニバルのはかなさと、恋が人生にもたらす力を知ることになる。それはやがてイナの人生に革命をもたらし、彼女だけでなく家族や彼女が住んでいる街の人々をも変えていくことに・・・。春夏秋冬4つの季節、4人の主人公で描く青春ラブストーリー。

3点!!「春夏秋冬」シリーズの夏ver.がアマプラでトップバッター配信していたので観てみた。ブラジル映画は多くはないから面白かったら、次作も観てみようかなと思ったけど、微妙。古典的な猪突猛進型のヒロインが夢と恋をおっかけて家族問題も解決するみたいなよくあるハッピームービー。でも歌とダンスがテーマなので、選曲や劇中の歌手志望カカの歌声は心地良くて、本当にバカンスに来た気分を味わえます。お祭り前夜のあのワクワクが色々入り混じった狂騒も。ヒロインが物語が進むにつれ、どんどんむくんでいってる気がするのは気のせい?食べすぎちゃった?イニャが好きになる男性ギマは顔濃いけど確かにセクシー一択(笑)でも、元カノとイニャが正反対のタイプでどんな守備範囲だよって思いながら観てました。しかも、元カノ、敵に回したら自力でパリに行くのは相当厳しいよね?パパとかケイリニャに助けてもらうとか?なんかカーニバルですべて踊って解決みたいな終わり方にしちゃってるけど、解決してるのはイニャの問題だけだし、カーニバルチームもあのラストに協力したことで何かラッキーがあった方が全体的に綺麗にまとまる気がしました。てか、ギマはパリについてきて何するの?モデルだから困らないとかかな。色々不安要素を残しまくったまま、カーニバルの魔法が解ける前で終了!みたいな終わり方でした(>_<) 2023年劇場未公開・AmazonPrime配信作品。

「ピンク・クラウド」

ヘナタ・ジ・レリス主演他。その雲の触れたら10秒で死ぬ。楽観、倦怠、絶望。一歩も外に出られないまま、やがて世界は少しずつ狂っていく―突如、世界中に発生した正体不明のピンクの雲は、10秒間で人間を死に至らしめる毒性の雲だった。世界の状況は一変、外出制限で街は無人となり、一夜の関係を共にしていたジョヴァナ(ヘナタ・ジ・レリス)とヤーゴ(エドゥアルド・メンドンサ)も長くて数週間で終わるであろうロックダウン生活に入る。しかし月日は流れ、ピンク色の雲が日常の景色となるにつれ、ジョヴァナの世界に生じた歪みは次第に大きくなっていくのだった・・・。幻想か、もう一つの現実か。人間の心が暴かれる、<ピンク色>のディストピア。ブラジルの新鋭が鮮烈な想像力で描き出すもう一つの結末(リアル)。パンデミック以前に構想された衝撃のロックダウン・スリラー。

8点!!20年オーバーのパンデミックか~もうリアルにありえる世界になっちゃいましたね・・・。何を幸せと感じるかは人それぞれ。何の制約もない世界なら、それぞれにとっての幸せをそれぞれ追い求めることが出来て、同じことを幸せだと思える相手といるのが心健やかな生き方だ。でも、その中で自ら制約の壁を作ってしまうのが家族だ。私は家族ってそういう最も小さな集合体だと思っている。ずっと幸せな時ばかりではなくて、お互い憎かったり悲しかったり離れたりしても“家族”なのが“家族”を作る意味だと思っている。多分、私にとっては、孤独でない、支え合えるということが最も幸せの中で重要視されるのだろう。一見、ヤーゴのように現状で満足するタイプのように思えるが、自分にとっての完璧な幸せを作り上げた後は、それを失ったら永遠に嘆き続ける、思考転換が出来ないジョヴァナタイプが私だと思う。それを得る為なら死をも恐れないところとか。女性の方がそういう大胆不敵さも兼ね備えている気がする。今ある幸せを大事に出来ないのは不幸だと言う意見もあると思うが、それって自分にとっての幸せランクをどんどん下げてくしかなくなると思ってて、それを不幸だと感じてしまいそう。今あるものには勿論感謝しますけど。観る前は毒が目に見えたら、確実に死ぬってわかってたら、こんなにコロナ禍みたいに混沌としなくていいんじゃないかと思ってしまったけれど、確実な死が窓越しに隣にあったら相当怖いよね。あとははっきりと目に見える毒だとしても、今度は「これは本当に毒なのか?」という疑問が生まれるんだって本作を見て知った(爆)人間って良くも悪くもどこまでも希望を捨てない生き物なんだなぁと。ディストピア・スリラーだけど、私にとっては身近な家族の話で身に積まされた。飛び出さないと恋焦がれた幸せ以上の幸せは永遠に手に入らない。でも、飛び出した時点でジ・エンドかも知れない。わかりやすく人生の選択、生き方を描いていて、今頑張って耐え続けたら、私が幸せだと感じられる世界はまた来るのかなと哀しい余韻に浸ってしまった。2023年公開。

「ヴィレッジ」

横浜流星主演他。閉ざされた村にある光と闇。逃れられない運命との闘いの果てに、あるものとは―。夜露が幻想的な、とある日本の集落、霞門村(かもんむら)。神秘的な「薪能」の儀式が行われている近くの山には、巨大なゴミの最終処分場がそびえ立つ。幼い頃より霞門村に住む片山優(横浜流星)は、美しい村にとって異彩を放つこの施設で働いているが、母親が抱えた借金の支払いに追われ希望のない日々を送っている。かつて父親がこの村で起こした事件の汚名を背負い、その罪を肩代わりするようにして生きてきた優には、人生の選択肢などなかった。そんなる日、幼馴染の美咲(黒木華)が東京から戻ったことをきっかけに物語は大きく動き出す。崩れゆく人生の中で見つけた、たった一つのきらめき。若者は運命に全てを懸けた。振り払えない闇を抱えながら、この世界のなかで、今。圧倒的な映像美と世界観で現代日本の縮図を描く、ヒューマンサスペンス。これは、いま語るべき私たちの物語。

4点!!よく見聞きする村あるあるを演技合戦で地を這うような世界観を作り上げることに成功しています。本作の横浜流星は凄い。今年の賞レースを騒がせると思う。けれど、やはり脇を固める古田新太、黒木華も上手くて、閉塞感でどんどん追い詰められていくのが伝わってきました。美しい村の部分があまり描かれてなくて暗部だらけだったから、幻想的な村の風景をもっと美しく見せて対比を強めた方が良かったと思う。日本の縮図というか、わかっててそれを壊さないようにしているのが日本人で、村にいる皆、全員苦しいのに、抜けることも変わることも許されない。圧倒的におかしいし、カルト的なのが風習・風土として成立しちゃっているのが日本だけでなく世界の小さな集落で起こっていることだと感じました。全部が夢・・・にしては長すぎる。でも、目新しい展開はなくてあるあるを突き詰めただけなので、まぁまぁ眠かったです(一度寝落ちしました(爆))2023年公開。

「ニモーナ」

声:クロエ・グレース・モレッツ主演他。ヒーローだけど、時々ワルモノ。かつて邪悪な闇に支配されていた王国を救った偉大な英雄の遺志を継いで、騎士たちが伝統と歴史を胸に王国に忠誠を誓う世界。そこで予想外の波乱に巻き込まれ、濡れ衣を着せられてしまった騎士(声:リズ・アーメッド)と、唯一、彼の無実を証明する手助けができる変化自在の能力を持った少女ニモーナ(声:クロエ・グレース・モレッツ)。騎士は豪快で恐れを知らないニモーナの助けを借り、名誉と愛を取り戻すために奮闘するが、リモーナはもしかしたら騎士が退治すると誓ったモンスターなのかも知れず・・・。「ベイマックス」「モンスターズ・ユニバーシティ」の脚本家が贈る冒険と友情のファンタジー・アドベンチャー。

10点!!ディズニーで映画化予定がLGBTQがテーマということで紆余曲折を経てNetFlix公開となったのが功を奏した作品。実は差別主義者のディズニーの制約なしに「ニモーナ」が元来持つ起爆力を原作以上に発揮出来ていて、迫力があって深い余韻を残す名作に生まれ変わり、結果オーライだったと思う。クロエが久々にヒットガール的キャラを演じているので、字幕鑑賞したのですが、まじで正解。ニモーナの持つ可愛さ、悲しみ、孤独、苦しみすべてを的確に表現し、最後の叫びはもう涙で胸が詰まりまくり刺さりまくりの名演だった。冒頭から子ども向けなのに主人公、人殺しちゃって強烈に掴まれたし、最初のニモーナが変身しまくりで動きが読めない逃亡劇もダイナミックでワクワクして、これ名作じゃん!と確信した。しかも、ニモーナが変身した動物の動きとフォルムが可愛い!!クジラで床抜け突破とか実際、ただうつぶせになってるだけだし、見た目が可愛くて悶えた(*^^*) 数々のオマージュもちゃんと元ネタリスペクトなオマージュになっていて、本作の持つ「普通って何?あなたの恐怖心は操作されたものかどうか見抜けているの?物事の本質を見て、理解しようと努力して」というわかりやすいメッセージがバシバシ飛んでくるので、子ども向け作品の域を超え大人にも刺さりまくりだった。ただ、ニモーナがどこから来たのか?仲間はいないのか?が気になるのと、円卓の騎士制度と近未来SFを合わせているのが本作の面白さのひとつではあるが、それにより、設定矛盾が生まれてしまっている点が残念だったかな。一応、形だけはハッピーエンドで閉めているけれど、私は人間が産み出してきた負の連鎖が深く悲しい余韻を残す、良く出来たアンハッピーエンドだと感じた。傷ついたら、壊れたら元に戻らないものってあるんだよ(涙)これは今からでも夏休み映画で大スクリーンで公開して欲しいなぁ。親子で観て話し合うのにピッタリの逸作です♪2023年劇場未公開・NETFLIX公開作品。

「ゾン100 ゾンビになるまでにしたい100のこと」

赤楚衛二主演他。終末世界をエンジョイ!入社3年目のブラック企業で身も心もすり減らす天童輝(赤楚衛二)、24歳。憧れの経理・鳳さん(市川由衣)への恋もままならず、絶望的な毎日を繰り返していた。そんなある日突然、街でゾンビ・パンデミックが発生!大量のゾンビに追われアキラは、あることに気づく・・・「今日から会社に行かなくてもいいんじゃね?」。告白、合コン、日本一周・・・!?ブラック企業から解放され、復活したアキラの「ゾンビになるまでにしたい100のこと」が、いま始まる!!

4点!!NETFLIX作品としてはかなり大々的にキャンペーンを行っていたし、各国の初週TOP10にも入っていたから期待していたのだけど、既存の日本映画の枠から抜け出せなかった感じで残念。ゾンビは「アイアムアヒーロー」の系統を受け継いでいて、まぁまぁ出来が良いのだけど、展開が爽やか日本アニメそのもの。昨今のゾンビ映画の急成長ぶりを観てきているので、もはやゾンビ映画にも“泣ける”とか”感動”まで求めるようになってしまっている私としては、誰も死なない安全、お友達ごっこの爽やか日本ゾンビでは物足りないです。てか、これ元々アニメなんだよね?ゾンビのように働く社畜とか、ユートピア目指したらブラック会社に逆戻りって大人の嫌な社会見せすぎじゃない?(^^;) 今の子どもたちはどう思って元アニメを観ているのだろう?(汗)てか、なんでライフラインいつまでも生きてるんだろう?とはいえ、ディストピアになってまで“本当にやりたいこと”と“社畜”を天秤にかけて悩む主人公や特撮ヒーローもどきな展開(クローズきたーーw)は実に日本らしく、これが日本映画だと逆の意味で自信をもって海外に出せる作品でもあった(爆)結局、上司の為に命すら投げ出す社畜の鏡になっちゃってるし(爆)ブラックジョーク過ぎる。そしてリストが20までしかないっていう。本当の鬱の人は「やりたいこと100個あげて」って言っても答えられないんですって。小さな日本映画の良さと海外に負けないゾンビパニックとの間で方向性が定まらなかった結果、いつもの日本映画の甘ったるさだけが後味として残ってしまった作品。サブキャラたちも殆ど生きてない感じも残念。2023年劇場未公開・NETFLIX公開作品。

「水は海に向かって流れる」

広瀬すず主演他。私、一生恋愛しないから―ある出来事から“恋”をやめてしまった彼女の心を揺らしたのは、10歳年下の彼だった。通学の為、叔父・茂道(高良健吾)の家に居候することになった高校生の直達(大西利空)。だが、どしゃぶりの雨の中、最寄りの駅に迎えにきたのは、見知らぬ大人の女性、榊さん(広瀬すず)だった。案内されたのはまさかのシェアハウス。いつも不機嫌そうにしているが、気まぐれに美味しいご飯を振る舞う26歳のOL・榊さんを始めとし、脱サラしたマンガ家の叔父・茂道、助走の占い師・泉谷(戸塚純貴)、海外を放浪する大学教授・成瀬(生瀬勝久)・・・と、いずれも曲者揃いの男女5人、さらには拾った猫・ミスタームーンライトをきっかけにシェアハウスを訪れるようになった直達の同級生で泉谷の妹・楓(富真あみ)も混ざり、想定外の共同生活が始まっていく。そして、日々を淡々と榊さんに淡い想いを抱き始める直達だったが、「恋愛はしない」と宣言する彼女との間には、過去に思いも寄らぬ因縁が・・・。榊さんが恋愛を辞めてしまった<本当の理由>とは・・・?田島列島の傑作漫画が、監督:前田哲×主演:広瀬すずで映画化。この夏、爽やかな“ときめき”と“感動”が、日本中を包み込む。

2点!!原作は序盤でリタイアしてて、本作もハマれなかったです。キャストだけが脇まで豪華で無駄遣い感半端なかった。ヒロインは傷を抱えているけれど、それは日常の中に溶け込んでいて、深い思いを吐露したことによって周囲が変わるということもなく、思春期主人公はストレートに思春期な反応を示すだけで、ほのぼの解決することもなく終わるっていう。直達と榊のそれぞれの想いの深さも種類も見えてこないままだったし。大西利空は「るろうに剣心」の時に下手だなぁと思って、今回は少し上手くなったかなと思いながら観てたけど、やっぱり肝心な場面では下手だった。前田哲監督は好きな作品は1作くらいあるけれど、あとはどれもつまらないなって思うし、彼の得意とするところがわからない監督さん。2023年公開。

「スパイキッズ アルマゲドン」

ジーナ・ロドリゲス、ザッカリー・リーヴァイ出演他。世界のテクノロジーの支配を企む大物ゲーム開発者(ビリー・マグヌッセン)が、強力なコンピューターウイルスを世に放ってしまった!自らも知らぬうちにその手助けをしてしまった世界一の秘密諜報員を両親に持つ兄(コナー・エスターソン)と妹(エバリー・カルガニーラ)は、2人で力を合わせて、スパイのパパ(ザッカリー・リーヴァイ)とママ(ジーナ・ロドリゲス)を助け出し、世界を救おうと立ち上がる!2011年まで続いた「スパイキッズ」シリーズがロバート・ロドリゲス監督により再始動!

1点!!ロバート・ロドリゲス監督の売りは、低予算で作り込まれた世界観を描きだすところだと思うのですが、ネトフリでやると予算だけバカみたいに費やして大味な駄作になりやすいんですよね。それにロドリゲス監督もハマってしまった感じです。同過去シリーズはあまり記憶にないのだけど、もっと大胆でスパイグッズが格好良かったような・・・。本作はレトロゲームの世界観を意識しているからか、全部少しずつダサいし、アニメみたいにご都合主義の主人公に都合の良い展開しか起こらないので、楽しめても小学校低学年までかな。。隠れ家のギミックがドラえもん映画で観たことある感じのものばかりなので、低年齢層は好きだと思います。その割には子どもが普通に「ARだ」とか難解ワードを言ったりするので、デジタル世代の子どもたちってここまで進んでるのか!と焦らされます(汗)うちの子も何度PCのセキュリティ突破したことか(涙)でも、知識は大人顔負けでも心の純粋さは子どもそのもので、彼らの良い意味でお花畑のような頭の中の世界が羨ましかったです。ゲームのようになってしまった世界をゲームが超得意な主人公が簡単にクリアしていってしまうので、キャラも観客もいまいちハラハラドキドキ出来ないのも敗因かな。同じライフがあるゲーム「ジュマンジ」なんかと比べると一目瞭然です。アクションもヒットガール的な速さと子どもならではのハイスペックなアクションではないので、見どころが少なくてダラけてしまいました。アルマゲドンと副題についているということはリブート1作で終わりなのかも知れませんが、もし、続編が作られたとしても積極的に観ようとは思わないかな。2023年劇場未公開・NETFLIX公開作品。

「バレリーナ」

チョン・ジョンソ主演他。冷酷で無慈悲に容赦ない地獄の復讐が、いま始まる―。警護員出身で殺伐とした日々を送るオクジュ(チョン・ジョンソ)。そんなある日、唯一無二の親友ミンヒ(パク・ユリム)がオクジュ宛に復讐を頼む手紙を残したまま自殺してしまう。親友を守ることができず、深い悲しみに暮れるオクジュだったが、ミンヒを追い詰めたのはオクジュと過去に因縁のあるチョイ・プロ(キム・ジフン)であることを知り、地獄の果てまで彼を追うことを決意する。守りたかったのは、ただ1人。彼女が残した最期の願いを叶えるため、美しく壮絶な復讐劇がいま始まる。「ザ・コール」のイ・チョンソン監督×チョン・ジョンソコンビがおくる劇薬アクション・ノワール。

9点!!「ザ・コール」がとても面白かったのでイ・チョンソン監督次作だと知って注目していた作品。「ザ・コール」は伏線が複雑に絡み合い、謎が謎を呼ぶ構成だったけれど、本作はひたすら引き算していってシンプルな完成度を追及していて、無駄がなくスッキリ1時間半でまとまっていて、観やすかったです。「ザ・コール」のチョン・ジョンソが怖すぎたから、眠れなくなったらどうしようと恐々観たけど、今回はサイコガールじゃないから大丈夫でした(^^;) でも表情に凄みがあって血みどろなのは変わらないから夢には出るかも(>_<) バイオレンス方面の韓国ノワールは十八番だけど、女性主人公がここまでバキバキにやるのは珍しいと思う。アクションシーンが骨太でパワーもスピードもちゃんとあってカッコイイ♪「魔女」「コインロッカーの女」がその系統だけど、「魔女」はちょっと設定が違うし、見た目を気にする韓国ものでずっと血みどろのヒロインって振り切ったなと感心しました(でも血の付き方とかアートめいてて怖いから!)。親友役が「ドライブ・マイ・カー」にも出てたパク・ユリムでした。彼女が出ているだけで画面がパッと華やいで、チョン・ジョンソと陰と陽になっていて素敵。パク・ユリムってキム・ギドク常連のイ・ウンウと危うさが似てるんですよね。良い方向に化けるのを期待したいです。チョイ役のキム・ジフンもめっちゃ筋肉美&カッコイイ悪役。だから最期まで弱音吐かないで欲しかった・・・オンマ~って言いそうな雰囲気出さないで欲しかった(爆)ちょこちょこプチ笑いを入れてきてるのも重たすぎる韓国ノワールをライトにしていて良かったです。でも、やはり日本公開だとこういう映画は人が入らないので、敷居の低いサブスク公開で正解かな。観てみようかな~くらいで本作みたいな当たり作に出会えると嬉しくなります♪2023年10月6日劇場未公開・NETFLIX公開作品。

「わたしの幸せな結婚」

目黒蓮、今田美桜主演他。この世界に一人きりだと思っていた。あなたに出会うまでは―。文明開化もめざましい近代日本。帝都に屋敷を構える名家の娘・斉森美世(今田美桜)は実母(土屋太鳳)を早くに亡くし、継母(山口紗弥加)と義母妹(高石あかり)に虐げられながら使用人同然に扱われてきた。何もかも諦め、日々耐え忍んで生きる彼女に追い打ちをかけるように命じられたのは、冷酷無慈悲と噂の軍人・久堂清霞(目黒蓮)との政略結婚だった。数々の婚約者候補たちが三日も待たずして逃げ出したという悪評の通り、清霞は初対面で美世に冷たく言い放つ。「ここでは私の言うことに絶対に従え。私が出て行けと言ったら出て行け。死ねと言ったら死ね―」ところが、逃げ帰る場所などない美世は、戸惑いながらも久堂家で過ごすうちに、清霞が実は噂のような冷酷な人物でないことに気づいていく。そして清霞もまた、容姿や家柄ゆえに言い寄ってきたこれまでの婚約者たちと違うものを美世に感じ、硬く閉ざしていた心を少しずつ開いていくようになる。次第に心を通わせていく二人。しかしその頃、周囲では謎の襲撃事件が相次いで発生し、それはやがて、帝都全体を脅かす事態となっていく。そして、清霞と美世の前にも、過酷な運命が待ち受けていた・・・。累計発行部数500万部突破、いま最も注目のラブストーリーを塚原あゆ子監督が待望の映画化。

9点!!原作は途中で中断中。今流行りの異能もの。隠し能力を持つ虐げられたヒロインが名家へ設定多過ぎない?いわゆるシンデレラストーリーって今でもこんなに受け入れられるのかと驚いたり(でもヒロインも強いのが現代的)。塚原あゆ子監督の手腕で原作よりかなり映画としてアップデートされていて、映像効果でスタイリッシュに見せていく科学的な感じと和モノが上手くマッチしていて、完成された世界観が出来上がっていました。今田美桜も普段の目力をちゃんと抑えられているし、エピソードを飛ばして再構築しているけど、ちゃんとストーリーも繋がってるし、アイドル映画としても成功している。まぁ、異能の説明と新(渡邊圭祐)の扱いが雑過ぎたけど(>_<) 渡邊圭祐が二番手男子やると最強なので、対決シーン観たかったです(笑)かなり早送りで描かれているから、それぞれのキャラクターに割く時間が一瞬キャラもいるのに、ちゃんと格好良かったり、登場人物の心情に寄り添っていて泣けたり、「コーヒーが冷めないうちに」の時はそれほど感じなかったけど、上手いなぁと感じました。あとは「還魂」「るろうに剣心」辺りの近年良く出来ているとされている作品からヒントを貰っている感じがしたけど、どうなんだろう?実写難易度高めの世界観が似てるからそう感じたのかな?映像も美しく迫力もあり、楽しいお花見って感じの作品でした♪2023年公開。

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

ミシェル・ヨー主演他。ようこそ、最先端のカオスへ。マルチバースとカンフーで世界を救え?!経営するコインランドリーの税金問題、父親の介護に反抗期の娘、優しいだけで頼りにならない夫と、盛りだくさんのトラブルを抱えたエヴリン(ミシェル・ヨー)。そんな中、夫に乗り移った“別の宇宙の夫”から「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と世界の命運を託される。まさかと驚くエヴリンだが、悪の手先に襲われマルチバースにジャンプ!カンフーの達人の“別の宇宙のエヴリン”の力を得て、今、闘いが幕を開ける!マルチバースを飛び回り、世界と家族を救うのだ!全米でまさかの超大作級スーパーヒット!スタジオA24が贈る空前絶後のアクション・エンターテインメント、降臨。第95回アカデミー賞作品賞他7部門受賞作。

7点!!カオスでお腹いっぱい(笑)本作には様々な映画のオマージュが織り込まれているが、全体的設定もまた「スター・ウォーズ」の宇宙を股にかける親子喧嘩の女性ver.。カンフーの中国武術はアクションと哲学・真理を描くにはもってこいですよね。アジア人は表情変化が乏しいことからハリウッドで抜擢されにくいですが、ミシェル・ヨーがなぜ重宝されているかがよくわかる作品でした。ジャッキー・チェンでさえ、表情変化殆どないと思うのに、ミシェル・ヨーの表情筋、限界突破(笑)A24とダニエル・クワン監督(「スイス・アーミー・マン」)というコアな映画ファン向けな方々の作品が王道アカデミー賞を席捲したのも驚きました。アカデミーではウケが悪いマルチバースものでもあるし。私はマルチバースもSFも大の苦手なのでめちゃめちゃ睡眠薬な映画だったけど(爆)、どこのワンシーンを切り取ってもアーティスティックだし、笑えるし、シュールで、やりすぎを躊躇しないところがダニエル・クワンだなぁと思いました。この持ち味は消さないでほしいな。てか、ここまで真理を追究したら親子や夫婦問題だけでなく大抵の問題は解決するよね、人生の軌道修正をする治療法として、こういう仮想体験が出来たらいいのに(^^;) 人間関係は言葉や態度をいくら尽くしても伝えきれないもので溢れているから。中盤、マルチバースで遊びすぎちゃった時間(楽しんでるのは伝わったw)が長いので、遊びを楽しむ映画ではあるけれど、もう少し引き算しても良かったかも。余韻までお腹いっぱい胸いっぱい(笑)2023年公開。

「1秒先の彼」

岡田将生、清原果那主演他。タイミングなんていつも合わない。郵便局の窓口で働くハジメ(岡田将生)は、何をするにもとにかく1秒早い。記念写真では必ず目をつむり、漫才を見て笑うタイミングも人より早い・・・。路上ミュージシャン・桜子の歌声に惹かれて恋に落ちたハジメは花火大会デートの約束を取り付けるも、目覚めるとなぜか翌日に。“花火大会デート”が消えてしまった・・・!?秘密を握るのは、毎日郵便局にやってくる大学生のレイカ(清原果那)のようで・・・。千年の都・京都の街を舞台に、ハジメとレイカのふたりの視点から描かれる「消えた1日」をめぐる物語。「大切な1日」はなぜ消えた!?タイミングが合わないふたりに訪れた<最高の奇跡>。そして訪れる至福のラストにきっと涙する。ワンテンポ早いハジメと遅いレイカ。テンポが違うふたりの<時差>ラブストーリー。

3点!!台湾で賞レースを総なめした映画を男女逆転でリメイク。随分、ゆるふわっとした物語で、日本以外のアジア圏で描いた方が情緒豊かに伝えられるだろうと思いながら観てた。台湾版は観ていないけれど、緩さをエモーショナルでカバーしないといけない作品なのに、日本版はやはりあっさりとしか描かれていないので、主人公二人がその場その場でどういう感情に達しているかがわかりにくかった。彼と彼女の思い出が彼にとってはどれほどのものだったのか?涙の意味は?桜子(福室莉音)の顛末は知らない筈なのに、なぜ彼女を追わない?彼と彼女に思い出があったとしても、彼女のストーキングぶりは割と「怖っ」ってなるけど(しかも冴えない彼女設定だし)、ハジメはそこについて疑問に思わなかったのか?てか、男女逆転したことで、やはり無理が生じていて、レイカの海への行動すべてが「いや無理だろ、重すぎるだろ」と突っ込んでしまった。そうだ、忘れてたけど、クドカンはドラマは面白いけど、映画はつまんないんだった(爆)もう少し彼と彼女の気づきと絡みが欲しかった。でも昼間上げた花火が夜になって輝いてる演出は素敵だった。良くも悪くもない人に薦めにくい作品だった(爆)2023年公開。

「シャザム!~神々の怒り~」

ザッカリー・リーヴァイ、アッシャー・エンジェル主演他。神様、相手はコドモですよ。ごく普通の少年ビリー(アッシャー・エンジェル)とその仲間が魔法の呪文「シャザム!」と唱えると、神々の力を宿したスーパーヒーローチームに大変身!今日もビリーは地元フィラデルフィアで人助けに勤しんでいるが、最近は気持ちだけが空回り。パワーの扱いにミスったあげく、街の住民たちからは“フィラデルフィアの恥”と呼ばれる始末。スーパーヒーローとしてのアイデンティティに思い悩み始めた彼は“小児科”に向かうが、仲間だけは彼を温かく見守る。そんな彼の前に立ちはだかるのは、神アトラス(=シャザムの力の源のひとつ!)の娘ヘスペラ(ヘレン・ミレン)とカリプソ(ルーシー・リュー)。シャザムが魔術師から授かった神々の杖を折り、彼らの力を奪ったことで彼らの世界が衰退。怒り狂った神アトラスが娘たちを人間界に送り込んだのだ!杖を取り戻した神の娘たちが彼らの世界を蘇らせる“生命の木”の種を地球に植えると、なんと巨大ドラゴンをはじめペガサス、サイクロプス、マンティコアなど神話のモンスターたちが次々と復活!元素を操り、カオスを引き起こす神の娘たちの圧倒的パワーを前になすすべもなく逃げ惑う人々。未曾有の危機を前に、ビリー=シャザム(ザッカリー・リーヴァイ)は人類や世界のためではなく、ダメな自分を受け入れてくれた仲間のために立ち上がるが・・・。果たしてシャザムは、世界を救うことができるのか!?DC最新作はスーパーヒーロー映画史上サイコーの“神”バトルアクション!

8点!!前作を大絶賛していたくせに内容すっかり忘れた状態で観ちゃいました。神々~はもうSFジャンルに抵触するので苦手なんです(涙)ビリー&フレディ(ジャック・ディラン・グレイザー)コンビが天使みたいだったのにちょっと大人になっていかつくなっちゃってる!(涙)と嘆くところから始まり、序盤はグダグダしていて、前作のテンポと感動はどこに?って感じだったけど、クライマックスに近づくにつれ、家族の絆、友情、初恋などが前面に出てきて、シャザムに求めてたのはこれだよ~とアガりました♪家族に馴染みきれてないビリーが一番家族を束縛するほど、彼らと離れることを不安に思ってるとかトラウマあるあるだし、泣けた。てか、ヘスペラとアンテア(レイチェル・ゼグラー)おばあちゃんとひ孫くらい年離れてるじゃん、神の世界ならあるあるなんだろうけど、流石に年の差があり過ぎて、どうしてこの配役になった?原作通りなの?って疑問に思いました。ルーシー・リューは久しぶりだな(^^;) 最終的にビリー&フレディコンビやっぱり顔面天使過ぎたし、この純粋さとおバカさを失わないでほしいから大きくならないで欲しいと思ってしまうっていう。でも次作はもう20歳超えちゃうだろうな・・・。兄弟多すぎて思い出すまでに2時間かかっちゃったけど(ヒーロー活動に時間をとられて大学行き損ねたメアリーは可哀想)、やっぱりDCの中では断トツ好きな作品です。2023年公開。

「クレイジークルーズ」

吉沢亮、宮崎あおい主演他。乗客全員、いわくつき―?エーゲ海に向かう豪華客船を舞台に豪華キャストで贈る、魅惑のクルーズ旅へようこそ!豪華クルーズ船・MSCベリッシマでお客様からの注文に無心で仕えるバトラー・冲方優(吉沢亮)と、ある目的のために客船に乗り込んできた謎の女性・盤若千弦(宮崎あおい)が、船上で起きた殺人事件の謎に迫っていくロマンティック・ミステリー。カンヌ国際映画祭脚本賞受賞・坂元裕二脚本最新作。

 

1点!!恐れていたことが・・・(||゚Д゚) 古沢良太さんといい坂元さんといい、良いドラマを書く脚本家は何故、良い映画を書けないのだろう?1クールのドラマの多要素を2時間に詰め込めると思ってる?派手で豪華、お洒落でこなれてるを全部入れたいトレンディ世代が今のニーズを掴めてない?よくフィルマークスで3.1も取れてるな(2023年12月時点)。全部とっ散らかって極薄のお湯かお茶かわかんない液体みたいになってる(爆)プラス、全員がミスキャスト。メイクも服もキャラも誰にも似合ってない。ハリウッドだったらラジー賞で誰も出席しない黒歴史になるやつ。宮崎あおいはこのキャラなら見た目もナチュラル感を生かすべきだった。服とメイク合ってない、もはやメイクさんにも飛び火レベル。もう、ここまで酷いとどうでもいいけど、「恋をしかけた」と「恋をした」は同じでも、「浮気しかけた」と「した」は違くない?後で「あーやっぱりしなくて良かった」に落ち着くかも知れないし(爆)タッグを組む監督の手腕、舞台次第で坂元裕二の台詞もこんなに陳腐に聞えるのだなと、観る前の嫌な予感が当たってしまった(>_<)劇中でも日本人の臭いものには蓋を主義が炸裂してるけど、本作の制作過程で誰か「ちょっと待って。つまんないよ」って止めなきゃダメなやつでした・・・。2023年劇場未公開・NETFLIX配信作品。

「THE WITCH 魔女ー増殖ー」

シン・シア主演他。哀しみが、少女を覚醒させる―秘密研究所アークが何者かに襲撃され、殺戮の中でひとりの少女(シン・シア)が生き残る。その少女は、遺伝子操作によって超人的なアサシンを養成する〈魔女プロジェクト〉の実験体だった。初めて研究所の外に出た少女は、ある姉弟と出会うことで、徐々に人間らしい感情に目覚めていく。しかし少女の秘められた力を危険視した〈魔女プロジェクト〉のペク総括(チョ・ミンス)は、彼女を抹殺しようとする。さらにアークを襲撃した謎の超能力者集団や、姉弟を狙う犯罪組織も加わり、哀しき宿命を背負った少女との壮絶なバトルの火ぶたが切って落とされる!いま、宿命が動き出す。最強バトル・ロイヤル・アクション。

7点!!なんだ、この最旬ドラマ俳優全部乗せみたいなオールキャスト(笑)チン・グの雰囲気が普段と違い過ぎてキャスト一覧観てなかったら気づかなかったかも。そんな面子の中でも新人のシン・シアのあどけなさと透明感がハンパないです。めっちゃ可愛くて一目惚れ。韓国のバイオレンス系にしては分かりやすい方ですが、前作よりは人間関係がかなり複雑になっていて、シリーズものの悪いところが出た感じです。この同類バトルの中でヤクザって本当に必要?(^^;) バトルシーンはスピード感があって楽しいけど、終始暗くて観にくい。3作目に続く終わり方だけど、個人的にはシリーズものは最初に何部作ですって決めてから公開して欲しいです。終わりが見えないとダラダラしちゃうし、シーンの緊迫感も薄れるから。アクションシーンは前作より気合入ってるのに面白さは減ってしまっている今作。でもキム・ダミ、シン・シアが続投なら次作も観るだろうなと思います。2023年公開。

「アーチーズ」

アガスティア・ナンダ主演他。舞台は1964年、インドにある架空の街リバーデイル。イギリス入植者たちを祖先に持つアーチー(アガスティア・ナンダ)と仲間たちはリバーテイルにある公園「グリーンパーク」とともに彼らのルーツを感じながら育ち、青春を謳歌していた。そんなある日、「グリーンパーク」を取り壊し、新たに高級ホテルを建設する話が持ち上がる。アーチーたちの友情や恋、世情が目まぐるしく変化する中で、果たして彼らは「グリーンパーク」を救うことが出来るのか?イギリス統治時代の影響を受ける60年代インドの若者たちを描いたグローアップ・ミュージカル。

6点!!アメコミ原作で舞台をインドに移し実写化というレアケースな作品。そのせいか、リバーテイルという入植者たちの街が舞台だからか、いわゆるボリウッドという感じではなく、歌もダンスもがっつりあるけど、ウエスト・エンドのミュージカルを観ているようだ。イギリス統治の影響を受けているであろうファッションや文化も、インド特有の原色カラフルな華やかさとマッチしていて、どのシーンもお洒落で楽しそう。でも豪華絢爛な美と数で圧倒するボリウッドミュージカルと比べるとダンスはバラバラだし、歌も合唱みたいに聞こえてしまい、まとまりがなく感じた。冒頭の楽曲「Sunoh」は爽やかでノリが良くツカミはバッチリだっただけに、その後の主人公たちの全然動き出す気配がないダラダラ時間に足を取られて失速してしまったのが意外だったし残念だった。ミュージカルは冒頭で掴まれたら最後まで最高評価は変わらないことが多いのだけど本作は違った(>_<) というか、アーチー役のアガスティア・ナンダがめっちゃイケメンで歌も上手くて掴まれてたら、こちらも蓋を開けてみれば狭い街で親友同士の女の子2人を股にかける手に負えないダメンズなんですよ。しかも、最後までダメンズのままだっていう(爆)なんでダメンズっていつも顔面最強なの(爆)「愛を制限したくないし、人はそれぞれ美しい」って、そうだね、それなら一夫多妻制の国に行ってくださいとツッコんでしまった。あと、キャラクターが多過ぎてアーチーの親友という美味しい立ち位置のはずのイケメン、ジャッグヘッド(ミヒル・アフジャ)のキャラが完全に死んでる。ヒロイン二人の身長、体型、キャラ分布が同じなので、見分けがつきにくい。映画に集中出来ない雑音が多過ぎるのだ。ボリウッドではあまり見ないタイプの作品で、若手の音楽をバンバン使っていたり、色々挑戦していて注目のゾーヤー・アクタル監督作だっただけに、期待値を上げ過ぎてしまった。ストーリーも凡庸で、ある意味ミュージカルはその凡庸さを完璧カバー出来る力があるものだと信じているが、今作ではカバーしきれていない。もう少し精度を上げてから世に出して欲しかった。2024年劇場未公開・NETFLIX公開作品。

「終わらない週末」

ジュリア・ロバーツ、イーサン・ホーク主演他。広告業界で働くアマンダ(ジュリア・ロバーツ)と大学教授のクレイ(イーサン・ホーク)は、16歳の息子・アーチーと13歳の娘・ローズと4人でニューヨークのブルックリンに暮らしている。ある夏の週末、アマンダが予約したロングアイランドの貸邸宅で、家族は1週間の予定でバケーションを過ごすことに。しかし、貸邸宅に到着したその日にアメリカ全土でサイバー攻撃があり、あらゆる連絡手段、電気系統が使えなくなってしまう。そして、玄関口に見知らぬ男女2人が姿を現す―。豊かな週末が終末に!?危機迫る終末の世界を描いたサスペンス・スリラー。

8点!!イーサン・ホークが出てるので、B級のきな臭さに期待して観てみた。殺人鬼もお化けも出てこないのに、ひたひたと身体中を浸食されるような怖さでもう寝られない(涙)そこまで危ないって想定出来ていて、水を飲み続けちゃうのが信じられないけれど、混沌が最もコスパよく世界を破壊するってことが、ここ数年で私たちが感じているものと合致していてタイムリー過ぎる恐怖の作品だと感じた。この混沌を悪化させてるのは、自分たちのチョイスがいかに酷いかを認めたくないから、合意の上で妄想を押し通す性質の人々だと思う。そして、アマンダのようなそういう類の彼らは、誰にも聞くことが出来ない、責任を取らせることが出来ないと分かると、恐怖のあまりに怒りだし、無理やりにでも攻撃対象を見つけ出すのだ。黒幕(ラスボス)がいない=恐怖は終わらないから。でも、戦争に休戦日があるように終末にもお休みがあるかのように酔っぱらうアメリカンな大人たちの呑気さは見習いたい(^^;) どんな世界になったとしても大半の絶望と微かな希望の灯りとともに人生は続いていく。終わる時まで。これは幸か不幸か?人によって答えが違うだろうし、答えにたどりつけないで終わる人もいるってことだ。目に見える戦争だけではなく、この世界の真実に気づき始めている人にはホラーより怖い世界のリアルな風刺映画。2023年劇場未公開・NETFLIX公開作品。

「福田村事件」

井浦新、田中麗奈、永山瑛太主演他。関東大震災から100年、いま見たことを、伝えたい。関東大震災の発生からわずか5日後の9月6日のこと。千葉県東葛飾郡福田村に住む自警団を含む100人以上の村人たちにより、利根川沿いで香川から訪れた薬売りの行商商談15人の内、幼児や妊婦を含む9人が殺された。震災の混乱下で「朝鮮人が集団で襲ってくる」「朝鮮人が略奪や放火をした」との噂が瞬く間に広がり、福田村にも届いたのだ。行商団は、讃岐弁で話していたことで朝鮮人と疑われ殺害されたのだ。逮捕されたのは自警団員8人。彼らは実刑になったものの、恩赦によりすぐに釈放されてしまう・・・。100年の時を超え、遂に、実話に基づいたかつてない日本映画が公開される。

6点!!「無知は罪なり」。炎上するかも知れませんが、ここ数年、この言葉が幾度となく浮かびます。噂の真意を確かめるどころか、自分たちでまた新たな根拠のない吹っ掛けをし、混沌を招く。日本は当時も今もこの混沌を隠れ蓑にするのが上手く、それに踊らされている人々は「知ろうとしない」のでずっと害悪をまき散らし、人々を傷つけ続ける。そこに本作では村の隠ぺい主義が加わり、すべての村民が永遠にこの事件に対し、口をつぐむのであろう。軍人って誇りないんだっけ?彼らの持つ誇りって何を意味してるの?あー無知ゆえに従ってるだけのに従えてる気になっちゃってるパターンか。無知な人々はそのことを突っ込まれる前に泣いたり怒ったりして先制攻撃をしてくるので、真実を知っている人たちも彼らの凶暴性を知っているから発言の時と場所を考えざるを得ないし、自分の身を守るのに精一杯だ。こうして負のループが完成する。混沌に黒幕はいないから、そうそうコインがひっくり返ることはない。子どもたちは自分の目で見てもいないことをさも真実のように話し、ヒートアップしている大人たちを見て、違和感を覚えないのだろうか?そういう親に育てられてるから、力業で親の言ってることは正しいってねじ伏せられてる?「待て」が出来ないって犬以下じゃん(爆)幾つかの不幸が重なり合った結果の事件とも言えますが、ボタンの掛け違えでも何でもなくて、何も知らないのに知った気になって、あまつさえ知ってるから、自分が正しいのだから、手を下して良いと思ってしまった「無知は罪」な人々が起こしたこと、それだけだと思う。どんな状況でも釈明出来ない、同情の余地のない最悪の殺人事件。村って悪は隠ぺいされ、さらに悪が図に乗るって構図が完成されてますよね。私も「東京もんはバカだ」っていきなり言われたことがあります。まじで根拠がないし、言ってイニシアティブを取りたかったのか?「恥の概念」が違うんだろうな。多分、私は正義感が強い方だし、情報は必ず裏取りを何度かしないと信じないし発信もしないので、この事件に相当怒っているのだと思う。・・・関係ないけど、師走ラストの映画に永山瑛太さんの重たい映画が当たることが多い気がする・・・(^^;)マイナスは、方言が全編聞き取りにくくて、最大音量まで上げて観るのが大変でした。まさかと思うことを人はするという意味で知っておくべき作品です。2023年公開。

「FALL フォール」

グレイス・キャロライン・カリー、ヴァージニア・ガードナー主演他。ようこそ、地上600mの絶望へ。山でのフリークライミング中に夫・ダン(メイソン・グッティング)を落下事故で亡くしたベッキー(グレイス・キャロライン・カリー)は、悲しみから抜け出せず1年が経とうとしていた。ある日、ベッキーを立ち直らせようと親友のハンター(バージニア・ガドナー)が新たにクライミングの計画を立てる。今は使われていない地上600mのモンスター級テレビ塔をターゲットとして選んだ彼女たちは、老朽化で足場が不安定になった梯子を登り続け、なんとか頂上へと到達することに成功する。そこでベッキーは夫の遺灰を空から撒くことで、彼を偲び、新たな1歩を踏み出す決意を示すが、それもつかの間、梯子が崩れ落ち、彼女たちに次々と困難が襲いかかる!自分たちの持つ技術と知識をフル活用して、どうにかこの危機を脱しようとするが・・・。規格外モンスター級のTV塔に取り残されたフォロワー6万人の女性とその友人。電波は不達。食料もなく辺りに人影はない。このまま死ぬか、それとも―。「ファイナル・スコア」のスコット・マン監督が描く超高所サバイバル・スリラー!

7点!!評判の良さに影響されてるのかも知れないですが、「海底47m」「オープンウォーター」などと比べると同じB級な入り口なのに、どんどん追い込まれていくストーリーと二人の奮闘に気づいたらがっつり引き込まれていました。あとは、元々高所恐怖症なので、ずっと足が浮いた感覚が普通に怖い(^^;) ベッキー役の子は「シャザム」の長女ですね。追い詰められた中で発覚するドロドロも、2人の関係性の良さから落ち着くところに落ち着き、ちゃんと青春ものになっているのが秀逸です。でも、誰にも言わないで行ったらダメよね。梯子の安全確認もしないで上がっちゃうし。自分の身体に自信がある人たちって過信し過ぎる典型だなと感じました。本当に命懸けの何かを更新し続けている人はものすごいビビりだし、真面目だし、安全確認を何度もしているのだと思う。それでも命懸けってことなんだと思う。スマホのGPSが途切れた辺りということで捜索は来なかったのかな?それが最後のタイミングと同時刻くらいかな?生死については、「ライフ・オブ・パイ」辺りから、あるあるな展開で飽きてきたので、もうひと捻り欲しかったです。でも、単純に全体的によく出来ているし面白かったです。2023年公開。

「雪山の絆」


エンゾ・ボグリンシク主演他。構想10年―アンデス山脈で起きた悲劇の全貌をJ・A・バヨナが映像化。1972年、ラグビー選手団を乗せてチリに向かったチャーター機、ウルグアイ空軍機571便は、アンデス山脈中心部の氷河に墜落するという大惨事に見舞われた。乗客45名のうち生き残ったのは29名のみ。世界で最も過酷な環境のひとつに身を置くことになった生存者たちは、生き延びるために究極の手段を取らざるを得ないことに・・・。同機に搭乗していたパブロ・ヴィエルチによる極限の実話小説を「インポッシブル」のJ・A・バヨナ監督が映画化。

9点!!極寒のアンデス山脈で72日間!!恐らく、私が観たことのある生還モノで最も遭難期間が長いです。冒頭の墜落の瞬間の機内映像を筆頭に、彼らに何度も降りかかる自然の脅威の結果も、過去一エグかったです。若さとラグビー選手としての体力があったから生き延びられたのかな?と最初は思いましたが、あらゆる方面での強運もあるけれど、仲間内で争わず団結し続けたことが生還のポイントだったと感じました。これぞ本当のワンチーム。良い意味でスポーツ脳だから、絶望まで思考を掘り下げないし、笑いあって励まし合って讃え合って、死ぬ直前まで仲間たちのことを心配して亡くなるとか、誰も特殊なサバイバル能力は持っていないのだけど、自分の力の限りを惜しみなく共有しているし、遭難するなら彼らと一緒がいいと思いました(爆)チーム力って凄い。143分余すところなくリアルを伝えようという制作陣の意志が伝わってくる見ごたえたっぷりな秀作です。2023年公開。

「#マンホール」

中島裕翔主演他。この穴、何かがおかしい。結婚式前夜、男は幸せの絶頂から転落した―営業成績No.1のデキる男・川村俊介(中島裕翔)。社長令嬢との結婚式前夜、渋谷で開かれたサプライズパーティで酩酊し、帰り道で不覚にもマンホールの穴に落ちてしまう。深夜、穴の底で目覚めた川村は、足に深手を負い、思うように身動きが取れない。スマホで現在位置を調べるがGPSは誤作動を起こし、警察に連絡するも、まともに取り合ってもらえない。唯一つながった元カノ(奈緒)に助けを求めることができたが、そこである疑念が生じる。「もしかして、ここは渋谷ではない?」何者かにはめられたと考えた彼は、SNS上で「マンホール女」のアカウントを立ち上げ、場所の特定と救出を求める。犯人探しに湧き上がるネット民たちを操る川村。結婚式までのタイムリミットはあと僅か―。このどん底から這い上がれるのか!?熊切和嘉がおくる予測不能の99分スリラー。

8点!!この手の作品をなぜ熊切監督が?という興味から鑑賞。しかも「ライアー・ゲーム」の監督と組んでる、不思議な組み合わせだったもので余計気になりました。物語が進むにつれ、納得。這いつくばって生きる人間の底黒さとか、もう完全にジャパニーズホラー&スリラーじゃんっていうくらい怖かったです。最初の恐怖は、ここが渋谷じゃないかも知れないと分かった時。え?これホラー方面?やばいやつ?主演が中島さんだったからナヨ系だと思ったのに(失礼)、すぐに家中の電気つけたくらい怖かった!(寝れない;△;) 演出が上手いのかな?マンホールに落ちた途端、嫌な奴にキャラ変する主人公の違和感も、後で成程~となったし。効果音も爆音でビビるし、中島さんの表情が前半と後編で別人(ストーリーで納得)。こんなに顔の造形変えられる俳優さんだと思ってなかったので、信じられない気持ちで観ていました。そして、黒木華の顔が分かった時の恐怖感。もう登場と表情だけでイ・ウンウ並の迫力出てんじゃん。ベテランじゃん(怖)孤立して困っている人を助ける為のSNS活用は確かに人が近くにいれば警察より動きが速いし、何が必要かシンプルに伝わる。過去に「トイレットペーパーがない」と個室で呟いて届いたって例もあったし。そういうところで個人情報を載せちゃう&騒いじゃうリテラシーね。相手が載せてきた段階で「この人やばくない?」って通報案件だけど、今回のケースは仕方ないといえばそうなっちゃうから、上手いです。十分良く出来たどんでん返しスリラーでしたが、折原も舞(奈緒)の顔に整形してて最初から意図的に近づいてたという展開にしても良かったかも。やりすぎ?旧ジャニーズ勢の作品だとどうしても敬遠しがちなのですが、これはあっという間の面白さ!2023年公開。

「山女」

山田杏奈主演他。わたしの人生は、誰にも奪わせない。18世紀後半、東北。冷害による食糧難に苦しむ村で、人々から蔑まされながらもたくましく生きる凛(山田杏奈)。彼女の心の救いは、盗人の女神様が宿ると言われる早池峰山だった。ある日、飢えに耐えかねた凛の父親・伊兵衛(永瀬正敏)が盗みを働いてしまう。家を守るため、村人達から責められる父をかばい、凛は自ら村を去る。決して越えてはいけないと言い伝えられる山神様の祠を越え、山の奥深くへと進む凛。狼達から逃げる凛の前に現れたのは、伝説の存在として恐れられる“山男”(森山未來)だった・・・。「遠野物語」に着想を得た、唯一無二の物語。いまを生きる私達へ問いかける、本当の“人間らしさとは―?

3点!!山田杏奈推しです。俳優陣の魅力だけで繋げているような作品でした。日本の宗教的な行いをやりがたる人々って海外のように絶対的な妄信ではなく「どうかそうでありますように」みたいな願い要素の方が多い。だからいつまで経ってもどこか他人事だし、そんなふわっとした願い程度で、自分ではない他人の命を捧げるという取り返しのつかない残虐な行いを行うという矛盾が生じる。その罪を被る覚悟がないのだ。だって「臭いものには蓋」をいう風習があるから。てゆうか、山田杏奈と森山未來、何歳設定よ?敢えてわからなくしてるのだろうけど、12~21歳くらいにまで見えてしまう山田杏奈の童顔、というかまだこういう表情が出来ることが凄い。彼女は華があるタイプではないけれど、超重い作品でも彼女の魅力に引き寄せられ最後まで駆け抜けてしまうくらいの強い引力を持つ唯一無二の女優さんだと思う。人間らしさと日本人らしさは相反していて「他人を犠牲にしてでも自分たちが助かりたい、素知らぬ顔で生きていれば罪にはならない、常に言い訳がある」のが日本人らしさで、その中で人間らしさを発揮しようとすると完全にマイノリティに陥るのが今も昔も変わらない日本。日本人らしく生きている人たちって心どうなってるのかな?壊れないのかな?私はそういうのがとても苦手なので、逆にそんな彼らは凄い心臓の持ち主だなと思います。本作はすでに海外の映画祭に幾つも出品されてるけれど、もう少し短編に収まるようにまとめた方がより凝縮した言わんとしているところが伝わるような気がする。何百年経っても殆ど変わらないことにある程度の絶望を覚える作品です。2023年公開。

「正欲」

稲垣吾郎、新垣結衣主演他。傑作か、問題作か。不登校の息子が世間から断絶されることを恐れる検事の啓喜(稲垣吾郎)。特殊性癖を持つことを隠し、自ら世間との断絶を望む夏月(新垣結衣)。夏月と秘密を共有する佳道(磯村勇斗)。誰にも心を開かずに日々を過ごす大学生・大也(佐藤寛太)。自分の気持ちに戸惑いながらも心に従おうと邁進する八重子(東野絢香)。無関係に見えたそれぞれの人生が、ある事件をきっかけに交差する・・・。朝井リョウの「読む前の自分には戻れない」と評されたベストセラー小説を映像化。家庭環境、性的指向、容姿―様々に異なった“選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写し、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出す衝撃的ヒューマンドラマ。

9点!!ラストの対話にガツーンとヤラれて鼻がツンとなった。「性」という永遠のテーマを朝井リョウはこう描いたのか(原作未読)。性は面倒くさい。本当は性を介したくなくても、介することがメジャーだから、相手が求めているから、簡単だからと妥協して流されることがある。本当はそれ無しで同じ速度で繋がれたらと願っているのに難易度の高さに諦めてしまう。セックスの真似事をしてもセックスはしなくても良くて、セックス以外で心から繋がれる相手と居られたら。私も「いなくならないで」と胸が苦しくなるほど渇望するだろう。
性癖について。
満たされるものが人と違うということは、こんなにも孤独で追い詰められるものなのだと突き付けられた気がした。例えば、過去にそのことで「気持ち悪い」「おかしい」と言われたことがある場合や満たされるものが犯罪に抵触するものだった場合、彼らの欲は一生満たされることはないかも知れない。そんな彼らはどう生きればいいのだろうかと考えたことがある。自分という生き物が理解されない、受け入れられない、見てもらえない悲しさ、孤独、それは死にたいと思うほど強く絶望に近い感情なのではないだろうか。劇中で「あっちゃいけない感情なんてこの世にはないから」と言っていたけど、本当にそうかな?感情はそうかも知れないけど、感情と繋がっている言動は?出したらアウトになる欲を持っている人たちはたくさんいる。「この世界に明日生きていたくない人のもの、死んでもいいと思う人のものってない」という台詞に成程と思った。あれば、今日だけ明日だけ生きてみようと思えるんじゃないかな。終わりのない絶望ほど耐えがたいものはないから。色々、普段、自分が考えていることがまんま描かれている作品で共鳴しました。朝井リョウでここまで余韻が抜けなくなると思わなかった(失礼)。第36回東京国際映画祭観客賞を信用して観て良かった秀作です。2023年公開。

「アンダーカレント」

真木よう子主演他。生きるための嘘は、罪ですか?先頭の女主人・かなえ(真木よう子)は、夫・悟(永山瑛太)が突然疾走し途方に暮れる。なんとか銭湯を再開すると、堀(井浦新)と名乗る謎の男が「働きたい」とやってきて、住み込みで働くことになり、一人の不思議な共同生活が始まる。一方、友人・菅野(江口のりこ)に紹介された胡散臭い探偵・山崎(リリー・フランキー)と悟の行方を探すことになったかなえは、夫の知られざる事実を次々と知ることに。悟、堀、そして、かなえ自身も心の奥底に沈めていた想いが、徐々に浮かび上がってくる―。偽りも、本当も、抱きしめながら、生きていく。今泉力哉監督最新作。

1点!!本作は高評価だったので期待値を上げてしまっていた部分は否めませんが、あれ?刺さらんぞ?(爆)人の本心は自分であっても家族であってもわからない、そもそもわかるってどういうことかわかってる?って話ですよね。あと、自分が見ていた本当だと思っていた、本心だと思っていた姿が違うのかも知れない、でも確かめる術もないと、訳の分からないうちに荒野に放り出された時、信じていた人によって放り出された時の喪失と悲しみと何故?という気持ちはきちんと向き合う以外に癒されることはないです。私は未熟者だから折り合いなんてつけて生きていけないです。あ、だから刺さらなかったのか。いつものキナ臭すぎるキャストのオンパレードも逆効果でこのキャスト陣だったらこういう流れになるだろうをまったく外れてくれなかった。違う空気感になる俳優さんの方が個人的にはそうして欲しかった。井浦新さん目的で観たくせに(爆)凡庸で退屈な作品。2023年公開。

「怪物」

安藤サクラ主演他。怪物、だーれだ。大きな湖のある郊外の街。息子(黒川想矢)を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち。それは、よくある子供同士のケンカに見えた。しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した―。いったい「怪物」とは何か。登場人物それぞれの視線を通した「怪物」探しの果てに、私たちは何を見るのか。その結末に心揺さぶられる、圧巻のヒューマンドラマ。第76回カンヌ国際映画祭脚本賞・クィア・パルム賞受賞作。

7点!!伝えないことで守れるもの、傷つけるもの、守ろうとしたが故に取ってしまった間違った選択、人々が無意識に行ってしまう加害的な言動、それぞれの思惑から生まれた混沌の悪意はルーレットのように一人をめがけて直撃する。ほんの少しの差があったら、違う人物に直撃していた可能性が高い。子どもたち、特に湊(黒川想矢)が自身の混乱と未熟さゆえに一人の人間の人生を壊したことは「幼い、純粋」では済まされない。間違った選択をし、コミュニケーションで解決することを諦めた人たちの罪も重い。誰も死ななくて良かったけれど、誰かが死なないと気付かないんだろうなと感じた。日本の「臭いものには蓋を」精神は子どもにまで根付き、同じく根付いている「嵐が過ぎるまで待つ」精神では、取り返しのつかない事態になることを歴史の中で何度繰り返されてきたはずなのに、その前例から抜け出すことを億劫だからしない。これまでの私たちの常識といわれる事々や法律、社会のルールで明らかに間違っていて、前例をぶっ壊すべきものはたくさんあるのだけど。子役の黒川想矢くんと柊木陽太くん、是枝さんって本当に同じタイプの子選び続けるのだなぁと思った。怪物は積み重なるディスコミュニケーションの末に生まれてしまった思い込みのナイフかな。誰も責められないけれど、全員が加害者で被害者という、言葉で説明しにくいけれど、誰もが体感したことのあるイヤミスでした。2023年公開。

「Saltburn」

バリー・コーガン主演他。我々は皆、正気を失いかけている―オックスフォード大学に入学したオリヴァー・クイック(バリー・コーガン)は大学生活になじめないでいた。そんな彼が、貴族階級の魅力的な学生フィリックス・カットン(ジェイコブ・エロルディ)の世界に引き込まれていく。そしてフィリックスに招かれ、彼の風変わりな家族が住む大邸宅ソルトバーンで生涯忘れることのできない夏が始まった。「プロミシング・ヤング・ウーマン」のエメラルド・フィネル監督が特権と欲望を描いた美しく邪悪な愛の物語。


6点!!愛憎は厄介だ。愛が深いだけ執着し、本当に紙一重で永遠の憎しみに変わってしまう。オリヴァーの場合はフィリックスに意図的に近づいた筈だったが、彼のキラキラした一点の曇りもない魅力にヤラれ、さらに自分との外面だけでなく内面の差も浮き彫りとなり、羨み妬み愛し憎むというカオスな感情に吞み込まれたのだと感じた。そして、最後に残る感情は愛と憎しみ。フィリックスが持つものすべてを食い尽くしたオリヴァーは、誰もいない屋敷で一人踊り続け、フィリックスに成り代り、フィリックスを感じることが彼にとっての幸せになるのだろうか?孤独を感じ、また新たなターゲットを探し、幸せを掴めるとパラサイトしにいくのではないか。そんな狂気さを感じました。ブラックコメディというには毒々し過ぎるし、愛情表現がたまに吐きそうなレベルに到達している(爆)エメラルド・フィネル監督の新作だし評価も高かったから観てみてけれど、これはコアな映画ファン向けな作品です。2023年劇場未公開・AmazonPrime配信作品。

「エゴイスト」

鈴木亮平、宮沢冷魚主演他。与えることで満たされてゆく、この愛は身勝手ですか?14歳で母を失い、田舎町でゲイである自分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔(鈴木亮平)。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、自由な日々を送っている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母を支えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太(宮沢冷魚)。惹かれ合った2人は、時に龍太の母(阿川佐和子)を交えながら満ち足りた時間を重ねていく。亡き母への想いを抱えた浩輔にとって、母に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし彼らの前に突然、想いも寄らない運命が押し寄せる―。人気コラムニスト・高山真が綴った、生涯唯一の自伝的小説、映画化。

8点!!愛とエゴ。バランスですよね。浩輔の愛で龍太は救われた部分もあるけれど、浩輔のエゴで肉体的にも金銭的にもきつくなり、身体が限界を迎えてしまった。愛に盲目状態だった浩輔は龍太の身体の弱さとやつれていくのに気づくことが出来なかった。それを悔いているのに、龍太の母に対し、また同じエゴを貫き通してしまう。それしか愛し方を知らないからかな?龍太母にそれをやった時に引っぱたいてもらえてたら気付けたのかな?エゴなのだけど、相手を守りたいという愛でもあるというところが厄介ですよね。受け取った側のキツさに配慮出来ていないのが致命的だし、本当の愛は自分がいなくても相手が立てるようにしてあげることだと思うけれど。龍太と龍太母がそれが浩輔の愛し方なのだと受け入れてくれているのも愛であり優しさですよね。「出会っちゃったんだからしょうがない」という台詞があったけれど、愛情で支配しているというわけでもないのに、自分が相手を大切に想うが故に行った行為が相手を追い詰めるということもあるんだなと感じました。親子間ではあるあるだけど、恋愛関係では普通、どちらかが「もう無理」ってなるから、浩輔と龍太、龍太の母との関係性が成立しているのが「出会っちゃった」縁なのかなぁと切なくなりました。浩輔、パーソナルスペース0距離過ぎ(爆)鈴木亮平の愛に苦悩する演技がとても良かったです。宮沢冷魚さんも嫌味のない愛され男子(^^)2023年公開。

 

 

「市子」

杉咲花主演他。誰に目にも幸せに見せた彼女は、忽然と姿を消した―。市子(杉咲花)は、恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、突然失踪。長谷川が行方を追い、これまで市子と関わりがあった人々の証言を得ていくと、彼女の底知れない人物像と、切なくも衝撃的な真実が浮かび上がる・・・。彼女が背負った過酷な宿命。幸せな暮らしを自ら捨ててでも、市子が手にしたかったものとは―。監督の戸田彬弘が主宰する劇団「チーズtheater」の旗揚げ公演作を実写映画化。ただ、生き抜くために―本当の彼女を誰も知らない。川辺市子の魂の叫びが、あなたの心に突き刺さる。

 

6点!!無戸籍児、ヤングケアラー、性的虐待・・・子どもが抱えたくない問題全部乗せ状態の市子。すべては親のせいで本人には何の責任もない苦渋の人生なのだが、殺人だけは別。しかも一度ではないので仕方なかったとも言えなくなっている。どんな困難を前にしても決して諦めず「普通の幸せ」を求め続け“普通モンスター”と化してしまった市子を、杉咲花が殺人者の狂気さを感じさせない無垢な演技で表現していることで、逆に凄まじい狂気と底知れぬ市子の顔を感じさせられて恐ろしかった。冬子役で推しの石川瑠華が出ていたけど、彼女が市子を演じたら、きっととんでもなく自己中で男性を利己的に利用する女性に映っただろう。義父(渡辺大知)が言っていたように、嘘は嘘を重ねていくことでしか隠せないし、ひとつめの嘘よりふたつめの嘘の方がより大きな嘘が必要になってくる。そして最後にはこれまでの嘘を隠せるだけの大きな嘘を用意出来なくなる。それを見ないようにしてきた市子だが、今後、誰かの愛で変わることは出来るのだろうか?と切なくなった。ところで「閉鎖病棟」で笑福亭鶴瓶が死刑失敗で戸籍が亡くなったため、無罪放免にされていたが、無戸籍の人が犯罪を犯した場合はどうなるのか?と調べてみたところ、どうやら警察周辺の人々が犯人に戸籍を習得させた後、法で裁くこともあるらしい。逮捕されれば戸籍が取得出来て本人として生きていける。何とも皮肉な話だ。まさに破滅へ向かう途中の市子を観させられたわけだが、どうか誰でもいいから、市子の人生を軌道修正させ、彼女を救ってあげてほしいと願った。作品の構成自体は、市子と関わった人々の証言でチャプターが構成されていく仕様だが、その人々の数が多すぎて、全体が間延びし、勢いに欠ける作品となってしまっていた。削れる人物は削っていくなりすれば加速をかけられていたかも知れないので残念に感じた。2023年公開。

「花腐し」

綾野剛、柄本佑主演他。朽ちてなお、生きていく。ピンク映画の監督と脚本家志望だった男。ふたりが愛した女は、同じ女だった―。斜陽の一途にあるピンク映画業界。栩谷(綾野剛)は監督だが、もう5年も映画を撮れていない。梅雨のある日、栩谷は大家から、とあるアパートの住人への立ち退き交渉を頼まれる。その男・伊関(柄本佑)は、かつてシナリオを書いていた。映画を夢見たふたりの男の人生は、ある女優(さとうほなみ)との奇縁によって交錯していく。ふたりの男とひとりの女が織りなす、切なくも純粋な愛の物語。

5点!!原作未読です。うっわ、荒井晴彦らしい男性よがりな気取った勘違い男の台詞てんこ盛り過ぎて腹立つ~。え?原作がそうなのかな?そうだったらごめんなさい。「幼な子われらに~」くらいまでは好きな作品たくさんあったんだけどな。てか栩谷、桑山が祥子のこと見すぎな時点で気付くだろ・・・。それよりも栩谷、祥子が亡くなった理由明らかでしょ、俺の腐臭の問題じゃないから!(怒)ずっと俺中心に考えてるなら永遠に分からないままだからもう考えるの止めた方がいいよ。てか、あなた涙流すほど祥子のこと好きでしたっけ?っていう。何、自分に浸ってるの?もうクズ×クズなんだけど、綾野剛と柄本佑のラブシーン、タイプが違うけど、どっちもエロくて好きなんです(爆)二人とも色香が凄い。でも、脚本?キャラが不快過ぎた・・・普段からしてるならまだしも、行き当たりばっかりでAFなんかしたら大変なことになるからダメだよ!リアルさに欠ける。こういうAV観ちゃうから若者が気軽にやりたいとか言い出すんだよ(怒)諸悪の根源。てか、最後、歌に頼って綺麗にまとめようとしない方が良いって。綾野剛の涙が台無しじゃん。心中してるから!綺麗にまとまらないから!涙で終わりで正解だから!こんなに映画キャラに対してキモ・・・って腹立ったの久々(^^;) 2011年設定だよね?モノクロにする必要あった?これを「映画芸術」の1位にしちゃう辺りもキモイ無理。映画の成長と発展を妨げてる。2023年公開。

「ゆとりですがなにか INTERNATIONAL」

岡田将生主演他。岡田将生×松坂桃李×柳楽優弥×脚本・宮藤官九郎×監督:水田伸生、日本を代表する超豪華トリオと最強クリエイター陣が再び集結し、昭和・平成・令和・・・バブル・団塊ジュニア・ミレニアル・さとり・Z・・・あらゆる世代、そして世界に贈る新たなコメディ映画が爆誕!<野心がない><競争意識がない><協調性がない>【ゆとり世代】・・・かつて勝手にそう名付けられた彼らも30代半ばを迎え、それぞれ人生の岐路に立たされていた・・・。夫婦仲はイマイチ、家業の酒屋も契約打ち切り寸前の坂間正和(岡田将生)、いまだに女性経験ゼロの小学校教師・山路一豊(松坂桃李)、事業に失敗し、中国から帰ってきたフリーター・道上まりぶ(柳楽優弥)。家族、仕事、ライバル、不倫疑惑、エビチリ、二日酔い・・・彼らの前に立ちはだかる“人生の試練”!そして、<Z世代><働き方改革><コンプライアンス><多様性><グローバル化>・・・想像を超える新時代の波も押し寄せ、物語は予想外の展開へ・・・!!時代は変わった。俺たちは・・・どうだ!?世代を超え、そして国境とも超える!?喜怒哀楽渦巻く予測不能なドタバタ人間ドラマが、新時代の幕を開ける!

5点!!クドカン作品の中でもかなり上位に入る「ゆとりですがなにか」。やはり安藤サクラ参戦が大きくて彼女が演じる茜が可愛いんです(^^) でも、ドラマと同じテンション、規模だったので、映画にする意味はないかな。面白かったけど特別編って感じだし。続くなら観たいけど。いまや主役級になった俳優陣もちゃんと再集結出来るのがクドカン作品の良いところですよね。次は北村匠海も(笑)特に感想はないな(^^;)コロナ禍に中国からの謎の郵便物が大量に日本に届いた事件を思い出したくらい(うちにも種届いた(爆))2023年公開。

「キングダム 運命の炎」

山崎賢人主演他。運命に導かれ、時は来た。500年にわたり、七つの国が争いを続ける中国春秋戦国時代。戦災孤児として育った信(山崎賢人)は、亡き親友と瓜二つの秦の国王・嬴政(吉沢亮)と出会う。采井に導かれるように若き王と共に中華統一を目指すことになった信は、「天下の大将軍になる」という夢に向けて突き進んでいた。そんな彼らを脅威が襲う。秦国への昔年の恨みを抱く隣国・趙の大軍勢が、突如、秦への侵攻を開始。残忍な趙軍に対抗すべく、嬴政は、長らく戦から離れていた伝説の大将軍・王騎(大沢たかお)を総大将に任命する。決戦の地は馬陽。これは奇しくも王騎にとって因縁の地だった・・・。出撃を前に、王騎から王としての覚悟を問われた嬴政が明かしたのは、かつて趙の人質として深い闇の中にいた自分に、光をもたらしてくれた恩人・紫夏(杏)との記憶。その壮絶な過去を知り、信は想いを新たに戦地に向かう。100人の兵士を率いる隊長になった信に、王騎は「飛信隊」という名を授け無謀な特殊任務を言い渡す。秦国滅亡の危機を救うため、立ち上がれ飛信隊!運命に導かれ、時は来た。炎の如き熱き戦いがいま始まる―。

4点!!佐藤監督は長い漫画原作をポイントは外さずに再構築して映画の短い時間で完結させるのに長けている監督だと思っているのですが、「キングダム」シリーズは何作まで予定されているのでしょうか?今回は人間関係よりアクションがメインで、それも入り乱れているので、それぞれのキャラが観づらいです。韓国ドラマなんかだと脇のおじさんキャストまで凄いアクション披露したりしてエンタメ性が高いので、そこは見習ってほしいなと思います。三国志は詳しくないので、誰がいつ誰を倒すとかわからないまま観れるのは新鮮で楽しいです。でも、もうちょっと見せ場欲しいかな。2023年公開。

 

 

「シック・オブ・マイセルフ」

クリスティン・クヤトゥ・ソープ主演他。最狂の承認欲求モンスター誕生。シグネ(クリスティン・クヤトゥ・ソープ)の人生は行き詰っていた。長年、競争関係にあった恋人のトーマス(アイリク・サーテル)がアーティストとして脚光を浴びると、激しい嫉妬心と焦燥感に駆られたシグネは、自身が注目される「自分らしさ」を手に入れるため、ある違法薬物に手を出す。薬の副作用で入院することとなり、恋人からの関心を勝ち取ったシグネだったが、その欲望はますますエスカレートしていき―。暴走する自己愛に、嫌悪と共鳴が止まない“セルフラブ”メディケーション・ホラー。第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品作。

4点!!ノルウェーの映画(合作)。北欧のこの手の作品のエグさと鋭さは相当ですよね。それこそシグネと同じで、普通の人々が飛び越えることを躊躇するボーダーラインがない。ボーダーラインがない人は一般的に見たらおかしいレベルまで突き抜けていても何とも思わないから、最後には一般社会から孤立してしまうことになる。シグネは自己愛性パーソナリティ障害なのだと思うけれど、人を助けたことがきっかけなのだったら、そういう方面にいけば良かったのに(^^;)父親との関係がサラッと描かれているけれど、個人的にパーソナリティ障害の多くは育った環境に多く起因していると思っているので、もう少し親子の関係、彼女の背景も描いてほしかったです。承認欲求は誰にでもあるものだけど、簡単に嘘だとバレてしまう言動をSNS上などでしてしまうのは何故なのだろう?バレたら消せばいいと思っていてもデジタルタトゥーという言葉があるくらい、ネット上に上げたら完全に消すことは不可能なのに。こういうのって成長過程のどこかで失敗体験をして学ぶものだけど、今まで成功してきていると思い込んでるのかな?その証拠にそんなシグネにドン引きしない彼氏が傍にいるし。今の世界だと実際の生の繋がりが希薄だから、シグネの言動の裏にある深い闇の方に興味を持ってくれる人がいなくて、シグネが本当に見て欲しい部分はそこなのかな?と感じました。だから、ああいうセラピーじゃそこまで個人を引き出すことは出来ないと思う。多様性の多様にも一般的ボーダーが引かれている事実を痛烈に表現していたのは良かった。オエッとなっちゃうくらいのドロッドロの自己愛を流し入れられ続ける作品なので、元気な時に観てください(^^;) 2023年公開。

「交換ウソ日記」

高橋文哉、桜田ひより主演他。突然届いたラブレター。でもそれは、親友宛だった・・・ウソからはじまる本当の恋―?高校二年生の希美(桜田ひより)は、ある日移動教室の机の中でに、ただ一言、「好きだ!」と書かれた手紙を見つける。送り主は、学校イチのもて男子・瀬戸山(高橋文哉)。イタズラかなと戸惑いつつも、返事を靴箱に入れたところから、ふたりのヒミツの交換日記が始まる。ところが、実はその手紙や交換日記が親友宛てのものだったことが判明。勘違いから始まった交換日記だったが、本当のことが言い出せないまま、ついやりとりを続けてしまう。いつも空気を読みすぎてしまう話し下手な希美は、自分とは真逆の、思ったことをはっきりと口にするド直球な瀬戸山を最初は苦手に思っていたが、彼を知るうちに惹かれていく。その一方で、打ち明けるきっかけをどんどん失っていき、事態は思わぬ方向へ・・・。ヒミツの交換日記からはじまる、最高に切ない“すれ違”ラブストーリー。

2点!!原作未読です。この手の作品で原作が漫画ではなくラノベなのが珍しいと思いました。原作では「嘘をついた罪悪感」がもっと深刻に書かれてるしっかりした小説のようですが、どうしても10代向けのキラキラ学園映画にしちゃうと薄っぺらくなっちゃいますね。てゆうか、親友のフリして恋文をやりとりするって中々の悪だと思うのですが、結構あっさり許しちゃう二人(特に付き合うの浅い瀬戸山)の器のでかさ。そういう人間だとは思わないってこと?10代だからね、間違いもあってこその成長だよってこと?同級生目線で?とりあえず、高橋文哉と桜田ひよりはずっと観ていられる美男美女。悪い人が誰も出てこなくてトラブルが起きても特に打ちひしがれるとかなく、サラサラと解決し流れていく、流し見にちょうど良い作品。2023年公開。

「愛にイナズマ」

松岡茉優、窪田正孝主演他。この出会い、一億ボルト。どうしようもない家族は、最高の家族でした。長年の夢だった映画監督デビュー目前で、すべてを奪われた花子(松岡茉優)。イナズマが轟く中、反撃を誓った花子は、運命的に出会った恋人の正夫(窪田正孝)と共に、10年以上音信不通だった家族のもとを訪れる。妻に愛想を尽かされた父・治(佐藤浩市)、口だけがうまい長男・誠一(池松壮亮)、真面目ゆえにストレスを溜め込む次男・雄二(若葉竜也)。そんなダメダメな家族が抱える“ある秘密”が明らかになった時、花子の反撃の物語は思いもよらない方向へ進んでいく・・・。超豪華キャストが繰り出す、笑いと感涙の痛快エンタテインメント!物語の結末に・・・想像を超えた“感動”が待っている。

4点!!石井裕也監督のファミリーものとも相性悪いです・・・。本作も予告編では勢いのある感じなのかなと思ってたけど、ほんわかファミリー映画だった。それに父親がワケありDVなこと以外はいたって普通の家族でダメダメでも何でもない。それより、前半戦の嫌な助監督とプロデューサーのリアルな嫌さが強烈過ぎて、監督は誰か特定の恨みを持って描いているのでは?と苦笑いしてしまった。三浦貴大は年々嫌な役がハマりにハマっていて凄い。私も口癖の「絶対」「ありえない」を言う人間とは発展性がないから会話が成り立たないと思う。あとそんなに出番がない仲野太賀の演技のインパクトも凄かった。脇に持ってかれ気味。正夫の安倍マスクの小ささを揶揄しているのは笑ったけど、あんなにドバドバ血が出ていて彼も何かの病気なのでは?と心配してしまった。雄二が停電中にシレッとお酒飲んでるのもちょっと面白かった。なんかこうもう1~2つガツンとしたインパクトが足りないんですよね。ぬるいうどんみたいな。演技派ばかりを集めて上手く料理出来ないと胡散臭くなるのはどうしてなんだろう?(爆)2023年公開。

「ゴジラ-1.0」

神木隆之介主演他。戦後、日本。無から負へ。焦土と化した日本に、突如現れたゴジラ。残された名もなき人々に、生きて抗う術はあるのか。ゴジラ70周年記念作品となる本作を山崎貴が描く。絶望の象徴が、いま令和に甦る。第96回米アカデミー賞視覚効果賞受賞作品。

9点!!やはり神木隆之介は凄かった。過去イチレベルの凄まじい気迫の名演だった。壊れた人間と怒りと深い闇と混乱を見事に混在させてて観ていてゾッとするレベルでした。てか、ゴジラの基本知識も興味もそんなにない状態で観たのですが(爆)、ゴジラって治癒力持ってるの?これまでもそうだったのかな?緊迫シーンに笑いをさりげなく放り込むところ、さすが山崎監督の遊び心。あと山崎ゴジラ、ハリウッドや庵野ゴジラと比べると丸顔で何だか言葉が通じそうなフォルムが可愛らしい。ゴジラとオレンジの浮き輪なんて可愛いの極み(笑)グッズであったらゴジラ好きじゃなくても欲しい(笑)武装解除した駆逐艦に出来ることが水圧作戦だけなのが泣けるし、知恵を絞った結果、それしか出来ないのにやる気出してる日本人にも泣ける。ゴジラのテーマのアレンジを聴いた瞬間、佐藤直紀さんによるものだと分かってしまい、めっちゃアガった↑↑↑(一番好きな劇伴作家さん)。相変わらず白組との相性良いし、イイ仕事なさっているようで(^^) 安藤サクラ「これで助演は・・・」なんて声がチラホラ聞かれたけど、いやいやめっちゃ爪痕残してるし迫力凄いじゃん、隣家のおばさん役なだけなのに流石じゃん。でも、戦後1~2年で軍出身者や上層部があそこまで思考転換出来るとは思えないから、そこはご都合主義で時短優先にした気がした。・・・典子(浜辺美波)はG細胞で生き延びたのか・・・そんなことをピコンと思いついちゃうのはやはり山崎監督が天才だからなのだと思う。マニアックなわけじゃなくて、テーマに興味ない客層もちゃんと楽しませるのが彼の作品の魅力。2023年公開。

「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」

ティモシー・シャラメ主演他。若き日の工場長ウィリー・ウォンカ(ティモシー・シャラメ)はいかにしてあの“チョコレート工場”を作ったのか―?発明の天災にしてチョコレートの魔術師ウォンカが夢見たのは、チョコレートで有名な町に、世界一のチョコレート店をつくること。ところがその町は、チョコレート店の新規開店はご法度の、“夢みることを禁じられた町”だった・・・。そんなある日、ウォンカのチョコレートを盗む<小さな紳士>ウンバルンバを発見!それから、誰も想像できない物語が始まった―。「ハリー・ポッター」のプロデューサーと「パディトン」の監督が次世代スター、ティモシー・シャラメを迎えて贈るファンタジー超大作―この冬、日本中にチョコレートの魔法がかかる!

9点!!ティム・バートンの世界観だと思って観るの躊躇してたら、大好きな「パディントン」の制作陣になってる!!「パディントン」のあの紙芝居や絵本の中のような可愛らしい世界観そのままで、ちょっとウェス・アンダーソンっぽくもあって、毒気がなくなって、最高に好み♪ポール・キング監督の劇中小物ってどれも実物欲しい~と思ってしまうものばかりで、ポータブルチョコレート工場とかヒュー・グラントのウンパルンパとか!昔、流行った声に合わせて踊る人形のヒューウンパルンパver.があったら絶対買うのに!!シャラメの見た目はジョニデver.の若かりし頃のウォンカにピッタリで、彼が陽キャで歌って踊るのも意表をついていて良かったです。でも、作品を観てしまうとトムホver.もぜひ観たかった!!邪気のないSWEETな若かりしウォンカはトムホにピッタリだし、歌もダンスもトムホだったらこう表現するんだろうなというのが目に浮かんでしまって。シャラメも美しい顔とどんどん罠にハメられていくギャップが笑えて良かったけど、やはりミュージカルパートは少しぎこちなさを感じてしまう・・・。舞台みたいにWキャストで観たい!!てか、この2大可愛い二人に負けてないヒューウンパって何なの!!イケオジ可愛すぎる!!「チャーリーと~」は小さいお子さんは怖がって結構泣いてしまうことがあるのですが、本作なら絶対笑顔で観てくれると思う(^^)好き!!2023年公開。

「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」

福原遥、水上恒司主演他。君のために、生きたい。あなたと一緒に、生きたい。目が覚めるとそこは、1945年の日本。初めて愛した人は、特攻隊員でした―。親や学校、すべてにイライラして不満ばかりの高校生の百合(福原遥)。ある日、進路をめぐって母親とぶつかり家出をし、近所の防空壕跡に逃げ込むが、朝目が覚めるとそこは1945年の6月・・・戦時中の日本だった。偶然通りがかった彰(水上恒司)に助けられ、軍の指定食堂に連れていかれる百合、そこで女将のツル(松坂慶子)や勤労学生の千代(出口夏希)、石丸(伊藤健太郎)たちと出会い、日々を過ごす中で、彰に何度も助けられ、その誠実さや優しさにどんどん惹かれていく百合。だが彰は特攻隊員で、程なく命がけで戦地に飛ぶ運命だった―。人を愛すること、大切に思うこと、共に生きること―今では当たり前のことが許されなかった時代に出会った百合と彰。2人の時を超えた愛が交差する、涙なくしては観られないラブストーリーがこの冬、誕生する。

4点!!「恋空」みたいなSNS中心のラノベという前情報がノイズになってしまっていたけど、中高生が感情移入しやすい作りと分かりやすさだったので、戦争ものを避けがちな年齢層に観てもらうには良い作品だと感じました。でも、本当に何の捻りもない最初から最後までお決まりの展開なので、主演二人の爽やかさと美男美女ぶりがなかったら観ていられなかったと思う。でも、愛する人と死ぬ必要がないのに死に別れるなんて耐えられない。最初からわかっていたから耐えられ、前を向くことが出来たのだろうか?私には耐えられそうにない。それが一生ものの恋ならば、一生引きずる自信がある(涙)真夏の暑い日に中高生に映画館デートで観てもらいたい作品(夏に戦争もの観た後に外に出て暑さと青空の眩しさを臨む醍醐味)。ああ、でもなぜ冬公開(涙)2023年公開。

「ハンガーゲーム0」

トム・ブライス主演他。生き残れ。記念すべき第10回ハンガー・ゲームの新しい試みとして、プレイヤーの教育係に任命された18歳の若き少年スノー(トム・ブライス)は、貧しい境遇から抜け出す為、優勝を心に決める。だが、彼が担当する事になったのは、第12地区のひ弱な少女ルーシー・グレイ(レイチェル・ゼグラー)だった。そして、彼女の唯一の武器は歌だった―。世界的大ヒットシリーズ最新作は、「ハンガーゲーム」でカットニス(ジェニファー・ローレンス)がプレイヤーとして志願する64年前にして、スノー大統領(ドナルド・サザーランド)がパネムの独裁者として君臨する数十年前。全てはここから始まった!究極のサバイバルアクションを体感せよ!

5点!!原作から読んでいて好きなシリーズだけど、本作は原作では描かれていないのでオリジナルなのかな?ダラダラ続けて後半失速していた本編と違い、独立しているお話なので、スッキリしていて良かったです。若き日のスノーは、最初からもうグラグラで中立というよりどっちに転ぶかわからない感じ。人間は生まれた時は善だけど、悪の入り口は広く開かれており、誘惑もとても多い。反対に善はマイノリティといっても過言でないほど、伝える人を選ばないと潰されてしまうくらい小さい灯火だ。環境、思想、経験などにより、その人の善悪バランスが決まってくるが、キャピトルにいるスノーの周囲は悪ばかりなので、彼はあっという間にダークサイドに堕ちてしまう。ゲーム初期の闘技場がめちゃ狭だったのは厳しい~と思いましたが、狭ければ狭いほど、過酷であれば過酷であるほど、人は人でいることが困難になっていく。戦争も世界規模で起こっているけれど、現場にいる人々にとってはそこで起こったことがすべてで、どんどん視野が狭くなり、情報が足りないことで疑心暗鬼になっていく。こういう実験を経て分かった人間心理を悪用する戦争って最悪だなホント。ただ、本作に関して言えば、もう少しあっと驚くような展開があっても良かったと思う。本編と比べてパンチが足りない。主要参加者以外の印象もとても薄い。ルーシー役のレイチェル・ゼグラーが可愛かったので、キャストに興味があれば観てもいいかも。2023年公開。

 

「キリエのうた」

アイナ・ジ・エンド主演他。忘れたい。忘れたくない。13年間の出逢いと別れ。キリエの歌がつなぐ4人の物語。歌うことでしか声を出せない路上ミュージシャン・キリエ(アイナ・ジ・エンド)、姿を消したフィアンセを捜し続ける青年・夏彦(松村北斗)、傷ついた人々に寄り添う教師・フミ(黒木華)、過去を捨て、名前を捨て、キリエのマネージャーを買って出る謎めいた女性・イッコ(広瀬すず)。石巻、大阪、帯広、東京―岩井監督のゆかりある地を舞台に紡がれる、出逢いと別れを繰り返す4人の壮大な旅路。儚い命と彷徨う心、そこに寄り添う音楽。“あなた”がここにいるから―。13年に及ぶ魂の救済を見つめたこの物語は、スクリーンを越えて“貴方”の心と共振し、かけがえのない質量を残す。

7点!!初めはアイナ・ジ・エンドの癖のある話し方が気になるのとふわっーとしたお話だなと思って観ていましたが、イッコのキナ臭さが出てくる辺りから、バラバラだった話が渦を巻き始めた。それぞれが傷とやりきれなさを抱えながらも懸命に生きようとしている姿に心がジクジク痛み、苦しいけれど、その姿に生きる力を貰えた気がした。親愛、友情、家族愛、一人になった時に手を差し伸べてくれる人たち、今、目の前にいなくても、それらはずっと消えなくて大切な灯火となって、生きる道標になっていくのだなと感じた。「スワロウテイル」オマージュっぽいシーンもあったり、あと岩井監督バレエ好きよね、キリエとイッコの二人は「花とアリス」感出ちゃうよねと思ったり(^^;)何だか久々に色々詰め込んだ大作路線の作品だった。広瀬すずはメイクのせいもあるかも知れないけれど、観たことのない表情をする瞬間が何度もあり、化ける一歩手前の期待感がありました。「リップヴァンウィンクル~」の黒木華のように、次作以降で岩井監督、広瀬すずの新たな魅力を引き出してくれないかな。若手3人が岩井マジックで良い演技するなぁと見惚れました。2023年公開。

「ほつれる」

門脇麦主演他。心がゆれる―。綿子(門脇麦)と夫・文則(田村健太郎)の関係は冷め切っていた。綿子は友人の紹介で知り合った木村(染谷将太)とも頻繁に会うようになっていたが、あるとき木村は綿子の目の前で事故に遭い、帰らぬ人となってしまう。心の支えとなっていた木村の死を受け入れることができないまま、変わらない日常を過ごす綿子。夫や周囲の人々との関係に揺れ動く心を抱える綿子は、木村との思い出の地をたどる・・・。平穏に見えた日々が、静かに揺らぎ始めるとき、彼女の目に映るものとは。主演:門脇麦×監督・脚本:加藤拓也、気鋭の演出家と実力派俳優が織り成す、緊迫感あふれる84分。


9点!!オリジナル脚本、しかも面白いやつきたーー♪これは経験者同士で語り合いたいやつ(爆)冒頭、不倫相手が目の前で轢かれて救急車呼ばないで見捨てる心理がわからない・・・私には無理と思ったけど、ここまで自分を守る為に非情になれるのに、結局、感情処理が出来ずにボロが出てしまう、これが女性という生き物なのだろうとも思った。不倫って相手が死んでも泣いたりわめいたりせず、日常を何一つ変えず、気づかれず、淡々と日々を続けなければならないということなんですよね・・・こちらも出来る自信が更々ない。綿子夫婦は不倫を繰り返す悪夢パターンだが、互いに剥き出し過ぎるし、なんでそこ突っ込んじゃうんだろう?というところもあるし、お互い幼いということなのだろう。あとロマンチストのナルシスト?田村健太郎さんは好きな俳優さんだけど、あんなモラハラ夫は嫌だ―。開口一番「謝って」って最悪。でも、綿子の最後の台詞を聞くと、あそこまで吐露してもこの人と縁が切れることはないだろうという信頼?信用感があるのかな?木村パパ(古舘寛治)が外野からバラしちゃうのは責任のない正義感ほど迷惑なものはないと思った。同性の親だったらモヤモヤしても墓場まで持っていくか言う人考えようよって。言われて聞かされて良い気持ちになる人誰もいないのに「自分が抱えてられない」ってだけで言うなよっていう(嫌)終わり方も絶妙~後引く~(笑)そして、エグる~。加藤監督の作品は初見でしたが、他にも観てみたくなりました。2023年公開。

「デシベル」

キム・レウォン、イ・ジョンソク主演他。騒ぐな、危険!騒音反応型爆弾テロ、発生。高IQ爆弾魔の標的は、元海軍副長。人質は釜山市民。大都市・釜山。ある一軒家で起こった爆破事件のニュースを目に元海軍副長カン・ドヨン(キム・レウォン)にかかってきた一本の電話。「次のターゲットは、サッカースタジアムだ。通報したり観客を避難させたら爆発する。」それはテロリスト(イ・ジョンソク)からの脅迫だった。仕掛けられたのは普通の爆弾とは違い、騒音が一定のデジベルを超えると制限時間が半減して爆発する特殊爆弾だ。ドヨンは事態を把握する間もなく、5万人の群衆で埋め尽くされた釜山アシアード競技場に向かうが・・・。元海軍副長vs高IQ爆弾魔!連続爆弾テロ事件に隠された悲しい過去とは―?圧倒的なスケールで贈るサウンドパニックアクションが遂に日本上陸する。

7点!!パニックアクションという宣伝の仕方よりかなり重たい話だった。実話ベースでないのにこういう作品が生まれるところに韓国の軍人意識とレベルの高さを物語っているようにも感じた。イ・ジョンソクのスイッチ入った時の凄みのある演技はハンパないから、もうスリラーとかホラーに感じるくらい、一人で観るのが怖かったです。主人公のカン・ドヨンはあんな経験をした後でも腐らず重圧を背負いながら軍人を続けていて、幹部になる人間はあれほどまでに強くなければならないのかと言葉を失った。月並みな言葉だと命を預かる責任・・・。ただ、音に連動する爆弾設定と高IQ爆弾魔というのが、生かしきれていない印象は受けた。それにイ・ジョンソクが演じた役の性格的に無差別に他人を巻き込む人間ではないと感じたので、その違和感もあった。壊れて亡霊化してるからってことかな?面白かったのだが、疲れている時に観たので途中寝落ちしてしまい、夢の中でもこの映画を連想させる悪夢を観ていたくらい(じゃあ起きて映画観ようよっていう)、怖かったです(;_;) 2023年公開。

「きっと、それは愛じゃない」

リリー・ジェームズ主演他。恋はもう、絶滅危惧種?ドキュメンタリー監督として活躍するゾーイ(リリー・ジェームズ)は、久しぶりに再会した幼馴染で医師のカズ(シャザド・ラティフ)から、見合い結婚をすることにしたと聞いて驚く。なぜ、今の時代に親が選んだ相手と?疑問がたちまち好奇心へと変わったゾーイは、カズの結婚式までの軌跡を次回作として追いかけることに。「愛もなく結婚できるの?」と問いかけるゾーイ自身は、運命の人を心待ちにしていたが、ピンときては「ハズレ」と気づくことの繰り返し。そんな中、条件の合う相手が見つかったカズは、両親も参加するオンラインでお見合いを決行。数日後、カズから「婚約した」と報告を受けたゾーイは、カズへの見ないふりをしてきたある想いに気づいてしまう―。「アバウトタイム」「ブリジット・ジョーンズの日記」の制作陣が贈る、現代の愛と結婚に迫る“今”のラブストーリー。

2点!!今はムスリムもオンラインマッチングで結婚相手を決めちゃうのかー。どれだけ小さい頃から一緒にいる幼馴染でも宗派と人種が違うってだけで結婚対象外にされちゃうのは時代錯誤だと思った。お見合い結婚自体は良い制度だと思うけれど、イスラム教の「結婚するまで相手を知らない」とか短期間で縁談をまとめようとすると、蓋を開けてみたら、全然思い描いていた結婚とは違うって相当数のカップルが陥ってそう。それでも女性が一生耐え続けることでムスリムの結婚は成り立っているのかな?本作はムスリムと恋愛しようとするとこうなるというのをわかりやすく描いているけれど、リリー・ジェームズが可愛いだけで成り立っている部分が大きく、特に目新しい展開がない。ので、寝落ちしながら鑑賞(爆)もう少しテンポ感を上げるのとコメディタッチな描き方をしてくれたら観やすくなると思う。2023年公開。

「REBEL MOON パート1:炎の子」

ソフィア・ブテラ主演他。これはヒーローではない、レベルズ(反乱者)の物語。舞台は暴君バリサリウス(エド・スクレイン)率いる巨大帝国「マザーワールド」が支配する銀河。ある日、宇宙を彷徨っていたところを宇宙の片隅にある村の主に拾われたコラ(ソフィア・ブテラ)はその村で穏やかな日々を過ごしていた。しかしある日、平和な村にバリサリウス軍が現れ、侵略が始まってしまう。軍を見るや否や、一度は逃げ出そうとしたコラだったが、村の仲間たちが暴行される姿を見過ごせず、銀河の自由を勝ち取る為に宇宙に散らばる屈強な戦士を集める旅に出発する。これはヒーローではない、レベルズ(反乱者)の物語。ザック・スナイダー監督が20年の構想を経て放つNETFLIX、SF超大作。

3点!!ザック・スナイダー監督が好きな「スター・ウォーズ」「七人の侍」を感じさせるシーン満載の作品。というか展開は「七人の侍」そのもの(^^;) 私はスナイダー監督作を積極的に観る方ではないので、危惧していた通り、NETFLIXの潤沢な製作費を無駄遣いした長過ぎる前置きと、まんま「七人の侍」の勧善懲悪な既視感あるシンプルストーリーにクライマックスまで耐えられるか?で評価が分かれるかと(^^;)あとは「キングスマン」シリーズで敵役のぶっ飛び演技を披露してくれた主演ソフィア・ブテラの表情演技が微妙。コラが集める7人の仲間たちに割くシーンが少ない為、キャラ立ちが弱いし、命を懸けてまで同行する理由に思えないキャラクターもいました。クライマックスに総出で戦うシーンも、それぞれの特技を生かした戦いをしておらず、ひとりひとりの見せ場も作っていない為、彼らの生死に感情移入出来ないのが致命的。このまま、オマージュ展開で最後までいくのならショートカットにして欲しいけど、このままダラダラ描かれるのだろうな~。てかアンソニー・ホプキンスいつ出てくるだろう?と思っていたら、AIの声かいっていう(^^;)後半観ようか迷ってしまう作品。2023年劇場未公開・NETFLIX公開作品。

「月」

宮沢りえ主演他。深い森の億にある重度障害者施設。ここで新しく働くことになった堂島洋子(宮沢りえ)は、“書けなくなった”元・有名作家だ。彼女を「師匠」と呼ぶ夫の昌平(オダギリジョー)と、ふたりで慎ましい暮らしを営んでいる。施設職員の同僚には作家を目指す陽子(二階堂ふみ)や、絵の好きな青年さとくん(磯村勇斗)らがいた。そしてもうひとつの出会い―洋子と生年月日が一緒の入居者、“きーちゃん”。光の届かない部屋で、ベッドに横たわったまま動かない“きーちゃん”のことを、洋子はどこか他人に思えず親身になっていく。しかしこの職場は決して楽園ではない。洋子は他の職員による入居者への心ない扱いや暴力を目の当たりにする。そんな世の理不尽に誰よりも憤っているのは、さとくんだ。彼の中で増幅する正義感や使命感が、やがて怒りを伴う形で徐々に頭をもたげていく―。そして、その日はやってくる。実際の障害者殺傷事件を題材に、2017年に発表された辺見庸の小説「月」を実写化。2023年、世に問う大問題作が放たれる。

10点!!原作未読です。メガホンを取ったのは「舟を編む」の石井裕也監督。いやー描き切りましたね。グサリと刺さりました。というか鬱三部作(「ミッシング」「あんのこと」と本作)ぶっ続けで観ちゃいました(;_;)予想はしてたけど、これが最後にして一番キツかったです。実力派俳優陣が揃う中、磯村くんの目が最初から凄い(怖)何故こんなにもホラーテイストに作ったのか?と感じるほどダークファンタジーと現実の隙間に堕ちてしまったかのように施設の有様が描かれています。オダギリジョーや二階堂ふみなど現実感のない俳優を配置しているのは意図的なのだろう(石井監督の好みでもあるが)。確かに、この施設で働きながら正気を保つのは難易度が高い。ただ、どんな仕事でも感情のスイッチをオフしなきゃならない場面はある。とても自分だけでは抱えきれないから見ないようにしていることもある。見ないようにされていると感じることもある。この世界はそれだけおかしくて不条理で溢れているから。“生きる意味”については、そんなの本人以外がいくら考えたところで答えなんて出ないから考えても仕方ない。ただ、洋子やきーちゃんの親子のの関係のように、誰かにとって誰かは失い難い家族だというのは確かだ。人間かどうかなんて愚問で、だってペットだって人間じゃないけど、失い難い、かけがえのない家族でしょと思った。大切な存在なのだ。ただ、現実問題として、このような施設では社会的弱者が弱者を介護するという勤務体系が取られがちで、その状態ではケアする側の心が病み、このような事態を招くことがあると思う。内部の人間が閉鎖的空間を作り出せてしまうのも問題だ。私自身、家族が施設にいて、施設のずさんさに唖然としたことはあり、とても信頼して家族を預けられる状態ではない(しかし、これについては私に決定権がない)。ちょうど今日、テレビで不正の温床で死者も出ている施設の改善策のひとつとして「一般の人の目を入れる」というのがあった。でも一年に一回だった。まじで意味がない。それに陽子(二階堂ふみ)が「誰も見たくないから隠されている」と言ったように、施設寄りではない(ボランティア好きとかは施設寄りだと思っている)、忖度の関係者でもない一般の人の誰が来たがる?「(自分の貴重な時間を使ってまでは)見たくない」。これが残酷だけど、世の大勢が感じている事実だと思う(もちろん、そうでない人もいる)。この劇中で洋子と陽子だけは希望に手を伸ばそうとしている。でも、それは諦めが悪く、意志の強い人間でないと出来ない所業だ。この社会的負のループを改善する方法はわからないが、ケアが必要な人(障害者だけではなく広く一般的に)と接する時、その人の人生に寄り添い、家族だったら、その人本人だったらという目線で接することをこれからもしていきたいと思う。2023年公開。

「リバー、流れないでよ」

藤谷理子主演他。舞台は、京都・貴船の老舗料理旅館「ふじや」。静かな冬の貴船。ふじやで働く仲居のミコト(藤谷理子)は、別館裏の貴船川のほとりに佇んでいたところを女将に呼ばれ仕事へと戻る。だが2分後、なぜか再び先ほどと同じく貴船川を前にしている。「・・・・?」ミコトだけではない、番頭や仲居、料理人、宿泊客たちはみな異変を感じ始めていた。ずっと熱くならない熱燗。なくならない〆の雑炊。永遠に出られない風呂場。自分たちが「ループ」しているのだ。しかもちょうど2分間!2分経つと時間が巻き戻り、全員元いた場所に戻ってしまう。そして、それぞれの“記憶”だけは引き継がれ、連続している。そのループから抜け出したい人、とどまりたい人、それぞれの感情は乱れ始め、それに合わせるように雪が降ったりやんだり、貴船の世界線が少しずつバグを起こす。力を合わせ原因究明に挑む皆を見つつ、ミコトは一人複雑な思いを抱えていた―。凛とした静寂を纏う冬の貴船と、2分のタイムループという新たな時の牢獄から抜け出すべく必死な大人たちのギャップが楽しい、前人未到のタイムループコメディがここに誕生。上田誠率いる劇団ヨーロッパ企画オリジナル長編映画第2弾。

4点!!高評価作品だったので観てみた。容易に舞台風景が浮かぶ感じで舞台の方の作品だなぁと思った。雪景色の貴船の雰囲気なんかは映画ならではですけど、2分じゃ見事に旅館周辺しか移動出来ないし、広範囲の撮影もないので、街の良さは伝わりずらいかも。旅館ってそもそも日常を忘れたくて行くところだから、そりゃ時間動かないでいいよって思う人も結構いるよねって思った(^^;)あと、熱燗の仲居さんが序盤で疲れているのを観て、身体は疲れていないはずなのに疲労は脳なのだな~とも思った。9ターンくらいから雪が降り始めて、ループに閉じ込められた人々も血なまぐさい感じになっていくのがリアルだった。進めない人生は怖い。刺しまくってた厨房は和解なんて出来たのだろうか(汗)思わずクスリとしてしまうシーンはあるけれど、基本「カメ止め~」と同じく映画祭で上映したら盛り上がりそう、つまり観客が観てあげる、盛り上げてあげるスタンスの作品なので、アリだけど劇場まで行こうとは思わないかも。映画祭だったらチケット買って一体感を楽しみたい。2023年公開。

「バービー」

マーゴット・ロビー主演他。ようこそ、<夢>のような世界へ。バービーランド、そこはすべてが完璧で、毎日がハッピーな<夢>のような世界!ピンクに彩られた街でバービー(マーゴット・ロビー)とボーイフレンド?のケン(ライアン・ゴズリング)が連日繰り広げるのはパーティー、ドライブ、サーフィン!ある日ふたりはそんなバービーランドから、完璧とは程遠い“人間の世界”に迷い込んでしまい―?!“完璧”よりも大切なもの。バービーの世界、初の実写化した最強のドリームファンタジー!

4点!!バービーって17歳で老けないんじゃなかったっけ?ケンも18歳くらいのはず・・・。シュガーダディならまだわかるけど、なんでシワシワの二人が演じることに・・・?(爆)ピンクに違和感しかないよ・・・。グレタ・カーウィグ監督は女性ファンが多いけど、抽象的な曖昧さでぼやかすことが多くて(ほろ苦い青春的な)私は苦手なことが多く、本作もそうでした。んー分かりやすいのだけど、分かりにくくしてる感じ?女の子のファッションアイコン、バービーを通して男性や男性そのものを描いているシニカルさ。ゴテゴテのピンクでいくなら「キューティ・ブロンド」当時のリース・ウィザースプーン着こなして欲しかったです。ゴテゴテし過ぎで本質が伝わりにくい。あと冒頭、やりすぎで引いた(>_<) 2023年公開。

「CLOSE/クロース」

エデン・ダンブリン主演他。永遠を壊したのは、僕。13歳のレオ(エデン・ダンブリン)とレミ(グスタフ・ドゥ・ワエル)は、24時間ともに過ごす大親友。中学校に入学した初日、親密すぎるあまりクラスメイトにからかわれたレオは、レミへの接し方に戸惑い、次第にそっけない態度をとってしまう。気まずい雰囲気のなか、二人は些細なことで大喧嘩に。そんなある日、心の距離を置いたままのレオに、レミとの突然の別れが訪れる。季節は移り変わるも、喪失感を抱え罪の意識に苛まれるレオは、自分だけが知る“真実”を誰にも言えずにいた…。第75回カンヌ国際映画祭で「観客が最も泣いた映画」と称されグランプリを受賞。世界中を涙に染めた珠玉の一作がついに日本でベールを脱ぐ。

8点!!皆が互いのことが大切で大好きなのに、ほんの些細なすれ違いでこういう悲しいことが現実に起こる。上手く言葉に出来ない気持ちでも何とか伝えれば良かった。悲しみをぶつけてきたレミとちゃんとぶつかり合えばよかった。もっと一緒にいれば良かった。会いたい。レミの大切な人に真実を伝えなくては・・・。レミが亡くなってから1年もの間、レオは誤魔化しては葛藤しを繰り返し、大人たちは、聞きたいことだらけのレミの両親ですらレオを見守り続ける。これまでの彼らが築いてきた愛と絆と、繊細な心情描写に心打たれました。レオ役のエデン・ダンリンとレミ役のグスタフ・ドゥ・ワエルが本当にリアルで繊細な演技をしていて、可愛らしい子たちで。思春期における喪失を描いた作品の中では一流。2023年公開。

「逆転のトライアングル」

チャールビ・ディーン、ハリス・ディキンソン出演他。狂った時代を、笑い飛ばせ。モデル・人気インフルエンサーのヤヤ(チャールビ・ディーン)と、男性モデル・カール(ハリス・ディキンソン)のカップルは、招待を受け豪華客船クルーズの旅に。リッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでも叶える客室乗務員が笑顔を振りまくゴージャスな世界。しかしある夜、船が難破。そのまま海賊に襲われ、彼らは無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態で、ヒエラルキーの頂点に立ったのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃婦だった―。この転落劇、あなたは笑えるか?!ファッション業界やルッキズム、現代階級社会などを痛烈に皮肉りながらも、私たちの価値観を見事にひっくり返す世紀の大逆転エンタメが誕生!第75回カンヌ国際映画祭パルムドール2作連続受賞なのに超ブラックな鬼才リューベン・オストルンド監督の衝撃作!!

7点!!えっと、なんで操縦席に誰もいないの?一等航海士どこ行った?傾きまくった船中で男性陣だけ斜めで女性陣は真っ直ぐ立っているのが、その後の逆転を揶揄しているようで奇妙で不気味でした。バカバカしいほどにわかりやすく階級社会を描いていて、展開もシンプル。自分だったらどの立ち位置にいるかな?とか考えながら観ていました。シンプルな分、人間の愚かさや温かさ、無意識の非情さなどを鋭く描いていて、剥き出しって感じで、その場にいたら彼らの感情を強烈に浴びるだろうなと感じました。エレベーターの先は本当にリゾートなのか?逆転を経験した彼らの関係性は変わるのか?(私はアビゲイルが変わらなかったから変わらないと思う)お金と心の豊かさは比例するのか?最後にそれぞれが守りたい感情とは?など色々考えさせられました。でも、ちょっと上映時間間延びし過ぎ。2023年公開。
 

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