
ゆゆ勝手に映画評(2020)
「ラストレター」
松たか子主演他。君にまだずっと恋してるって言ったら信じますか?裕里(松たか子)の姉の未咲が、亡くなった。裕里は葬儀の場で、未咲の面影を残す娘の鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内と、未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるために行った同窓会で、学校のヒロインだった姉と勘違いされてしまう裕里。そしてその場で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)と再会することに。勘違いから始まった、裕里と鏡史郎の不思議な文通。裕里は、未咲のふりをして、手紙を書き続ける。その内のひとつの手紙が鮎美に届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎(回想・神木隆之介)と未咲(回想・広瀬すず)、そして裕里(回想・森七菜)の学生時代の淡い初恋の思い出を巡りだす。ひょんなことから彼らを繋いだ手紙は、未咲の死の真相、そして過去と現在、心に蓋をしてきたそれぞれの初恋の思いを、時を超えて動かしていく―。いまだに読めずにいる“最後の手紙”に込められた、初恋の記憶―日本映画史に残る、珠玉のラブストーリーが誕生する。
7点!!原作読んでます。原作はナルチズムが強いというか、本作も福山さんがイケメンオーラを消し、その空気感を見事に醸し出していて、割と気持ち悪かったです(爆^_^;) あのハニカミで気持ち悪くないのって神木くんだけなんだなと知りました。岩井作品は、邦画なのだけど洋風だったり無国籍風だったりする作風が多いので、ガッチリ日本の宮城が舞台なのが初めは不思議な感じでした。その空気感を引き戻してくれたのが松さんで、最初、女性にしかわからない嫌らしさを持った裕里→松たか子?とイメージがわかなかったのですが、裕里にしかわからない思考回路でワチャワチャ動く彼女は可愛らしく、流石、松さんでした(*^^*) 庵野さんが予想を遥かに超えた棒読みで(笑)、「風立ちぬ」は観ていないのですが、大丈夫だったのでしょうか?(汗)原作の手紙が届くまでの時間差のゆったり感と比べて、かなり駆け足に感じましたが、多分ゆったりだと皆寝ちゃいますよね(^_^;) いつもの美しいものを散りばめた岩井作品ではなく、何者かになりたかった、何者にもなれなかった大人のドロドロした感情や、やるせなさ、鬱屈を描いていて、でも、その中にひとつのことだけを突き詰めた人間だけが持てる純度100%の結晶のような煌めきが、確かに他者に届いた瞬間、涙が溢れていました。あのシーンは「海街diary」の時の雰囲気を醸し出す広瀬すずの演技にかなり助けられていたと思います。主題歌の「カエルノウタ」も鮎美たち三人が滝で遊ぶシーンと重なり、綺麗だなーと再び涙が頬を伝っていました。原作より映画の方が程よくライトで面白かったです(*^¬^*) 2020年公開。
「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」
エディ・レッドメイン。フェリシティ・ジョーンズ主演他。1862年、ロンドン。天気を予測することが出来ると唱えた気象学者ジェームズ(エディ・レッドメイン)は、気球操縦士アメリア(フェリシティ・ジョーンズ)と共に、研究のため気球で空へ向かうことに。美しくも神秘的な雲に魅せられ、空の偉大さに驚嘆する二人。だが、前人未到の高度に達するも、想像を絶する自然の驚異によって絶体絶命の危機に陥っていく―。「博士と彼女のセオリー」のオスカーコンビが、奇跡の再共演。圧倒的な映像で臨場感を限界まで極めた体感型スペクタクル・エンタテインメント!気象予想の未来を変えた二人の、驚愕と感動の実話。
9点!!So amazing!!!なんて無謀で壮大でスペクタクルな冒険譚!(*^▽^*) 実話ベースではあるけれどかなり脚色されていて、アメリアは実際にジェームズと搭乗した気球乗りのヘンリー・トレーシー・コックスや世界初の女性気球乗りのソフィー・ブランシャールを併せた人物だそうです。ジェームズも実際に搭乗したのは50代だったりするのですが、そんなことは全く気にならないくらい素晴らしい冒険!素晴らしい脚色です!(*^▽^*) フェリシティ・ジョーンズが今年の賞レースにノミネートされていないのがあり得ない!くらい、鬼気迫る名演とトム・クルーズばりの決死のアクションシーンの連続で始終釘付けでした(*゜Q゜*) 冒頭のジェットコースターみたいな映像から始まり、命を懸けるほどの気象予報の重要さと驚きが交互に描かれ、アメリアの夫との壮絶な別れに涙(;_;) あれは立ち直れないよ(涙)ジェームズはというと、科学バカで(科学以外は驚くほどバカという意)、大体、冒険もので仲間を窮地に陥れるのは、諦めの悪い科学者なんですよね。ジェームズ、「おまえー!!ι(`ロ´)ノ」という行動を何度もします。挙げ句、色々併発して死にそうになってるし。頼りない代表をキュートに演じられるエディではなく、リアルに50代の偏屈おじさんだったら、観るに耐えなかったと思います(爆)アメリア・レンという女性が実在しないのが残念でならないほど、彼女の勇気と再起する力に魅了され、大空にロマンを感じられる秀作です。2020年公開。
「パラサイト 半地下の家族」
ソン・ガンホ主演他。全員失業中の一家が目指す、高台の豪邸。そこは、最高の就職先・・・!?全員失業中、“半地下住宅”で暮らす貧しいキム一家。長男ギウ(チェ・ウシク)は、“高台の豪邸”で暮らす裕福なパク氏の家へ家庭教師の面接を受けに行くが・・・。この相反する2つの家族の出会いは、次第に想像を遥かに超える物語へと加速していく―。監督:ポン・ジュノ×主演:ソン・ガンホ。第72回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞!全世界、鳥肌熱狂!100%予測不能エンターテインメント!
8点!!ポン・ジュノでシネコンが満席!w(*゜Q゜*)w 「グエムル」に似ていて、悪い人は一人も出てこないのに、濁流に呑まれ凄い惨劇が起こります。そのプロセスの鮮やかなこと!ファンタジーめいているのに、リアルに起きてそうです(>_< ) 惨劇直前のソン・ガンホの表情にシビれました(*´∇`*) 広い豪邸がいわく付きだったり幽霊が出るのはこういうカラクリだったのか!(@ ̄□ ̄@;) 元々、一つしかない椅子は既に埋まっているのに、無理矢理横入りしようとするとこうなります(>_<) キム一家は皆仲が良くて、何かきっかけがあっても次の日には忘れちゃうような家族で、自力で這い上がるのは無理なのだろうなと思っていたのに、家族のピンチには腰を上げるとは(驚)でも、あの決意もいつまで続くのやら。信号が途絶えたら諦めちゃいそう(>_<) ハンマー投げが迷惑なだけで活かされておらず残念でした。豪邸の奥さんはシンプル過ぎ(笑)一家も割とテンプレ通りの理想の家族です。表面的には何も失礼な言動はしていないのですが、違う臭いには敏感で。臭いかーこれは取り繕えないものだからギテク(ソン・ガンホ)でなくとも、刺さるなと思いました。あとはお互い様で、それぞれの驕りと価値観で話してしまう相互理解の欠如の結果だと感じました。そこに世情の対比構成を当てはめるのは見事でしたが、いつものシニカルな笑いは控えめでライトなコメディー仕立て、エグさもポン・ジュノの他作品の方が上かなと思いました。とは言え、個々のプライドと地雷は擬態してると特に見えないものだから、気をつけようがなく、それこそ奥さんくらいシンプルな天使になるしかなく、人と人が深く関われば関わるほど恐怖も増していくものだなと思いました((;゜Д゜)) 人との関わり方について深く考えさせられる作品です。2020年公開。
「mellow メロウ」
田中圭主演他。その想い、この花とまれ。オシャレな花屋「mellow」を営む夏目誠一(田中圭)。独身、彼女無し。好きな花の仕事をして、穏やかに暮らしている。姪っ子のさほ(白鳥玉希)は、転校後、小学校に行けない日がたまにある。そんな時、姉は夏目のところにさほを預けにやってくる。さほを連れていくこともある近所のラーメン屋。代替わりをして若い女主・木帆(岡崎沙絵)が営んでいる。亡くなった木帆の父の仏壇に花を届けるのも夏目の仕事だ。常連客には近くの美容室の娘、中学生の宏美(志田彩良)もいる。彼女はひそかに夏目に憧れている。店には様々な客がいて、丁寧に花の仕事を続ける夏目だが、ある日、常連客の人妻、麻里子(ともさかりえ)に恋心を打ち明けられる。しかも、その場には彼女の夫も同席していた・・・。様々な人の恋模様に巻き込まれていく夏目だが、彼自身の想いは・・・。街で一番オシャレな花屋「mellow」と、廃業寸前のラーメン屋を舞台に描く不器用な片想いたちの物語。
3点!!人の'好き’という気持ちはたとえ片想いでも、互いに優しく温かな気持ちにさせてくれるものなのだなと改めて‘好き’のパワーを実感出来る作品です。でも、冒頭のラーメン屋のカップルと麻里子夫婦は今泉節全開で、泣いている夏目に「え!」ってなりました(笑)私はあんなカップルがいたら心の中でツッコミまくりだし、笑いを堪えるのに必死なので(爆)麻里子夫の言っていることは正論なのですが、正論で相手の正論を潰そうとすることはこんなにも滑稽なのだなと、コントな流れに「うわぁ」と引き気味になりました。残念な男性過ぎる。夏目も「おかしいでしょ!」と同調も求める反論をしていたけど、そもそも両者ともYOUメッセージで口撃している辺り、いい大人なのに引きました(>_<) あと、今泉監督は女性が主人公の時の方が、痛いけど必死な生き様の魅力とエグさがあって、圧倒的に面白いです。「アイネクライネ~」や本作のように男性が主人公の時は同性だからか、優しく描き過ぎてエッジゼロになっていて、物足りないです。会話劇の面白さも足りなくて、木帆とさほのシーンなんかはワークショップなのかなという台詞のぎこちなさもあったり(>_<) あと川沿いの道を田中圭が歩いていると「おっさんずラブ」かなと思ってしまう弊害(^_^;) 次作は痛くて響く作品をお願いしますm(._.)m 2020年公開。
「ジョジョ・ラビット」
ローマン・グリフィン・デイビス主演他。愛は最強。第二次世界大戦下のドイツ。10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、空想上の友達でもあるアドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)の助けを借りて、青少年集団ヒトラーユーゲントの立派な兵士になろうと奮闘していた。しかし、心優しいジョジョは、訓練でウサギを殺すことができず、教官から<ジョジョ・ラビット>という不名誉なあだ名をつけられる。そんな中、ジョジョは母親(スカーレット・ヨハンソン)と二人で暮らす家の隠し部屋にユダヤ人少女エルサ(トーマシン・マッケンジー)が匿われていることに気付く。やがてジョジョは皮肉屋のアドルフの目を気にしながらも、強く勇敢なエルサに惹かれていく―。戦争への辛口ユーモアを利かせ、世界中が笑い涙する傑作、ここに誕生。
9点!!冒頭からヒトラー及びナチス政権を馬鹿にし過ぎてます(笑)アドルフの走り方が松尾スズキ過ぎて、だからワイティティ本人がやることにしたのかと笑ってしまいました(^_^;) ユダヤ人ハーフのワイティティがアドルフを演じていたり、シンプルなのだけど、ストレート過ぎる風刺が利いていて、ブラックでシニカルな笑いに溢れています。それでいて、子どもにとっての戦争や、悲劇的な面も真正面から描いていて、感情が多層的に積み上がっていき揺さぶられる、好きなタイプの作品です(*^¬^*) ジョジョにとって絵空事のような戦争=ボーイスカウト的な活躍をすることだったはずがどんどん身近に迫ってきて、でも、キャプテンK(サム・ロックウェル)に守られてなお、10歳のジョジョにはこれが現実なのだと実感しきれないんだろうなと思い、悲しくて鼻がツンとなりました。ジョジョなりに現実を生きていこうと覚悟を決めた‘靴紐’の描写も切なくて、子どもにこんな覚悟をさせなきゃいけないものはすべて間違っていると強く思いました。エルサ役のトーマシン・マッケンジーがルーニ・マーラとナタリー・ポートマンを足したような美人さんで将来に期待です(*^^*) 当時のドイツの市民情勢を色々織り込んでましたが、ジョジョ一家は結構裕福なのかな?自転車二台とか家も何部屋もあるし、支部に自由に出入りしてるし。ジョジョ目線なので、場所と時期が明確化されていなくて、想像しながら観るしかなかったです(終戦前はわかるけど)。一人対一人なら人種や考え方が違っても相手のことを思いやれるのに、考えを貫くために集団になればなるほど、相手が見えなくなる、生き方や思想について考えさせられる秀作です。2020年公開。
「ロマンスドール」
高橋一生、蒼井優主演他。妻を愛して“嘘”をついた。夫を愛して“秘密”を持った。一目惚れをして結婚した園子(蒼井優)と幸せな日常を送りながら、ラブドール職人であることを隠し続けている哲雄(高橋一生)。仕事にのめり込むうちに家庭を顧みなくなった哲雄は、恋い焦がれて夫婦になったはずの園子と次第にセックスレスになっていく。いよいよ夫婦の危機が訪れそうになった時、園子は胸の中に抱えていた秘密を打ち明ける・・・。純愛×性愛×ドール。タナダユキが描くラブドール職人と、一目で恋に落ち結婚した妻との10年間。
9点!!原作読んでます。間違わない人間より、間違ってしまう人間の方が、どうしようもなく切実に愛おしく感じてしまうのは、何故なのだろう?その答えをこの夫婦が生きていると感じました。あと、相川さん(きたろう)の娘とのエピソードも(;_;)哲雄と園子が二人でいる違和感のない空気感がしっくりと心地好くて、嘘や秘密があっても素敵な夫婦だな、ずっと観ていたいなと浸っていました(*^¬^*) 高橋さんと蒼井優ちゃんとタナダユキ監督の相性の良さと匠の技かなと(*^^*) 原作はそこまで印象に残っていなくて、でも映画は中盤から静かに涙が頬を伝い続ける感じで、園子の文字通り‘命懸け’で相手を愛し求めることや、哲雄の‘永遠’という言葉の概念の持つ力にひれ伏すというか、それでいて、フワフワした軽さも消えないタナダ監督の世界観が好きだなと改めて思いました。本当にシンプルなラブストーリーなので、二人でいる時の高橋さんのエロさがこぼれてしまった表情とか、素を垣間見ているかのような演技が良くて、蒼井優ちゃんはきっとどこまで分かりやすいオープンな役を演じても彼女の持つミステリアスさは消えないんだろうなと思いました(笑)ファンタジーの中にも生々しい表情のあるお話なので、蒼井優ちゃんはスッパリ脱いだ方がより感情に迫れたと思い、そこだけが残念かな。日常を大事に、大事にしているものをちゃんと大事に生きているつもりですが、改めて永遠ではないんだよと、もっと濃密に愛し寄り添いたいなと思わせてくれる素敵なラブストーリーです(*^^*) 2020年公開。
「ヲタクに恋は難しい」
高畑充希、山崎賢人主演他。BLをこよなく愛する腐女子・桃瀬成海(高畑充希)は、転職先の会社で、幼馴染の二藤宏嵩(山崎賢人)と再会する。ルックスが良く仕事もできる宏嵩は、実は廃人クラスのゲームヲタク。周りの人々にヲタクだとバレる「ヲタバレ」を恐れ、本性を隠している成海に対して宏嵩は「ヲタク同士で付き合えば快適なのでは?」と提案。こうして2人はお付き合いすることに。充実したヲタクカップルライフを始めるはずだったが、時に恋愛とは我慢、妥協、歩み寄りが必要なもの。“恋愛不適合”な2人には、数々の試練と困難が待ち受けていた!これは、熱くて尊くて、推しに全てを捧ぐ夢に生きる愛すべきヲタクたちの悲哀と歓喜の協奏曲(ララランド)。
2点!!原作は序盤でリタイアしてます。本作も稀にみる低評価なのを知って観に行ったので、それなりにですが楽しめました。成海が衝撃を受ける場面でタイミング良く隣の4DXの煽りを受け椅子がドーンと揺れて驚きました(^_^;) やりたいことはわかったし、オリジナル曲のみでミュージカルにチャレンジしたのは評価出来るますが、舞台でやれば良かったのでは?と思いましたし、改善点の方が悪目立ちしてしまっていました(-""-;) 以下、改善したらもっと良くなると感じた点→「モテキ」みたいに俳優さんのソロパートとプロの歌手声優さんにアシストしてもらう楽曲と分けた方が、メリハリがつくし客層が拡がると思います。山崎くんはあと一ヶ月ボイトレしたら観客が驚くレベルの美声になったと思うので、あともう一歩でした。宏嵩は無表情キャラではないので、「斎木楠雄~」と寸分違わない演技はロボットみたいで変でした。先輩カップルの扱いが雑で原作ファンはきっとガッカリ。許可を取るのが面倒だったのか資金難だったのかわかりませんが、二次元ネタが古い&少な過ぎるし、効果音だけでもアニメ音に頼った方が良かったかなと。ヲタネタと恋愛どちらもブレブレで中途半端で浅いところだけは「ララランド」と一緒。恋愛が極薄過ぎて恋愛映画観に来てる感覚がなかったです。ハワイ行かないんかい!ってなった(-_-;) 今田美桜ちゃんとか色々フリを回収しなさ過ぎであれは?ってなった。大根監督くらいコアネタに詳しくなくジャンル外に手を出すと、コアファンにもそうじゃない客にもそっぽ向かれると思うので、もう少し色々大事に描いた方が良いと思います(-_-;) 2020年公開。
「Fukushima50 フクシマフィフティ」
渡辺謙、佐藤浩市主演他。あの時、福島第一原発に残った名もなき作業員たちを海外メディアはFukushima50と呼んだ―。2011年3月11日午後2時46分。マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大の東日本大震災が発生した。太平洋から到達した想定外の大津波は福島第一原発を襲う。内部に残り戦い続けたのは地元出身の作業員たち。外部と遮断されたイチエフ内では制御不能となった原発の暴走を止めるため、いまだ人類が経験したことのない世界初となる作戦が準備されていた。それは人の手でやるしかない命がけの作業。同じ頃、官邸内では東日本壊滅のシュミレーションが行なわれていた―。福島第一原発を放棄した場合、被害範囲は東京を含む半径250km。避難対象人口は約5000万人。それは、東日本の壊滅を意味する。全ての人に贈る、真実の物語。
10点!!容赦ない、この一言に尽きます。あの日あの場にはいなかったのに、冒頭3分以内に大揺れ&大津波が襲う福島第一原発に放り込まれます。福島にいなかった私ですら体感したことのない恐怖で、手が右往左往してしまったので(隣の人に手、借りようかと思いました(>_<))、福島県民の方は観たくても観れないんじゃないかと思います。3.11当時、私は恐怖と気にしなければいけない情報がキャパオーバーで、「各地に大津波がきてる。福島原発から放射能が漏れた。福島の親戚とは連絡取れていない。」くらいしか頭になく、目下、自分が立っている所の揺れに対応するので、精一杯でした。福島第一原発の格納容器1つの爆発をきっかけにその全てが爆発してしまったら、放射線量はチェルノブイリの10倍以上になり、私が住んでいる東京含む関東圏まで住めなくなっていたなんて知りませんでした。恐怖は思考を停止させるので、防衛本能で知ろうとしなかったが正しいのですが。福島第一原発の社員たちは、その危険性を誰より知っていたからこそ、放射能汚染されたエリアに踏み込み、家族を土地を国を守ろうと命を懸けてくれたのだとあらためて知りました。最も放射能に詳しいエキスパートたちの顔が、恐怖→決死の奮闘→絶望と変化していく様子ほど恐ろしいものはありません(>_<) それでも空中分解せずに最後までチームで奮闘する姿は、県民性もあると思いましたし、危険性を予期した上で働いていたんだろうなと感じました。それほど彼らの一つ一つの判断や言葉には重みがあり、弱音を吐かない姿に涙が溢れました。物語は吉田所長の病死(食道がん)で幕を閉じるわけですが、この映画は日本に暮らす全ての国民が観るべき作品だと思います。事故があっさりと風化し、全国の原発が再稼働している今、私たちはこの当時や今の福島第一原発のこと、原子力のメリット・デメリットをきちんと理解した上で、これからも原発に頼るか否かを議論し、行動に繋げていくことが急務だと、ビシビシ感じさせられる実話です。2020年公開。
「チャーリーズ・エンジェル」
クリステン・スチュワート、ナオミ・スコット、エラ・バリンスカ主演他。女スパイ?―私たちは天使よ。国際機密企業チャーリー・タウンゼント社で特殊訓練を受けたエリート女性エージェント組織、通称“チャーリーズ・エンジェル”。彼女達は世界各地に拠点を置き、平和を見守る天使=“エンジェル”として隠密に活動している。ある日、巨大テクノロジー企業に勤める天才プログラマーのエレーナ(ナオミ・スコット)は、自身が開発したプロダクト=新エネルギー源“カリスト”を会社が武器として軍事利用していることに気づき、エンジェルたちに調査を依頼。それがきっかけで、エレーナは命を狙われることに。“エンジェル”の司令塔ボスレーは、変装と侵入を得意とするサビーナ(クリステン・スチュワート)、元MI6であらゆる武器を自在に操るジェーン(エラ・バリンスカ)と共に、エレーナを守りながら調査を開始。さらには彼女のハッキングスキルを高く評価し新たなエンジェルとしてスカウトする。ハンブルク、リオデジャネイロ、イスタンブール・・・それぞれの特技を最大限に活用し、調査を進める彼女たちは行く先々で立て続けに危機に直面する。タウンゼント社に内通者が―?新生「チャーリーズ・エンジェル」始動!
8点!!「チャーリーズ・エンジェル」の地続きの世界観の新シリーズ。これまでのエリザベス・バンクス監督作はハマらないものばかりだったので、期待していませんでしたが、本作は世界観がキラキラしていて、スピーディーな展開が◎。普通にハマりました(*^^*) 前シリーズは全体的にバカっぽい緩さと肉弾戦がメインでしたが、本作は現代的でスタイリッシュでカッコイイ。「キングスマン」とか「M:I」シリーズの女性版といった感じです。何といっても、エンジェルを演じた3人の魅力がこれまでにないくらい詰まっています(*^^*) クリステン・スチュワートは含みのあるセクシーさが増しているし、始終、驚きながらも一生懸命なナオミ・スコットはタレ目と笑顔が可愛くて癒されます。エラ・バリンスカは背が高いので、アクションがダイナミックで格好良いです(*^▽^*) ノア・センティネオ、サム・クラフリン、クリス・パンら男性陣もスウィートな顔立ちが全員、私好みでカワイイ。超豪華な学園ドラマかっていうくらい、好みが勢揃いでした(笑) 前シリーズが単純構成だったのに対し、本作は誰が味方で誰が敵か最後までわからない、騙し合いの連続で二転三転して読めないのが、面白かったです(*゜Q゜*) 人間関係が複雑で、ちゃんと観ていないとわからなくなってしまいます。カメオ出演もめちゃ豪華でアガります(*´∇`*) もう少し見たことのないアクションと笑いが加われば完璧。男性陣も続投ででさらにキラキラした続編希望です☆ 2020年公開。
「Red」
夏帆主演他。愛することが、生きることだった。誰もがうらやむ夫(間宮祥太郎)、かわいい娘、“何も問題のない生活”を過ごしていた、はずだった塔子(夏帆)。10年ぶりに、かつて愛した男・鞍田(妻夫木聡)に再会する。鞍田は、ずっと行き場のなかった塔子の気持ちを、少しずつ、少しずつほどいていく・・・。しかし、鞍田には“秘密”があった。現在と過去が交錯しながら向かう先の、誰も想像しなかった塔子の“決断”とは―。直木賞作家・島本理生による賛否両論の問題作が、新たな“恋愛映画”に。世界に見捨てられたふたりの、たった一夜のドライブ。この夜の先は、絶望か希望か。
8点!!原作読んでます。島本理生作品を三島有紀子が撮るという贅沢(*^^*) そして、生涯でたった一人の人を思い出してしまう作品です。最近の妻夫木聡は、山田洋次に棘を抜かれてつまらなくなっていましたが、「ジョゼ虎」以来の恋愛映画の妻夫木聡が帰ってきました(*´∇`*) 原作と結末もそうですがだいぶ違くて、観たかったシーンもなくなっていたりしてましたが、妻夫木聡演じる鞍田の圧が凄くて、離れていても絡みつくような視線とか自分の女に手を出したら殺すぞみたいな視線とか、ラブシーンとか、えっろ!と思いました(笑)「ジョゼ虎」の時もそうでしたが、女性がこんな風に愛されたら至福だなという愛し方をするんですよね。小鷹(柄本佑)もエロいです。もう、同僚じゃなくて完全に男(笑)真(間宮祥太郎)のモラハラ度は原作よりかなり抑えめで、価値観の違い故という印象になっていたけれど、男性の、自分の価値観を疑わない、気付かない傲慢さはあって・・・。塔子の立場は辛いなと思いました。それは、一瞬で鞍田に呑まれてしまうほどに。原作では、塔子は男女の業に巻き取られていく感じを受けましたが、本作では自ら取りに言っている印象です。私は、原作の辛い選択をした後でも人生は続いていく圧倒的な切なさが好きです。本作でも一度、互いに別れを悟ったラブシーンでの、切なさと刹那的な欲望がない混ぜになり、だだ漏れな感じが、とても良かったです。塔子の足場がガラガラ崩れていく中で、なかなか決められない弱さとそれでも手を伸ばそうとする強さには、とても共感しました。でも、この結末を選択した塔子はきっと、不器用で善良な人なのだろうな。私だったら、鞍田があのようになったら、どちらも手離さないでしょう(爆)それまた、女性ならあるあるなのだと思っています。原作より感情説明が少ないので、男性がすべて理解出来るかはわかりませんが、本作を観て少しでも女性の性を理解していただければと思います(^^) 2020年公開。
「エクストリーム・ジョブ」
リュ・スンリョン主演他。昼も夜もなく駆けずり回るが、実績は最低。あげくの果てに解体の危機を迎える麻薬捜査班。リーダーであるコ班長(リュ・スンリョン)は麻薬を密輸している国際犯罪組織の情報をつかみ、チャン刑事(イ・ハニ)、マ刑事(チン・ソンギュ)、ヨンホ(イ・ドンフィ)、ジェフン(コンミョン)の4人のメンバーと共に張り込み捜査を開始する。麻薬捜査班はその組織を24時間監視するため、彼らのアジト前にあるチキン店を引き継ぎ、偽装営業をすることに。だが、絶対味覚を持つマ刑事の隠れた才能により、思いがけず、そのチキン店は名店として名を馳せるようになる。操作は後回し、チキン売りで息つく暇もなく忙しくなった麻薬捜査班に、ある日、絶好の機会が訪れるが・・・。昼はチキン店、夜は潜入捜査官。前代未聞の“揚げる大捜査線”が始まる!!韓国歴代興行収入No.1の記録的メガヒット!
9点!!超アガる↑↑!!!(*^▽^*)♪ 冒頭からツカミはバッチリで、終始ニヤニヤ笑いが止まりませんでした(笑)台詞回しが面白く、打てば響く笑いのケミストリーが最高です。韓国はコメディーでも、とことん畳みかけてくるのか!と初めて知りました。中盤、少しダレるけど、チキン屋で本気を出しちゃう麻薬班はコントを観ているようで、コ班長の家庭でのやりとりも笑えて、誰かとこの面白さを共有したくなる作品。どたばたと雪崩れ込むクライマックスでの、麻薬班のキレッキレのアクションシーンは超アガります!(*^▽^*)♪ 昭和な音楽も本作にベストマッチしていて、ふぅ~!って応援上映したくなるのを必死でガマン(笑)ダサオジ・コ班長のカッコ悪い戦いぶりに最高に惚れます(*´∇`*) リュ・スンリョン、イイ仕事する♪キャラクター紹介の時にでかいテロップを入れたらもっとアガったと思います。イ・ムベ役のシン・ハギュンは渋川清彦さんと瓜二つで、「渋川清彦なの?違うの?」と終始思ってました(爆)最初はイケメンからは程遠い彼らの見分けすらつかないのに、終わる頃にはこのチームが大好きになっています(*^^*) これ以上の出来は難しいと思うけど、それでも続編でまた彼らのドタバタ劇を観たいです。あと、笑いながらも見終わったら、チキンにしようか焼肉にしようかとずっと考えちゃう(笑)麻薬のお話なのでPG12ですが、お子さんと観ても老若男女、皆笑える秀作です。韓国コメディーをもっと知りたくなりました(*^^*) 2020年公開。
「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」
ランベール・ウィルソン、オルガ・キュリレンコ出演他。完全隔離の洋館。流出するはずのない原稿。そして、犯人の驚愕の目的とは―?大ベストセラー世界同時出版のため、完全隔離の洋館n集められた9ヶ国の翻訳家。ところが、極秘扱いの原稿の一部がネットに流出し・・・。あなたは、この結末を「誤訳」する。「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズ出版秘話に基づく本格ミステリー。
10点!!映画なのに、紙本を捲る音が聞こえてくる逸作。「タイピスト」の監督&脚本コンビらしく、全キャラクターがとても魅力的に息づいており、テンポもとても良いです(*^▽^*) ページを捲る手が止まらず、観客が観たいスピードで物語が加速していきます。とても緻密な構成で、二転三転するどんでん返しの鮮やかさに舌を巻き、唸らさせられます(*^^*) 鍵を握る二人は勿論のこと、オルガ・キュリレンコ、アンナ・マリア・シュトルム、フレデリック・チョー、マリア・レイチ、サラ・ジロドーの演技が素晴らしいです。全員のアンサンブルが物語を極上に仕上げています(*´∇`*) 彼ら翻訳者たちが、多国語でエリック(ランベール・ウィルソン)を出し抜こうとするシーンは最高にエキサイティング!それでいて、ラストは予想外の孤独と悲しみの余韻が残ります(;-;)文学を愛する創り手と読者が利益重視の出版者を挑む、本好きなら絶対に見逃せない作品!すべてが見事としか言いようがなく、早くも2020年のミニシアター洋画No.1に躍りでました(*^▽^*) 2020年公開。
「仮面病棟」
坂口健太郎主演他。この病院(ナゾ)からは、逃げられない。その日、病院は仮面の凶悪犯に占拠された。閉じ込められたのは、一夜限りの当直医の速水(坂口健太郎)と凶悪犯に撃たれた女子大生の瞳(永野芽郁)。鉄格子で閉ざされた危険な密室と化した病院から脱出を試みる2人は、病院の不可解な異変に遭遇する―。身元不明の入院患者、あるはずのない最新鋭の手術室、入院記録のない子ども、警察への通報を拒否する院長、凶悪犯の犯行目的・・・この病院、何か変だ。病院の仮面がはがれた時、<衝撃の真実>が・・・。この病院に踏み入れたら最後、決して逃れられない。現役医師が描く究極のノンストップ脱出ミステリー。
7点!!原作は中盤まで読んでいます。原作で一文でサラリと描かれている情報を映像化すると、こんなにもホラー感が増すとは(@ ̄□ ̄@;) 時系列の描き方が上手く設定が最大限生かされており、それが目眩ましにもなっている、よく出来た作品だと思います。立て籠りモノにしては登場人物が少ないのも、スッキリしていて◎。ただ、知念実望人作品はヒロインに秘密があるパターンが多く、それと設定を繋ぎ合わせていくと大筋が読めてしまうのですが・・・(>_<) それでも、見せ方とテンポの良さとあまり見ないキャスティングの組み合わせが良い違和感となり、最後まで飽きずに観ることが出来ました(^^) ラノベっぽいのに扱っているテーマの重さが邦画にはあまりないタイプの作品で、若者受けは良さそうです。2020年公開。
「一度死んでみた」
広瀬すず主演他。生き返れ!クソオヤジ!父親のことが大嫌い、いまだ反抗期を引きずっている女子大生の七瀬(広瀬すず)。売れないデスメタルバンドのボーカルをしている彼女は、ライブで「一度死んでくれ!」と父・計(堤真一)への不満をシャウトするのが日常だった。そんなある日、計が本当に死んでしまったとの知らせが。実は計が経営する製薬会社で発明された「2日間だけ死んじゃう薬」を飲んだためで、計は仮死状態にあるのだた。ところが、計を亡き者にしようとするライバル会社の陰謀で、計は本当に火葬されてしまいそうに・・・!大嫌いだったはずの父の、絶体絶命のピンチに直面した七瀬は、存在感が無さすぎてゴーストと呼ばれている計の秘書・松岡(吉沢亮)とともに、父を救うため立ち上がることに!火葬までのタイムリミットは2日間。果たして七瀬は無事、父を生き返らせることができるのか!?反抗期こじらせ女子が大騒動を巻き起こす!笑いと感動のハートフルS・F(死んだ・ふり)コメディ!
4点!!広瀬すずは歌が上手い。「打ち上げ花火~」の時から思っていましたが、本作ではガッチリ2曲分、美声を披露しています。こういう俳優さんは歌手デビューしないで、時々、映画で披露してくれるとお得感があって良いです(^^) ただ、CMディレクターがコメディー映画を撮ると突発的な笑いや絵図に頼ることが多く、本作もそうで、上手い役者は良いスパイスになっていますが、数名わざとらしくてウザいなと思う方がちらほら(>_<) 彼は一度目で懲りなかったのだろうか?(爆)あと、ただでさえデスメタルは痛いのにギャグがしつこいです。松岡も存在感のなさが特徴なら、ロッカーに隠れずとも、すべての陰謀の場にいて、気付かれないくらいの方が面白かったと思います(^_^;) キャラクター造形も出演者多数のわりに主要3人以外が浅いので、脇役たちの行動理念がわからない。観て後悔はしないけど、何も残らないなって(爆)広瀬すずと吉沢亮のパワーボイスと奇声だけで乗りきった作品です(-""-;) 2020年公開。
「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」
マーゴット・ロビー主演他。カオスな世界をぶち壊せ。これまで愛するジョーカーのことだけを考えてきたハーレイ(マーゴット・ロビー)だが、本作ではジョーカーと別れ、ツインテールの髪を切って、自由という名の覚醒を求めるワケありな女性たちと新チームを結成!巨大な犯罪組織のボス、ブラック・マスク(ユアン・マクレガー)に命を狙われた少女を救う羽目に!?日本でも大人気の彼女が、2020年春、セクシーにクレイジーにキュートに暴れまくる!マーゴット・ロビー×ユアン・マクレガー、危険度MAXのアクション・エンターテインメント。
5点!!冒頭からスクリーンがずっとうるさくて、どこを観てもギラギラするメリハリの無さにギブアップしそうになりましたが、ドラマパートに入ってからは何とか(*_*) キャラ的にハーレイがジョーカーを振ったのかと思いきや、逆なのか。だから、「スーサイド・スクワッド」ではピチピチギャルだったのに老けたオバサンみたいになってるのか(爆)失恋に泣きまくりで、カサンドラといる時のハーレイはホロリとなる可愛さがありました(*^^*) アクションシーンはうるさいことを除けば、ガチの殺し合いの何でもありで、アクロバティックでマッチョな男性相手でも打力があって、凄い見応えでした(*゜Q゜*) マーゴットの「アイ,トーニャ~」での特訓がめちゃめちゃ活きててハーレイの特技が増えてる!(笑)日本の女優さんでこういう打力のあるアクションが出来ないものかと、羨ましく思いながら観ていました(´-ω-`) バーズ・オブ・プレイのメンバーはそれぞれ魅力的ではあるものの、皆ブラックテイストな格好で、‘ゴッサムシティの女’な見た目被りをしているのが、残念でした。背景も似ているし、目標があやふやなので、このチームの続編を進んで観たいとは思えないです。ブラックマスクもゴッサムシティの悪役としては地味めで、折角ユアンがやっているのに魅力が伝わってこなかったです。続編を作るならキャラ分けとストーリー規模の拡大と恋愛要素を加えてくれないと、ドラマシリーズでいいんじゃない?となっちゃいます(>_<)2020年公開。
「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」
シアーシャ・ローナン主演他。今日も「自分らしく」を連れて行く。ベストセラー作家ルイーザ・メイ・オルコット。彼女の恋は「若草物語」で綴られる。19世紀、アメリカ、マサチューセッツ州ボストン。マーチ家の四姉妹メグ(エマ・ワトソン)、ジョー(シアーシャ・ローナン)、ベス(エリザ・スカンレン)、エイミー(フローレンス・ピュー)。情熱家で、自分を曲げられないため周りとぶつかってばかりの次女ジョーは、小説家を目指し、執筆に励む日々。自分とは正反対の控えめで美しい姉のメグが大好きで、病弱な妹ベスを我がのように溺愛するが、オシャレにしか興味がない美人の妹エイミーとはケンカが絶えない。この個性豊かな姉妹の中で、ジョーは小説家としての成功を夢見ている。ある日ジョーは、資産家のローレンス家の一人息子であるローリー(ティモシー・シャラメ)にダンス・パーティーで出会う。ローリーの飾らない性格に、徐々に心惹かれていくジョー。しかしローリーからプロポーズされるも、結婚をして家に入ることで小説家になる夢が消えてしまうと信じるジョーは、「私は結婚できない。あなたはいつかきっと、もっと素敵な人に出会う」とローリーに告げる。自分の選択でありながらも、心に一抹の寂しさを抱えながらジョーは小説家として自立するため、ニューヨークに降り立つ。作家ルイーザ・メイ・オルコットは、主人公ジョーに自分の生き方を重ねながら、ベストセラー著書「若草物語」を書きあげた。これは、彼女が小説家になるまでの物語。
8点!!小説や映画で何度も「若草物語」には親しんできましたが、グレタ・カーヴィグ版は、台詞も物語も跳ねるようなリズムで波に乗せていく感じで、絶妙にバランスで配置されています。これもあれもいれたいみたいな、少し詰め込み過ぎな感じもしましたが、素敵でいつまでの浸っていたい世界観です(*^¬^*) アルバムを捲るかのように目まぐるしく時系列がいったりきたりするので、原作を知らないとついていくのが難しいかも知れません。多くの人に親しんでもらうべき作品なので、そこは十代や原作を知らない人でも楽しめるように作って欲しかったです。豪華な出演者たちのハーモニーが素晴らしいのは言わずもがなですよね。全員、悩みや葛藤を抱えながらも、小説のイメージより、とても生き生きと輝いていて、四姉妹で笑い合うことで得られる活力や、個性が強い四姉妹を支える母親という存在の大きさが、スクリーンから溢れんばかりに伝わってきました(*^▽^*) 「ボヴァリー夫人」のエズラ・ミラーもそうでしたが、ティモシー・シャラメの、美青年が純文学の中にいる破壊力がハンパないです。「君の名前で僕を呼んで」より骨格もしっかりしてきて、ティモシー・シャラメ史上最強なんじゃ・・・(*´∇`*) ローリーの気持ちが変化していく過程の表現がもう天才的です(*゜Q゜*) ローリーの四姉妹との関わり方も好き。でも「君と結婚できないなら死も同然」みたいなこと言っておいて、数年後、妹と結婚してサラッと現れるのはいかがなものか?軽い嫌味みたいなのも入ってるんじゃと憶測してしまいます(--;) シアーシャ・ローナンとフローレンス・ピューの相性も良くて、ジョーがローリーの結婚を知った時の胸がかきむしられるような切なさと後悔がビシビシ伝わってきて、3人とも上手いなぁと驚きました。メグが普通の幸せを求める他の姉妹と違う葛藤も、下手をすると俗物的になってしまうところを、エマ・ワトソンが絶妙な匙加減でコントロールしていて、上手いなぁと思いました。欠点や強すぎる個性も愛し慈しめば、こんなにも温かなものに実るのだという普遍的ないつの時代になっても心に響く名作です。2020年公開。
「劇場」
山崎賢人主演他。一番会いたい人に会いに行く。こんな当たり前のことがなんでできなかったんだろう―中学からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田(山崎賢人)。しかし、その劇団は上演ごとに酷評され、解散状態となっていた。ある日、永田は街で、偶然、女優になるという夢を抱き上京し、服飾の学校に通っている学生・沙希(松岡茉優)と出会う。常に演劇のことだけを考え、生きることがひどく不器用な永田を、沙希はよく生きてこれたね」と笑い、いつしか二人は恋に落ちる。沙希は「一番安全な場所だよ」と自宅に永田を迎え一緒に暮らし始める。沙希は永田を応援し続け、永田もまた自分を理解し支えてくれる彼女に感じたことのない安らぎを覚えるが、理想と現実との間を埋めるようにますます演劇に没頭していき・・・。夢を叶えることが、君を幸せにすることだと思ってた―新しい時代に、恋をしたことがあるすべての人の心を揺さぶる新たな恋愛映画が誕生しました。
3点!!行定監督×又吉さんという壊滅的に相性悪いだろうなと思いつつ、お家で新作映画を観れるということで鑑賞。私はお笑いが苦手で、それは芸人という職種の男性の考え方が嫌いだからであって、類友でつるみ、傷をなめ合っている甘さや、男性としての考え方が世間とかなりズレていても、類友と自己肯定感の高さと傲慢さが反省よりも上回ってしまうところとかが毛嫌いするくらい嫌いです。又吉さんは作家でもあるし、俗にいうお笑い芸人とはちょっとタイプが違う方なので、嫌な予感はしつつ、観てみたのですが、やっぱり芸人さんなんですね。芸人のコテコテな考え方がしみついているお話でした。しかも、山崎賢人というイケメンが演じるとさらに許せなくなるっていう、もう観る前も観ている間も負のパワーを受け続ける感じでした。それがわかっていたので、公開日には観れなかったんです(爆)「火花」も読んでいますが、女性の描き方も男性の理想一択で、沙希のキャラクターも女性目線0でこんな女いねーよとうんざりしてしまうくらいで。蒼井優辺りが演じていれば、絶妙なバランスで現実にいそうな女性として成立したかも知れないと感じました。半分まできたところで、「あと半分もある~。」とゲンナリしていたのですが、ラスト、何故か泣けてしまい、びっくり。沙希がこれまで永田を許容してこれた「何も変わらないことは悪い要素0」という考え方が明かされ、世の中に生きていくにはそれが難しいことも理解り、一気にカタルシスが得られたというか。山崎さんと松岡さんの演技に引き込まれました。丁寧に丁寧に描いてきた行定監督にも負けました(^^;)でも、2時間超えは長いけど。原宿、下北、渋谷と知っている街並みばかりだったので、観れた部分も大きいです。でも、本作が、芸人と劇団員と男尊女卑な男性以外の女性で、どういう人の琴線に触れるのか教えていただきたいです。2020年公開。
「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」
レイチェル・ワイズ、レイチェル・マクアダムス主演他。父なる信仰、赦されざる愛。厳格な超正統派ユダヤ・コミュニティでの信仰を故郷を捨ててニューヨークで活躍するカメラマンのロニート(レイチェル・ワイズ)は、自由を謳歌しているようで満たされてはいなかった。幼なじみのドヴィッド(アレッサンドロ・ニボラ)と結婚し、信仰を守って生きる教師のエスティ(レイチェル・マクアダムス)は、安定した結婚生活が幸せだと思い込んでいた。運命によって再び引き寄せられた二人は、偽りの自分を捨てて求め合い、「本当の自分」を取り戻そうとする。しかし、夫や周囲に知られて追い詰められ、人生をかけた“選択”へと踏み出していく。閉鎖的な故郷と飛び出したロニートと留まるしかなかったエスティ。運命的な再会によって目覚めた「本当の自分」、そして二人は選んだものとは?レイチェル・ワイズ&レイチェル・マクアダムス、実力派オスカー女優二人による“美しき純愛”。
5点!!正統派のユダヤコミュニティの生活について、驚くほど何も知らなかった自分のビックリです。ユダヤ教という宗教はメジャーなのに、聴いたことのない歌、祈りの言葉、なんでウィッグ被ってるの?と観終わって調べてやっと分かったくらい無知でした。超正統派だからかも知れないですが、宗教と生活が密過ぎて、怪しげな宗教臭が凄かったです。これは自身のアイデンティティを否定し続けなければならなかったロニートとエスティでなくても、世界とのギャップや窮屈さで、脱コミュニティを図る人は男女問わず多いのではないかなぁと思いました。でも、コミュニティから脱出するということは、それまで生きてきた自分、家族、友人、すべてを否定しなければならない可能性も含んでるので、エスティのように動機やきっかけがあっても踏み出せない人もまた多いんだろうなぁと。やはり、一つの宗教に深く傾倒するには人間は複雑過ぎる生き物だし、何事もバランスは大事だなと。こういうテーマの作品は、若者が主人公で青春ものとして扱われることが多い中、人生の折り返し地点に差し掛かった女性が主人公に据えることで、一種の反抗ではなく、根深く死ぬまで絶ち切れない問題として描かれていて、彼女たちの存在否定される苦しみがズドーンを重くのしかかる作品でした。終始、静かな作品で深い説明もなくサラサラと物語が進んでいくのですが、レイチェル・ワイズだと、何だか良作っぽくなるから不思議。幼い頃から愛する人を愛してると言えなかったロニートとエスティとドヴィッドの3人のハグは、それだけで年月を物語っており、もう人生後半だけど、希望が見えるラストで良かったなと素直に思えました。2020年公開。
「カイジ ファイナルゲーム」
藤原竜也主演他。アイツが帰ってくる―2020年、国を挙げて盛大に開かれた東京オリンピックの終了を機に、この国の景気は恐ろしい速さで失速していった。今この国では、金を持つ強者だけが生き残り、金のない弱者は簡単に踏みつぶされ、身を寄せ合うことで何とか今を生きていた―。自堕落な生活を送っていたカイジ(藤原竜也)は、派遣会社からクズと罵られ、薄っぺらい給料袋を手渡される。憤りを感じながらも一缶千円に値上がりしたビールを買うかどうか迷っていた。そんなカイジに声をかけてきたのは、帝愛グループ企業のひとつを任される社長へ出世した大槻(松尾スズキ)。大槻が見せたのは一枚のチラシだった。【第5回若者救済イベント開催!バベルの塔】。金を持て余した大金持ちの老人が主催するイベントで一攫千金のチャンスだ。ざわざわざわ・・・運命の歯車は動き出した。カイジを待ち受ける未来は、天国か地獄か?日本中を奮い立たせる最後のギャンブルが今始まる。シリーズ最終章!原作者・福本伸行による完全オリジナル・ストーリー。
4点!!うわ~これ公開時ではなく今観たので、政治家の高倉(福士蒼汰)の言っていることがあながちフィクションに聞こえないというか、政治家はこう考えてるんだろうなと、今オリンピックやったらこうなるんだろうなとか軽いリアルホラーでした(>_<) あと、カイジは疲れる。皆は何も考えずに楽しめるジャンルなのだと思いますが、私はわざとらしく怒鳴り続けるお芝居とリアクションを見続けなければならないという意味で、観始まるのに気合が入ります。でも、藤原くんの作品では「デスノート」と並んで、良作だと思います。でも、3作品目にもなるとカイジの追い詰められてる感があまりなく、闇ギャンブラーとしても名の知れた実力者になってしまっている上に、日本背負っちゃってるので、そうなってくるとクズで必死なカイジを観たい本筋とズレている気もしました。若手俳優たちもノホホンとした顔をしていてハングリーさに欠けてますし。あと、最後まで待ってたのに香川さん出なかった。。。2020年公開。
「初恋」
窪田正孝主演他。最期に出会った、最初の恋―舞台は、新宿歌舞伎町。余命いくばくも無いと知らされたプロボクサー(窪田正孝)が、逃げる少女(小西桜子)を助けるために悪徳刑事をKOしたことから、事態は急転直下。何故か追われる身となり、ヤクザ・チャイニーズマフィア・警察組織が入り乱れ欲望渦巻く“ブツ”を巡った争いに巻き込まれる。「死んだ気になりゃ、やれるはず」捨てたはずの命をタテに少女を守ると決めた時、2人の運命が一気に加速する!!世界熱狂!!批評サイト「Rotten Tomato」で96%フレッシュ獲得!喜怒哀楽のすべてが詰まった、人生で最高に濃密な一夜を描く極上のラブストーリー。
3点!!う~ん、前評判が良くて、確かにいつもより暴走はしてないのですが、結局最後やらかしちゃってるし、ラブストーリージャンルなのにガッチリ抗争ものだし、アクションも暗くて観にくいです。最初から最後までジャンキーのヒロインとか初めてです(^^;) 小西桜子と福本莉子の区別がついておらず、福本莉子の演技を観るつもりで観たら、小西さんで、でも小西さんの自然な演技と前田敦子に演技も顔も似ているのに、クセが強くないところとか、もう少し彼女の演技を観てみたいなと感じさせられる女優さんでした。あとは。俳優が毎回同じ顔触れで、好きな役者さんばかりではあるのですが、目新しさがないことで楽しみも半減。三池さんのエログロな感じと商業的部分の中間に位置するような作品。一応、ラブストーリーだし、新進の女優さんを使っているので、二人のラブハプニング的なことがあったらもっと楽しく観られたと思います。2020年公開。
「ティーンスピリット」
エル・ファニング主演他。子の声で未来を変える!イギリスの田舎町に住む高校生ヴァイオレット(エル・ファニング)が世界的オーディション「ティーンスピリット」に挑み歌手を目指す。少女は夢を叶えることが出来るのか!?「ラ・ラ・ランド」スタッフが再結集!ポップミュージック満載!最高にアガる青春音楽映画!!
3点!!エル・ファニングはエモい。エル好きは彼女のエモさを観たくて行くのだと思いますが、「ネオン・デーモン」のようにエモ“過ぎる”と「これはちょっと・・・」と置いてけぼりになる。エルは「パーティで女の子に話しかけるには」でも歌声を披露してますが、今回も技術的な上手さではなく、エモさで乗り切ろうとしています。でも今回は、他のファイナリストたちが皆揃ってエルより明らかに上手いので、乗り切れていません(汗)良い曲が1曲だけあったので、うーん、選曲ミスもあるのかも知れない。あとは、演出とかもエルのエモさに頼り過ぎ。ヴァイオレットがヘッドバンギングして全力パフォーマンスする瞬間に至るまでに、同じテンションまで上げられなかったです。劇中の「ティーンスピリット」コンテストは、ショービジネスの世界って感じで面白かったし、ヴラド(ズラッコ・ブリッチ)との関係性も良かったですが、ヴァイオレットのいきなりの悪魔に変貌ぶりをティーンあるあるみたいに描かれても、ちょっと引いてしまいました・・・。え?馬と育ったあの子はどこへ行ったの?ってなります(爆)でも、エルの作品は若い才能とタッグを組むことが多いせいか、流れに任せて転がり続けるような展開が多く、本当にどういう方向性に収まるのか、読めないので、エルの存在感につられて見続けてしまうのだと思います。いきなり良作が飛び出したりするので、私はこれからもエルの出演作をチェックし続けると思います。これからはエモさとエンタメのバランスをとって欲しいのと、あとあまりニコール・キッドマン化し過ぎないでほしいです(^^;) 2020年公開。
「今日から俺は!!劇場版」
賀来賢人主演他。「今日から俺はツッパる!」―時は1980年代。転校を機に、髪を金髪に変えてツッパリデビューした軟葉高校二年生・三橋貴志(賀来賢人)。持ち前の運動神経とねじ曲がった性格で、たちまち周囲の不良たちに目を付けられるが、同じ日に転校してきたトゲトゲ頭の伊藤真司(伊藤健太郎)とコンビを組んで、次々やってくる強敵を返り討ちにしていく毎日。三橋と友達以上恋人未満な赤坂理子(清野菜名)や、伊藤とラブラブな早川京子(橋本環奈)とのラブコメ的青春を謳歌したいのに、寄ってくるのはワルばかり・・・。そんな彼らも三年生になったある日のこと。かつて二人が壮絶な戦いを繰り広げた不良の巣窟・開久高校の校舎の一角を隣町の北根壊高校が間借りすることに。かなりの極悪高校で名の通った北根壊の番長は柳鋭次(柳楽優弥)と大嶽重弘(栄信)。彼らは、智司(鈴木伸之)と相良(磯村勇斗)という圧倒的な“頭”を失った明久の生徒に対して妙な商売を始める。一方、怪しいスケバン・涼子(山本舞香)が今井(仲野太賀)に近づき―。この夏、俺史上最大のピンチ到来!!卑怯を超える悪キャラ続々登場で、飛んで火にいる夏の俺!?この夏、「今日から俺は!!劇場版」がスクリーンで大暴れ!!
5点!!序盤から最後までアクションが7割くらいで、流れはドラマと変わらないのですが、親しみが出来上がっているキャラクターたちの個性ある戦いぶりは見応え抜群でした(*^▽^*) でも役柄上、仕方ないにしても、総当たり戦の場に京子と今井がいないのは、物足りない感があります。特に私は今井のキャラクターが格好良い&可愛くて好きなので(笑)、もっと彼のパワー押しアクションを観たかったです。アクションはあれだけいても、やはり清野菜名のアクションが綺麗で目を引きました。ドラマは適当に観ていたので、開久のツートップはどこにいったのだろう??と思いながら観ていましたが、更生兼出稼ぎ中?あと、伊藤のラスト対決を端折ってしまっていたのも、最後の一撃を観たいのになぁと残念でした( ´△`) 柳楽くんたちニューキャストは、制服を違和感なく着こなしているのはスゴイ(笑)やっていることはドラマと全然変わらないのに、ちゃんとお祭り映画になっていて、珍しく映画で成功してる福田作品です。2020年公開。
「サヨナラまでの30分」
新田真剣佑、北村匠海主演他。彼が遺したカセットテープを再生する30分間、2人は1つの体を共有する―アイツが彼女に会うたびに、僕も彼女を好きになる。メジャーデビューを目前に解散したバンド「ECHOLL」。1年後のある日、突然見知らぬ大学生・颯太(北村匠海)が現れ、メンバーのヤマケン(葉山奨之)、重田(上杉柊平)、森(清原翔)そしてカナ(久保田紗友)に再結成を迫る。実は颯太の中身は、1年前に死んだボーカルのアキ(新田真剣佑)だった!偶然拾ったアキのカセットテープを颯太が再生する30分だけ、2人は入れ替わり、1つの体を共有していく。人づきあいが苦手な颯太と、「俺にこじ開けられない扉はない」が口癖のポジティブなアキ。ひとりで音楽を作っていた颯太も、次第にアキや仲間と音楽を奏でる楽しさうぃ知り打ち解けていくが、「ECHOLL」を去ったアキの恋人・カナだけは戻ってこない。カナに再び音楽を始めてもらうため、最高の1曲を作り上げようとする2人。一方、カセットテープに異変が起き、アキと颯太の入れ替われる時間は短くなっていく。突然、ぼくの前に現れた彼は、もうこの世にいはいなくて―それなのにずかずかと踏み込んできて、ぼくたちの未来を変えようとする。“サヨナラ”がくれた僕たちの“はじまり”の物語。
8点!!物語の完成度としてはこれまでのティーン向け青春音楽映画の中ではちょい上くらいでずば抜けて良かったわけではないです。でも、新田真剣佑の圧倒的な存在感、北村匠海演じる颯太のアキを凌ぐ歌声、新田さんと北村くんの関係性だからこそ作り上げられた、体交代の際のアキの完コピと、本作でクリアしなければならない点をすべてクリアしていて、さらにテクニカルな部分で二人が作品の出来をぐっと押し上げていて、やるなぁと、二人の実力派俳優にあらためて驚かされました(^^)その一方で、二人の存在感や演技力が圧倒的だからこそ、バンドという全体を見渡したところで、バンドメンバーの存在感のなさや久保田紗友の女優としての魅力がパワーバランス的に弱かったです。アキはこんなイケメン幽霊なら憑りつかれてもいいよっていうくらいまぁキラキラしているのですが、颯太にまとわりつく感じがまさに憑霊そのもので(笑)、これは普通に怖いなとホラー映画に片足突っ込んでいる感じが面白かったです。アキの無敵モードから寂しさ→諦め→成仏までの心情変化がとても繊細に表現されていて、「変わって」の言い方ひとつで色々な感情が伝わってきて、切なくて胸が締めつけられました(何ならちょっと思い出して泣いちゃいそう)。観終わってから、アキの切ないシーンばかり思い出すので、新田さんは余韻を残す俳優さんだなぁと(^^) 楽曲は表題曲も良いですが、「stand by me」が北村くんの歌い方とマッチしていて一番好きでした。新田さんは役作りで粗削りなパフォーマンスにしたそうですが、普段、もっと上手いので、もう少し上手く歌ってしまっても良かったと思います。でも、二人ともさすがにそこらの音楽映画とは別格で上手いです。入れ替わりがデジタルな感じも萩原監督っぽい今っぽい感じで新しかったです。アンバランスな魅力があり、終わった後にやっぱり劇中歌は全部聴き直したくなる作品です。2020年公開。
「TENET テネット」
ジョン・デヴィッド・ワシントン主演他。満席の観客で賑わうウクライナのオペラハウスで、テロ事件が勃発。罪もない人々の大量虐殺を阻止するべく、特殊部隊が館内に突入する。部隊に参加していた名もなき男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、仲間を救うため身代わりとなって捕らえられ、毒薬を飲まされてしまう・・・しかし、その薬は何故か鎮痛薬にすり替えられていた。昏睡状態から目覚めた男は、フェイと名乗る男から“あるミッション”を命じられる。それは、未来からやってきた敵と戦い、世界を救うというもの。未来では、“時間の逆行”と呼ばれる装置が開発され、人や物が過去へと移動できるようになっていた。ミッションのキーワードは<TENET(テネット)>。「その言葉の使い方次第で、未来が決まる」。謎のキーワード、TENETを使い、第三次世界大戦を防ぐのだ。突然、巨大な任務に巻き込まれた名もなき男。彼は任務を遂行することができるのか?そして、彼の名前が明らかになる時、大いなる謎が解き明かされる。<時間>から脱出し、<未来>の第三次世界大戦を止めろ!人類を滅亡から救うキーワードは<TENET>。
5点!!ノーラン難しいよなぁ、でも劇場で観ないと意味ないよなぁと思い、重い腰を上げましたが、やはりこれまでにないくらい難解な苦手ジャンルでしたΣ(×_×;) まぁ、頭ではなく直感でってパティンソンも言ってるし、映像楽しめばいっかと思いながら観てたけど、私、アクションシーン寝ちゃうんだった( ̄□ ̄;)!! 逆行アクションは言うほど「おお!」となるレベルではないし、睡魔と戦うので必死でした。息子ワシントンもCIAだったのに、派手な逆行も見せられていない場面から素性の知れない連中に「世界を救うよ」と言われてアッサリ命かけ始めちゃうし、そこが引っ掛かってしまったからか、登場人物たちに全く感情移入出来ませんでした(>_<) あと、ワシントン息子の魅力が全然伝わってこない演出にうーん(-""-;) 逆にキナ臭くてイイ男になったパティンソンに驚かされたり(*^^*) このパティンソンならバットマン期待出来るかもです。観賞後、解説を読んだのですが、ニール(ロバート・パティンソン)の頑張りに全然気づけてなかったー何なら意識朦朧で落ちかけてた(爆)それ、わかって観てたら、二人の関係性に泣けてたと思うので、頼むからもう少し楽しめるように創ってください(>_<) 二回目観てみたいけど二時間半はもう無理だー( ´△`) あと、アーロン好きなのに眠くて気付けなかった(爆)2020年公開。
「ジュディ 虹の彼方に」
レネー・ゼルウィガー主演他。スポットライトの中、愛を求めて―。ハリウッド黄金期を象徴する映画「オズの魔法使」の主人公ドロシー役でジュディ・ガーランド(レネー・ゼルウィガー)は17歳にして一躍スターダムを駆け上がる。その後、不朽の名作「スタア誕生」を始め数々のヒット作に出演。ハリウッド史を代表するミュージカル女優となる。それから月日がたち―1968年の冬、彼女は単身、ロンドンの舞台に立っていた。ショービジネスの裏側で少女時代の全てを奪われ、波乱の女優人生を送ってきたジュディ。47歳で亡くなる最期の日々、<命を燃やし尽くした>と今も語り継がれる起死回生をかけたステージとは?47歳で散った伝説のミュージカル女優ジュディ・ガーランド。「オズの魔法使」で始まった波乱の人生。ラスト7分―魂の「オーバー・ザ・レインボー」。感動と慟哭の実話。
5点!!「オズの魔法使」のオリジナル版は観たことがあって、晩年のジュディ・ガーランドがどんな風だったのかは知らないのですが、ゼルヴィガーに神懸り的にジュディが降りてきているのが、よくわかる圧巻のステージでした。ラスト2分のジュディと観客の間に生まれたものにグッと心を持っていかれます。映画として面白いか否かで言うと、薬物&アルコール中毒のジュディの演技は「ブリジット・ジョーンズ」シリーズの演技と一見、大差ないし、何だかんだ、ジュディは最初から歌えてしまっていて、過去の回想も実話なので、目新しさもないです。ジュディの転落劇を引き起こした事務所の社長メイヤーは出てくるけれど、はっきりと「薬物」というワードはないし、それを助長したとされている母親も劇中には出てきません。ハリウッドの闇を映し過ぎると不都合な人たちが止めたのかなと邪推してしまいます。でも、ジュディが我が子や長年のLGBTのファンやスタッフに向ける視線の柔らかさと怯えの共存が見事で、そうなるとゼルウィガーの一人勝ちってことになっちゃうのかな。彼女の渾身の演技を観るための作品です。2020年公開。
「星の子」
芦田愛菜主演他。信じる。愛する。大人になる。大好きなお父さん(永瀬正敏)とお母さん(原田知世)から愛情たっぷりに育てられたちひろ(芦田愛菜)だが、その両親は、病弱だった幼少期のちひろを治した“あやしい宗教”を深く信じていた。中学3年になったちひろは、一目惚れした新任のイケメン先生(岡田将生)に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。そして、彼女の心を大きく揺さぶる事件が起きる―。世界が大きく変化し新しい時代に突入する2020年に「日日是好日」の監督が放つ圧倒的な感動作。
10点!!胸に重石がつかえたような苦しいラストでした。観ている私でさえ、そうなのだから、多感な時期のちひろはどれだけの苦しさを呑み込んでいるのだろうかと、また苦しくなりました。愛しているから苦しい。ちひろの両親は自分たちが信じているものが不確かなものだと気付いていて、でも、繋ぎ止めたいから、積み上げてきた絆が壊れてしまうから信じ続けることを強いている。ちひろは、自分を構成しているものが矛盾だらけの不確かなものばかりの中で、愛だけは確かだとわかるのに、わかるからこそ苦しい。ただ、マイノティだというだけで無防備な状態で、あんなにも剥き出しの敵意を向けられなければならないのか。宇野祥平の役が、自分がマイノティになる場所に放り込まれても、自分の背後にいる圧倒的なマジョリティを信じているから、全く不安なく堂々としていて、印象的でした。日本はよろず神の国なのに、マイノリティな宗教に異質さを覚えてしまうのは、傲慢な善良さゆえなのだろうと集会を観て思いました。思考を止められる人と止められない人がいて、自分は大丈夫だと思っていても、止めるしかない状態に追い込まれてしまうのは怖いし、全てにおいて気を付けなければなと感じました(>_<) 黒木華の宗教家はヤバイ(笑)この役で本当に巧いなと思ってしまいました(^_^;) あと、なべちゃん(新音)の騙されるの無限ループ論は確かに!面白いと思いました。登場人物全員が、相手のことを思っての言動なのが(南先生以外)、苦しい。ちひろの人生は続いていくので、どのシーンで終わっても良い作品だけれど、綺麗に着地させていて、大森監督作の中でも分かりやすさと深さのバランスが良く、一番好きな作品かもです(*^^*) 2020年公開。
「82年生まれ、キム・ジヨン」
チョン・ユミ主演他。結婚・出産を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨン(チョン・ユミ)。常に誰かの母であり妻である彼女は、時に閉じ込められてるような感覚に陥ることがあった。そんな彼女を夫のデヒョン(コン・ユ)は心配するが、本人は「ちょっと疲れているだけ」と深刻に受け止めない。しかしデヒョンの悩みは深刻だった。妻は、最近まるで他人が乗り移ったような言動をとるのだ。そして、その時の記憶はすっぽりと抜け落ちている妻に、デヒョンは傷つけるのが怖くて真実を告げられずに、ひとり精神科医に相談に行くが・・・。なぜジヨンの心は壊れてしまったのか。世界が広いと信じていた子供時代、女性としての生きづらさを始めて知る少女時代、必死に勉強して入った大学から就職への壁。結婚・出産で会社を辞め、社会から切り離されていくようなどうにもならない気持ちを抱える日々。私はその人生を通して“違和感”と“痛み”の正体と、未来への希望を知る。韓国で
130万部突破し、日本でも社会現象を巻き起こした大ベストセラー小説、感涙の映画化。
10点!!チョン・ユミは好きな女優さんです。人は自分を構成している居場所のうち、2つが壊れると心まで壊れてしまいます。人生も同じで、一つ一つは決定打にならなくとも、二つ目には積み上げたジェンガが崩れるが如く、ガラガラと心が砕けてしまうのだと、ジヨンを観て感じました。更に悪いことに、人生は長く、どこまで遡れば治療の出発点になるのかが、とても難しい。ジヨンは他の人が「仕方ない」と諦めたり、笑い飛ばしていることを自分だけが出来なくて、落伍者のように感じてしまいます。男尊女卑の世界で起こる一つ一つにモヤモヤして、「違う!」と叫びたくても叫べないことを痛感を繰り返し。凄く繊細で過敏で、きっと空気がいつも薄く苦しいだろうなと、この世界の生きにくさを改めて痛感させられました。何故、痴漢冤罪は世間で叫ばれ、注目されるのに、女性がどれだけ痴漢をされて苦しんでいるのかは誰も声高に叫ぶことが出来ず、賛同もされないのだろうと・・・。ジヨンの母親(キム・ミギョン)もその母親である祖母も、娘が苦しんでいるのに心を痛めながらも守りきることが出来ずに、「どうか強く幸せに」と祈り続けてきた長い年月があり、母親がジヨンの異変の原因を瞬時に悟ってしまうシーンは、今思い出しても涙が溢れてきてしまいます。ジヨンは悪くないのに「こんなに悲しませてお母さんごめんね」思ってしまいました。それぞれの世代が受けてきた男尊女卑教育があるから、家族が大切でも変わるのは勇気がいるし、ジヨンの「怖い」という言葉に尽きると思うし、それでも、相手に寄り添い、救いたいと動くジヨンの家族の温かさに涙が止まりませんでした。精神的な病に励ましは禁物だけれど、カフェでとても冷静に相手に響く言葉で立ち向かうジヨンの凛とした美しさに「頑張れ」とエールを送りたくなりました。デヒョンは最初から最後まで心配だと言いながら、ビールにチップスをつまみながら泣いているだけだけど(爆)、デヒョンの生きている社会も、繊細な男性にはキツいし適合出来なくて苦しむ人も沢山いるんだろうなと思いました。これ、コン・ユが演じてなかったら、どう映るんだろう?と考えながら観てしまいました(苦笑)「病院行け」と言うけど、育児は代わらないんだって(呆)女性なら自分が生きてきた人生のどこかには必ず引っ掛かる作品で、そんな人生を走馬灯のように思い出していると、男女平等の時代なんて来るのかな?と思ってしまいますが、自分と大切な人たちくらいは守っても誰にも非難されない世の中になるといいなと願いを込めて、老若男女皆に観ていただきたい作品です(*^^*) 2020年公開。
「スパイの妻」
蒼井優、高橋一生主演他。太平洋前夜。時代の嵐が、二人の運命を変えていく―。1940年。満州で偶然、恐ろしい国家秘密を知ってしまった優作(高橋一生)は、正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする。聡子(蒼井優)は反逆者と疑われる夫を信じ、スパイの妻と罵られようとも、その身が破滅することも厭わず、ただ愛する夫とともに生きることを誓う。太平洋戦争間近の日本で、夫婦の運命は時代の荒波に飲まれていく・・・。名匠・黒沢清監督が初めて挑む歴史の闇。理不尽な歴史の前に、ささやかな幸せが揺らいでいく。混乱を経た今の日本が乱目して観るべき傑作が誕生した。
6点!!黒沢清×731部隊の話だなんて絶対超怖い、観れないと思いましたが、銀獅子賞獲っちゃったし、うなされるだろうけど行くしかないと腹をくくり、観てきました。ドラマ版を再編集したものなので、夫婦に深く関係しているだろうキャラクターの描き方が一瞬だったり、シーンの切り替わりに不自然さを感じたり、夫婦のエピソードも足りないと感じました。なので、映画というよりは舞台の構成に近いです。蒼井優の演技もメロドラマチックで、高笑いして気絶するとか舞台めいていました。731部隊に関しては、存在そのものがホラーだし、当時の隊員の証言も人間の所業とは思えないものが多いですが、本作では黒沢監督の見せずに感じさせるホラーな描き方が、だいぶ怖さを半減してくれていました。優作が聡子にやり返したのは、愛だけでなく、少なからず文雄を犠牲にした怒りもあったのかな?と感じました。優作の会社の字体が現代の左書きだったり、J.F.ドラモンドなど実在の人物、実際の戦況と絡めたリアリティーと緊迫感のある作りが見事で引き込まれました。言論の自由って改めて不可欠だなぁと。誰かの犠牲の上にしか存在得なかったり、「正義よりも幸せをとりたい」と言った平穏主義の聡子を駆り立てるほどの人災を、決して繰り返してはならないと思いました。そんな過去の歴史が対岸の火事じゃなくなっている今が怖いです(((;゜Д゜)) 普通の幸せを望み暮らしていたのに、ある日突然、薄氷の上を歩くしかなくなってしまったり、聡子の「狂っていないことが狂っている、この国では」という台詞が、現代でも地続きで続いていることに気付かされる、今の時代に響く作品です。2020年公開。
「ナイチンゲール」
アイスリング・フランシオーシ主演他。私は、あなたのものではない。流刑地タスマニア。すべてを奪われた女は復讐の旅に出る・・・。19世紀のオーストラリア。一帯を支配する英国軍の将校達から激しいレイプを受け、夫と子供を殺されたアイルランド人の女囚クレア(アイスリング・フランシオーシ)。復讐を誓う彼女は、逃亡した将校らを追跡するために先住民アボリジニのガイドであるビリー(バイカリ・ガナンバル)に道案内を依頼する。何一つ後ろ盾もない、奪われし者達の過酷な復讐の旅が始まる―。あまりにも過激な内容とバイオレンス描写で、ヴェネチア国際映画祭を揺るがし二冠!鬼才ジェニファー・ケントが世界に叩きつける、慟哭のリベンジ・スリラー!
8点!!前情報として19世紀のイギリスがオーストラリアの先住民を追い出し、植民地化し、さらに同じ白人でもアイルランド人の立場は弱く、タスマニアが罪人の流刑地だったという複雑な歴史背景を理解して臨んだ方が良いです。復讐ものは苦手ですし、暴力描写もキツイと聞いていたので、少し気合を入れて観ましたが、わかりやすいストーリーがテンポ良く進み、最後まで引き込まれました。なんでしょう・・・男性の復讐ものは全然寝ちゃうのに女性の、というかクレアの物語は、彼女の愛情深さや悲しみ、怒り、弱さが情感的に描かれていて、とても魅力的な主人公なんです。レイプシーンでクレアの目線と観客の目線が重なる箇所があり、その場に自分もいるような錯覚に陥る、そんなシーンがいくつかありました。悪魔的にサイコパスな将校ホーキンスは、知的さと動物的な暴力性がアンバランスな、どうしようもなく愚かな人間の象徴です。そんなホーキンスを甘い顔立ちのサム・クラフリンが演じることで、家族や友人がいる本国でのみイギリス紳士で、戦争や植民地では、アメリカや他の国の野蛮な人たちと変わらず、ケダモノがゴロゴロいたのかも知れないと想像させられ、ゾッとしました。ホーキンスはクレアたちを自分の持ち物だから自由に扱う権利があると考えているけれど、それを否定し続けるクレアもまた黒人のビリーに対し、案内をし、自分の役に立つのが当然と考えている節があり、「イギリス人は皆憎い」とひと塊に見ているところも含め、これじゃ戦争はなくならないよねと思いました。クレアとビリーは互いの背景が似ていることに気付き、相手を知ろうと歩み寄り、こんなにも互いに共感し思いやれるのに。クレアの悲しみや怒り、傷の痛み、疲れなどがない交ぜとなり、おかしくなっていく過程が生々しく、酷く弱い存在として描かれ、仇を前にしても撃てずに自分に問い続けるからこそ、彼女はケダモノではなく人間でいられるのだろうと感じました。冒頭からクレアの澄んだ歌声に引き込まれ、全編通して歌から感情が溢れていて、素晴らしかったです。とても力強く、それでいて完璧に近い描き切り方をしているヴェネチアでの受賞も納得の秀作です。2020年公開。
「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」
キット・ハリントン、ジェイコブ・トレンブレイ主演他。僕を知るのは、世界にただ一人。君だけ―。2006年、ニューヨーク。人気俳優のジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)が29歳の若さでこの世を去った。自殺か事故か、あるいは事件か。謎の真相の鍵を握るのは、一人の少年だった。それから10年の歳月が過ぎ、ドノヴァンと当時11歳の少年だったルパート・ターナー(ジェイコブ・トレンブレイ)の“秘密の文通”が一冊の本として出版される。今では注目の新進俳優になったルパートが、100通以上の手紙の公開に踏み切ったのだ。さらにルパートは、著名なジャーナリストの取材を受け、すべてを明かすと宣言するのだが・・・。少年との“秘密の文通”によって明かされる、美しきスターの死の真相。監督のグザヴィエ・ドランが幼き日にレオナルド・ディカプリオを送った手紙から着想を得た“人生の真実”を描いた愛の物語。
5点!!ドラン作品は光彩と余白の使い方が美しく、これまで寝ないで観切ったことがありません(爆)本作は英語劇、スター俳優が揃っていて上手く物語を引っ張っていたので、最後まで初めて寝ないで観れました(^^;) ナタリー・ポートマンとジェイコブ・トレンブレイの親子のしっくり具合に納得。この美女からならこの美少年が生まれるのかと(笑)キット・ハリントンも美男子だな~サラ・ガドンまで出ていて見目麗しかったです。人生において大事なもの、何を真実ととらえるか?をふわっと描いています。ドノヴァンはルパートによって手紙が公開され、世間にそれが真実とされてしまうことを望んでいたのかな?本当のところ、真実は本人にしかわからないけれど、ドノヴァンの周囲は彼の心を見なさ過ぎていて悲しい。でも、みんなが忙しくしている場においては、こういうことは普通に起こるのだろうとも思いました。個人のアイデンティティに関しては、すべての愛について何でもないことのように喋れる時代がきても、それでもそういうことは秘密にしておきたいとか、そもそもそういうことをオープンにすることが嫌いだという考えの人もいるし、制度や風習が変わっても難しいものがあると感じました。上手く言えないけどどんな考えの人も尊重される時代がくれば良い。好きな俳優が出ていれば観たら?というくらいの作品です。2020年公開。
「罪の声」
小栗旬、星野源主演他。35年の時を経て蘇る宿命。翻弄される運命。救うべきもの。本当の“罪”とは―。35年前、日本中を巻き込み震撼させた驚愕の大事件。食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件は、誘拐や身代金要求、そして毒物混入など数々の犯罪を繰り返す凶悪さと同時に、警察やマスコミまでも挑発し、世間の関心を引き続けた挙句に忽然と姿を消した謎の犯人グループによる、日本の犯罪史上類を見ない劇場型犯罪だった。事件の深淵に潜む真実を追う新聞記者・阿久津(小栗旬)と、脅迫テープに声を使用され、知らないうちに事件に関わってしまった俊也(星野源)を含む3人の子供たち。「正義」とは何か?「罪」とは何か?昭和・平成が幕を閉じ新時代が始まろうとしている今、35年の時を経て、それぞれの人生が激しく交錯し、衝撃の真相が明らかになる。観るもの全ての心を突き刺す感動のヒューマン・ミステリーが誕生する。
5点!!悪事を働く人はそもそも誰かの不幸を願って事件を起こすわけだけれど、正義を騙って事件を起こす人間は、その先にいる被害者、被害者の周囲にいる人、永遠に消えない苦しみが続いていく人生を、想像出来ないのかも知れないと思いました。たとえ、その事実を突きつけられても、「そんなつもりはなかった」と逃げさえするかも知れない。学生闘争に参加した人たちは、過去を武勇伝のように語ったり、今も変わらず憤っていたり、「あの時は若かった」で済ませたりする人もいるけれど、自分や仲間が怪我をさせられたり亡くなったことは覚えていても、自分たちが対峙した警察の顔、怪我をさせ殺してしまった相手の家族や友人の苦しさを忘れることなく思っている人はいるのでしょうか?正義とは対話によってのみ成立するもので、故意の有無に関わらず、誰かを傷つけた時点で被害者は加害者になるのが、人間社会の理なのだと思います。世界も、こどもの頃は当たり前だったそのルールを無視しているから、争いが正当化され、不幸の連鎖が止まらないのだと感じました。望を演じた原菜乃華は出番は少ないけれど、真っ直ぐな夢や苦しみがストレートに伝わり、望と親友の願いが虚しく打ち砕かれた苦しみが痛いほどに刺さりました。彼らにとって、傷つけてもいい家族って何なのでしょうか?想像力がないのでしょうか?世間では愉快犯のような扱いの事件でも、こんなにたくさん傷つけられる人が生まれるのだなと、きちんと知ることが出来て良かったです。苦しいし、少し中だるみもあるから、せめて二時間にまとめて欲しかったけど、見応えのある人間ドラマでした。2020年公開。
「ミッドサマー」
フローレンス・ビュー主演他。祝祭がはじまる。家族を不慮の事故で失ったダニー(フローレンス・ビュー)は、大学で民俗学を研究する恋人や友人とともにスウェーデンの奥地で開かれる“90年に一度の祝祭”を訪れる。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、やさしい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖・・・それは想像を絶する悪夢の始まりだった。明るいことが、おそろしい。太陽と花々に満たされた祝祭の果ては、究極の恐怖と、未体験の解放感―恐怖の歴史を覆す“フェスティバル・スリラー”。
4点!!怪しい新興宗教とは違い、村の風習なので、世界の残虐な風習に照らし合わせればあるかもなぁというギリギリラインを攻めているのが〇です。あるかもなぁ以外は特に驚きの展開もなかったですが、本当に気付かないうちに端っこまで追い詰められている感は良かったです。本当の恐怖とは手遅れになってからしか気づかないものです。最期のダニーの微笑みの理由が明確でないところが何とも・・・。自分を心配や共感してくれない彼氏や友人たちより、上辺だけでも一緒に喜び泣いてくれる世界を選んだってことかな?フローレンス・ビューは「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」の時の方が魅力的でした。サンダンスで絶賛される作品は大体そうですが、絶賛も酷評もなくて、微妙とも違う、もう2歩突っ込んだ心情描写があれば良くなったかもという作品が多いです。2020年公開。
「最高の花婿 アンコール」
クリスチャン・クラヴィエ主演他。「最高の花婿」から4年、あの多国籍ファミリーが帰ってきた!“違い”を受け入れると、人生がもっと楽しくなる。待望の四女(エロディー・フォンタン)に子どもが生まれることを楽しみにしていたヴェルヌイユ夫妻。ところが、夫妻が婿たちの実家を訪ねて世界を旅して帰ると、新たな問題が勃発!婿たちは、普通に暮らしていてもパリで受ける<異文化ハラスメント>に耐えられず、海外移住を宣言。孫にも会えず、家族がバラバラになることに心を痛める母マリー(シャンタル・ロビー)は、ある“作戦”を思いつくが・・・。毎日が異文化バトルの家族に新たな問題が勃発!イスラエル、アルジェリア、中国、そしてインドへ・・・今度は婿たちが海外移住!?700万人を笑顔にした2019年フランス映画興収No.1大ヒット作。
5点!!登場人物もそれぞれの出身国も全部忘れてるところからスタート。これ、フランス人がどうこうではなくお父さんのキャラが酷いな、前作もこんなでしたっけ?婿たちだけでなく四姉妹のキャラも濃いので、キャラの大渋滞が起こってます。こう、娘や孫たちはいて当然と思っている親世代って相手の親御さんは全然孫に会えないし、なつかれないことを全く考えられていない人が多い気がします。じゃなきゃ、全力で引き留めようとは出来ないし、視野が狭くて横暴だなと感じてしまいました。自分の国にいたって遠方なら1年に1回くらいしか会えないから外国にいるのと大差ないのに。四姉妹の婿たちがなぜ彼女たちとの結婚とフランス移住を決意したのかをクローズアップしてスピンオフドラマか何かで観てみたいと思いました。ほぼ移住するしないの会話劇で盛り上がりはないので、眠気がスッキリしている時に観ることをオススメします。2020年公開。
「約束のネバーランド」
浜辺美波主演他。当たり前だと思っていた、幸せになれることが―幸せに満ち溢れた楽園のような孤児院「グレイス=フィールドハウス」。そこで暮らす孤児たちは、母親代わりでみんなから“ママ”と呼ばれている、イザベラ(北川景子)のもと、里親に引き取られる年齢になる日を待ちわびていた。エマ(波辺美波)、レイ(城桧吏)、ノーマン(板垣李光人)の3人も、いつか外の世界で暮らすことで、より幸せな日々がやってくると信じていた。しかし、ある日“その秘密”を知ってしまう。全てが偽りだったと気がついた3人は、孤児たち全員を引き連れた、無謀ともいえる脱獄計画をスタートさせる・・・。「週刊少年ジャンプ」史上最も異色な脱獄ファンタジー、禁断の実写映画化!
5点!!原作読んでます。年齢と演技力以外は殆どクリアしている、どころかクライマックスのオリジナルな演出が素晴らしく、必死に生きようと抗う彼らに少し泣きそうになってしまいました(*^^*) あらゆる面において、最も実写化不可能な作品をここまで仕上げた監督:平川雄一郎×脚本:後藤法子コンビはスゴイ!称賛に値します(*^▽^*) 浜辺美波のエマは、トラック下にいる時とか、とても幼い顔をする時があり、流石の演技力でしたが、やはりエマの快活さと若い勢い、挑む感じは足りず。板垣李光人のノーマンは、特に演技が上手いわけではないのに、ノーマン過ぎるノーマン!(笑)よく見つけてきたなと思いましたし、大抜擢です♪城桧吏は・・・「万引き家族」の時は上手かったのに、どうした?というくらい、表情も作れてないし、一人だけ学芸会みたいになってます(>_<) これをあそこまで自然に仕上げた是枝監督スゴいということばかり浮び続けてしまい、物語の流れを遮るほど酷かったです(>_<) かなりのファンタジー設定なので、舞台を観る気持ちで観るのが良いかと思います。ただ、展開を知っているのと、スリリングさが伝わってこず、途中寝落ちしそうに(>_<) 個人的に壁モノは、壁越えてからが勝負だと思ってますが、続編は作られなさそうな終わり方でした。この出来なら続編を観てみたいなとも思ったのですが・・・。GFや森など世界観が美しかった分、「ハリー・ポッター」シリーズなどハリウッド映画のように子役を厳選して作れば完璧だったのに、日本映画の甘さや弊害が足を引っ張っている作品です。2020年公開。
「レ・ミゼラブル」(2020)
ダミアン・ボナール主演他。“悲劇”は終わらない。この街は今も燃えている。パリ郊外に位置するモンフェルメイユ。ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」の舞台でもあるこの街は、いまや移民や低所得者が多く住む危険な犯罪地域と化していた。犯罪防止班に新しく加わることになった警官のステファン(ダミアン・ボナール)は、仲間と共にパトロールをするうちに、複数のグループ同士が緊張関係にあることを察知する。そんなある日、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事が大きな騒動へと発展。事件解決へと奮闘するステファンたちだが、事態は取り返しのつかない方向へと進み始めることに・・・。「レ・ミゼラブル」の舞台となった街で、今なお繰り返される悲劇の連鎖。現代社会の闇をリアルに描く衝撃の問題作!!
2点!!各国からの移民たちを一つの場所に集めて、そこにフランス人がいなかったら誰も法律を教えてり、正したりしないのだから、こうなるよね(>_<) それでも無秩序な中で警察まで正義を捨ててしまったら、そこはただの悪人街なわけで、そこで育つ子どもたちはフランス社会に適応できる大人には育たないし、下手すると成人するまで生きられない。フランスは移民やアジア系の人に対して、受け入れておきながら顔をしかめたりするイメージだけど、一般層はその辺りをどう考えてるのか?と気になりました。ただ、事件収束から次の展開になるまでの間、終わりそうな気配があって、これなら物語にしないでドキュメンタリーを撮った方がいいじゃん!って突っ込んでしまいました。その後の展開には実際には出来ない夢があるので、物語なのですが・・・。カンヌ、この界隈を扱った作品好きですよね。イッサや物語のキーパーソンになる人物たちがもっと個性的で面白いキャラだったら肩入れ出来たり見やすかったと思います。このままだとドキュメンタリーが苦手な私にはかなり辛いな~とながら見でやっとという感じでした。2020年公開。
「グッド・ボーイズ」
ジェイコブ・トレンブレイ主演他。背伸びしたら、オトナになれるの?小学6年生の少年3人は同級生の女子たちから“初キス・パーティー”に誘われる。このパーティーには意中のあの娘も・・・♪しかし、キスの経験が全くない彼らは、背伸びをして様々な手を使いリサーチを開始する。そこで少しずつ垣間見られる“オトナの世界”に好奇心が止まらない!!しかし、ある事件をきっかけにとんでもない騒動へと発展し、彼らは絶交の危機に直面してしまう。果たして彼らは絆を取り戻し、初キスを経験することができるのか!?「ソーセージ・パーティー」制作陣が贈る全米No.1モンスターヒット青春コメディ!!
6点!!制作:セス・ローゲンなのでくだらなくふざけた感じが丁度よいコメディですが、PG12指定なので、ジェイコブ・トレンブレイと同世代のお子さんと観ると結構気まずいレベルのアダルトグッズがわんさか出てきます(^^;) キスのために生活県内で奮闘するレベルの話なので驚愕するような展開は起こらないのですが、男の子たちが必死に背伸びしているのが可愛いです。あとは、幼馴染でずっといつも一緒にいなきゃ駄目というわけではなく、それぞれやりたいことが別々になっても互いの大切な瞬間は一緒にいるという大きな成長をみせるのが、心にぐっときました(^^) 3人で「寂しかった」と抱き合うシーンでの彼らの寂しさがとても伝わってきて、自然な流れが上手い映画だと感じました。ジェイコブが見た目イケメン中身非モテ道を突き進んでいくのも笑えました(^^)2020年公開。
「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」
ティモシー・シャラメ主演他。うつり気な恋の空模様にご用心。大学生のカップル、ギャツビー(ティモシー・シャラメ)とアシュレー(エル・ファニング)は、ニューヨークでロマンティックな週末を過ごそうとしていた。きっかけは、アシュレーが学校の課題で、有名な映画監督ポラード(リーブ・シュレイバー)にマンハッタンでインタビューすることになったこと。生粋のニューヨーカーのギャツビーは、アリゾナ生まれのアシュリーに街を案内したくてたまらない。ギャツビーは自分好みのデートプランを詰め込むが、2人の計画は晴れた日の夕立のように瞬く間に狂い始め、思いもしなかった出来事が次々と起こるのだった・・・。恋の魔法がNYの街に降りそそぐ、甘くて苦いロマンティック・コメディ!
5点!!冒頭1分でシャラメに大火傷させるウディ・アレンすごい(爆)もう山田洋次の域に達してると思いました(でもウディ・アレンは好き)。相変わらず、イケメンにウディ自身を投影させて喋らせまくっているのは同じだけど、そこらのイケメンよりも芸術品クラスのシャラメが演じている方が残念な男性度が格段に上がっています。この法則は分かってはいたけれど、「シャラメでもダメなのね。」と驚いてる自分もいました。そしていつもながらどうして主人公に惹かれているのかわからないけど現れる知的なもう一人の美女チャン(セリーナ・ゴメス)。いつも大人が主人公なので哀愁とか色々惹かれる要素はあるけれど、今回は若者の恋愛なので、別れるのもくっつくのも「ちょっといいな。」程度のフワッとしたフィーリング程度にしか感じられないのも、いまいちな理由。雨のNYはオシャレで静止画だとどのシーンもとても美しいのに、話している内容は度量が狭くダサい(^^;) それに雨の日のNYは雰囲気良くても、ギャツビーの雨の日デートエピソードは、相手のこと考えてなくて嫌だなぁと女性は皆思うのではないでしょうか?(汗)ジュード・ロウもノーメイクにヘアセットなしなのかしら?と思うくらい普通のおじさんにされちゃってて、ウディの容赦のなさに苦笑いでした。まぁ、人生、晴れを好むか曇りを好むかって極論的に重要な気がする!私は晴れを好みます。ウディの作品って毎回同じフォーマットなのにハマる作品とそうでない作品があるのが不思議。同じNYが舞台なら「女と男の観覧車」の方が人生の酸いも甘いも嚙み分けた大人のお話で好きです。でも、これも何となくリピート再生したくなるので、好きじゃないけど悪くはないです。2020年公開。
「ワンダーウーマン1984」
ガル・ガドット主演他。人類は、本当の<最強>を知る―スミソニア博物館で働く考古学者、ダイアナ(ガル・ガドット)のもうひとつの顔―それは最強戦士<ワンダーウーマン>。禁断の力を手にした邪悪な実業家マックス(ペドロ・パスカル)の陰謀により、急速に崩れ去る世界の均衡と平和。マックスが生み出した正体不明の敵チーター(クリステン・ウィグ)とは?ワンダーウーマンはたった一人で人類の滅亡を止められるのか?そして、ワンダーウーマンがかつてない敵に挑むために払わねばならない“代償”とは!?人類は、見たことのない「真実」を目撃する。
4点!!冒頭、アマゾンのレースが迫力満点でツカミはバッチリでしたが、1984年に移ってからが長い!敵のマックスとバーバラの最終目的が定まっていないので、クライマックスに向けての追走劇が中だるみしまくりだし、スピード感ゼロです(-""-;) マックスの願いはあそこまでしなくても叶う筈なので、ハチャメチャな行動の説得力がなくて全体的にダラダラし続けてます。魔法の石の仕組みも穴だらけで、最後、マックスが願いを取り消した後、石は復活したのでしょうか?( ̄~ ̄;)最強の捕食者=チーターってそういうことかって笑ってしまいました。バーバラはチーターになりたかったわけじゃないと思うのですが・・・(^_^;) 魔法のランプしかり、願い方って大事(笑) スティーブ(クリス・パイン)に乗り移られた彼は?彼の人生を奪って良いと思うほど、ダイアナは愚かじゃないと思うけど。皆、揃ってキャラ設定がブレブレ(>_<) スティーブとの二度目の別れはダイアナのピュアさが現れてて可愛いしグッときました。ワンダーウーマンとチーターのシルク・ド・ソレイユなバトルも観たことない感じで見応え抜群。でもゴールドアーマーに着替えるタイミングがおかしい。最強になった瞬間に変身的な描き方か、スティーブが最後にアンパンマンの顔的な感じで投げるとか、変わる瞬間が観たかったです。欠点が目につき過ぎて、DCのいつものつまらないヤツのようで、後半、睡魔と戦うのに必死でした(=_=) 2020年公開。
「エジソンズ・ゲーム」
ベネディクト・カンバーバッチ主演他。天才発明家vsカリスマ実業家―未来を変える<ビジネスバトル>を制するのは誰だ。世紀の発明王トーマス・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)ほどの天才にも、最強のライバルがいた。彼の名前はウェスティングハウス(マイケル・シャノン)。<頭脳でトップに立つクリエイター>であるエジソンに対して、<戦略で支配を広げるカリスマ実業家>だ。二人が壮絶なバトルを繰り広げたのは、直流か交流か、どちらが優れているか、今の電気の原点を決めることになった<電流戦争>。莫大な金が動く特許の争奪戦に、名誉をかけた裁判。その影で横行するスキャンダラスなネガティブキャンペーンと裏取引。超一流の天才たちによる、息もつかせぬ本気の闘いの全貌が今、明かされる!
7点!!私は理数系が本当に弱く、本作を理解できる自信はさらさらなかったのですが、理数系の友人が「何をしようとしているのかわからない」というのに対し、説明できるくらい理解出来ました。そうなった理由は恐らく、本作が一般論「発明家=正論で割を食う、実業家=どんな手段を使ってでも実用にこぎつける」の逆をいっていたから。本作でネガティブキャンペーンの泥試合を展開するのはエジソンで、じっと耐えて説明しようとしないのはウェスティングハウスの方なのです。その違和感が映画として分かりにくい構図だけど、面白さに繋がっているのだと感じました。天才過ぎるとあれこれ考えすぎた結果、一番バカらしい方法を選択しがちなのかと(^^;) テスラ(ニコラス・ホルト)も出てくるのですが、彼の偉業を知らないとわかりにくい感じになってます。エジソンの秘書(トム・ホランド)がなぜエジソンを見捨てないのかが、その前の絆部分が描かれていないので、よくわからなかったです。発明家はやはり後世に名を残したいが最優先事項で間違ってても戻れないってことがあるのか~と間違った理論に固執し続ける闇が少しわかった気がします。こういう映画を理科で「電流」を習う前に見せてくれてたら、ちゃんと「電流」に興味が持てるのになと思いました。2020年公開。
「窮鼠はチーズの夢を見る」
大蔵忠義、成田凌主演他。好きで、好きで、苦しくて、幸せ。学生時代から「自分を好きになってくれる女性」ばかりと受け身の恋愛を繰り返してきた大伴恭一(大倉忠義)。ある日、大学の後輩・今ヶ瀬渉(成田凌)と7年ぶりに再会。「昔からずっと好きだった」と突然想いを告げられる。戸惑いを隠せない恭一だったが、今ヶ瀬のペースに乗せられ、ふたりは一緒に暮らすことに。ただひたすらまっすぐな想いに、恭一も少しずつ心を開いていき・・・。しかし、恭一の昔の恋人・夏生(さとうほなみ)が現れ、ふたりの関係が変わりはじめていく。これは胸が苦しくなるほど誰かを愛したあなたへ贈る、忘れられない恋の物語。
4点!!原作途中まで読んでます。成田凌は今ヶ瀬のイメージとは違うけれど、上手いだろうなと思い鑑賞。やはり、今ヶ瀬を完全にモノにしていて、恋の熱視線が狂気に見えるほど、彼の表情が映画を支配していました。でも今ヶ瀬が生身で現れると、ものすごい粘着質だし、エロいし、ドロドロしてるなぁとちょっと引いちゃうくらいでした。でも成田がこういう役を演じるといつもどうしようもない男感が出ちゃうので、今ヶ瀬のピュアさを表現したかったなら、違うアプローチもあったかなと感じました。個人的には綾野剛が成田の年齢の時演じたゲイの演技の方が感情もっていかれました。あと、恭一の婚約者を演じた吉田志織が可愛いです。「チワワちゃん」の時にも思いましたが、彼女はスレた感じがしなくて脇役だと花が咲いたみたいな明るさがあり、これからくるのではないかと(^^) 恭一はもうどうしようもないクズ男だけど、今ヶ瀬の「すべてにおいてその人だけが例外になっちゃう」というのがめちゃめちゃ共感してしまいました。本当の恋は人を正すし、変えますからね。まぁ、一般的には堕ちることの方が多いですが(爆)恭一に「来年も買ってやるから」と言われた時の今ヶ瀬の表情がもう切なさMAX!!不安定な恋ほど、自分と違う人間ほど、ハマってしまうのはどうしてなんでしょうね。そういう相手と出会ってしまったら、別れも含めて感謝できる付き合いをするべきなのだろうなぁと本作を観ていて、あらためて思いました。前半はロマンポルノかってくらいセックスチーンのオンパレードだったけれど、もう少し、心にエグく刺さる監督の方が良かったかな。2020年公開。
「ハニーボーイ」
ノア・ジュプ主演他。大人になった今、僕は知った。そこに、愛があったことを―。ハリウッドの人気子役として活躍する12歳のオーティス(ノア・ジュプ)は、いつも突然感情を爆発させる前科者で無職の“ステージパパ”ジェームズ(シャイア・ラブーフ)に、振り回される日々を送っていた。そんなオーティスを心配してくれる保護観察員、安らぎを与えてくれる隣人の少女、共演する俳優たちとの交流の中で成長していくオーティスは、新たな世界へと踏み出すのだが・・・。ハリウッドの天才子役が唯一演じられないもの、それは<現実の自分>。父とのトラウマに向き合い、光射す新たな世界へと踏み出す物語。
2点!!オーティス(=ラブーフ)の置かれている状況がわかってもハリウッドでも何とかしてあげることが出来ないなんて、夢がない(>_<) お父さんも虐待の連鎖が絶ち切れず、オーティスも絶ち切れずに、苦しいだろうなぁと思いながら観ていました。治療体制と完全な二人三脚でないと連鎖は断ち切れません。引き戻す材料がそこら中に転がり過ぎている。でも、父の立場になってみて、父の苦しみがわかったからって、それが「愛されてた」のイコールになるかと言われたら疑問です。何か自分の知らない父のエピソードなどが出てきて盛り上がるのかと思いきや、肩透かしで、「フロリダプロジェクト」みたいに淡々とした日常が目の前で行われていくだけ・・・。俳優との交流で成長という場面もなかったし・・・ん?どこかで見逃したのかな?(汗)高評価の作品なので、シャイア・ラブーフの子役時代や事情を知らなくても映画としてどこが楽しめるのかを教えて欲しいです。ノア・ジュプは、大人っぽさと子どもっぽさに成長期のすらりとした少年ぽさも加わり、演技も素晴らしいし、ますます成長が楽しみになりました。ノア・ジュプの演技を観るためにリピートしても良いくらい◎。2020年公開。
「青くて痛くて脆い」
吉沢亮、杉咲花主演他。この青春には嘘がある。人付き合いが苦手な大学生・楓(吉沢亮)と、空気の読めない発言で周囲から浮きまくっている秋好(杉咲花)。ひとりぼっち同士の2人は「世界を変える」という大それた目標を掲げる秘密結社サークル【モアイ】を作る。しかし、秋好は“この世界”からいなくなってしまった―。秋好の存在亡き後、モアイはチャラいだけの意識高い系就活サークルに成り下がっていた。取り残された楓の怒り、憎しみ、すべての歪んだ感情が暴走していく・・・。アイツらを、モアイをぶっ壊す。どんな手を使っても。楓は、秋好が叶えた勝った夢を取り戻すため、モアイ奪還計画を企てる。青春最後の革命が今、始まる。「君の膵臓をたべたい」の住野よるが「キミスイ」の価値観をぶっ壊すために描いた衝撃作がついに映画化!
5点!!宣伝の仕方(怒)青春時代は青くて痛いものだけど、こう本人に面と向かって言えないことを黙って後ろから刺すようなことが出来てしまうTwitterなどのSNS社会はどうなのだろうか?誰もが声を挙げられる社会を目指しているうちに、誰かのフリして向き合う勇気もないのに、攻撃できる世の中になってしまった。こういうのを観るとやはり大人でも難しいモラルを、守って使える年齢までSNSは使わせない、あくまでシュミレーションソフトでの練習期間にするべきなのではないかと思ってしまいます。モアイの「世界を変える」ではないですが、自分の一言で知らない誰かが死んでしまうことも出来ちゃう世の中になっちゃったので。割と最初の方から展開が読めてしまっていたので、その分、楓と秋好のキラキラしていた頃はより瑞々しく、後半とのギャップをもう少し強くつけて描いて欲しかったです。「キミスイ」の月山監督で観てみたかったかも。楓は自己愛性が強くて、だからこそ周囲から傷つけられないように用心深く他人との距離を保っていたのだと思うのですが、人と人が関わればいつかは傷つくからねぇ(>_<) 楓が反省すらも「つぶやき」で済まそうとする行動に唖然。その行動すらも自己責任を取って責められ、話題の真ん中に立てる自己陶酔に浸っているようでもう・・・。この子は痛くても辛くても自分をちゃんと叱ってくれる人といた方が良いと思いますが、アメとムチのバランスが難しいですね。秋好といえども何度も引き留めた相手を止め続けるほど「去る者追う」人間ではないと思うので。秋良は自分が傷つくことも含めてすべてちゃんと受け止め成長しようとしている強い女の子だなと思いました。輪の中心になる人物というのは場所が変われば、輪から外される人物に成り得るし、秋好はその危険性も経験してきているように感じました。やってしまったと思った時に逃げずに問題の前に立って責任を取れるかは勇気よりもそれまでの経験の積み重ねだと思うので、本作にダイレクト世代の中高大学生に響いて、変わるきっかけになればいいなと思う青春映画でした。他人に責任を追及するのではなく、自分で責任を取れる大人になりたいものです。2020年公開。
「1917 命をかけた伝令」
ジョージ・マッケイ主演他。第一次世界大戦真っ只中の1917年のある朝、若きイギリス人兵士のスコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)にひとつの重要な任務が命じられる。それは一触即発の最前線にいる1600人の味方に、明朝までに作戦中止の命令を届けること。進行する先には罠が張り巡らされており、さらに1600人の中にはブレイクの兄も配属されていた。戦場を駆け抜け、この伝令が間に合わなければ、兄を含めた味方兵士全員が命を落とし、イギリスは戦いに敗北することになる。刻々とタイムリミットが迫る中、2人の危険かつ困難なミッションが始まる・・・。異次元の映画没入体験。<命懸けの壮絶なミッション>に同行せよ。
5点!!当時の詳しい戦況を知らないとスタート地点、通過地点、ゴール地点、及びここがどこなのか?(フランス西部)がわからず(地図での説明が早い)、わりと「???」な状態が続きます。二人の兵士と並走しているような撮り方なので(でも酔わない撮り方)、塹壕、有刺鉄線、大掛かりな罠、市街戦、森と細かい感じが知らないことばかりで興味深かったです。でも、シークレットミッションなわけじゃないのにスコフィールドが味方にミッションの内容を話さないので、皆の協力が得られず。もし、話していたら、スコが独りになった時点で彼が死ぬとジ・エンドだから、もう一人つけてくれただろうにと思いました。第三者必要だって言ってたし。急いでいるという割にはずっと走っているわけじゃないし、少しのんびりし過ぎじゃない?という場面もあって、これがリアルなのかとうーんと思いました。コリン・ファースが本当一瞬だったので、それなら吹き替えで観れば良かったかな。お菓子持たせてあげる辺りがティータイムを大切にするイギリス人らしくて素敵でした(笑)行く先々でドラマがあるという内容ではなかったので、後半「あと半分もある」と思ったり、クライマックス手前で眠くなったりしながら何とか完走。音響良いの映画館で観たら後ろから銃撃音とかして緊迫感があるのかも。2020年公開。
「ドクター・ドリトル」
ロバート・ダウニー・Jr.主演他。世界一の名医のヒミツ、それは動物と話せること。動物と話せるドリトル先生(ロバート・ダウニー・Jr.)は、名医だが変わり者。世間から遠ざかり、様々な動物たちとひっそりと暮らしていた。しかし、若き女王が重い病に倒れたと聞き、ドリトル先生は女王を救える唯一の治療法を求めて伝説の島へと冒険の旅に出発する。一緒に行く仲間は助手のスタビンズ少年(ハリー・コレット)と、ドリトル先生が最も信頼する親友である頑固なオウム、臆病なゴリラ、とぼけたアヒル、陽気なシロクマ、皮肉屋のダチョウなど個性豊かな仲間たち。ほかにもメガネをかけた忠実な犬や、おしゃべりなキリン、賢くて勇敢なキツネ、昆虫など数多くの生き物が登場!旅の中で明らかになっていく、ドリトル先生の過去、国を揺るがす陰謀・・・物語はめまぐるしく動き出す。ドリトル先生と仲間たちが大海原に乗り出す壮大なアクション・アドベンチャー!
6点!!ドリトル先生がパイレーツ・オブ・カリビアンみたいな連中に追われながらインディ・ジョーンズな冒険をするお話。動物たちの声を演じている声優がめっちゃ豪華で、トムホの声が聴きたくて字幕で観たけど、トムホ=犬、旅に置いてかれちゃった(涙)予想外の笑いや展開、迫力ある映像とかはなかったけど、ドリトル先生と動物たちのとぼけたやりとりが可愛くて、旅を通していがみ合っていた動物同士も仲良くなっていくのが素敵でほのぼのしました(^^) 子ども向け映画としては満点。大人としてはクジラとか大砲船とかドラゴンとか出てくるので、もっと迫力とスリルを求めてしまうというか・・・。スタビンズ役のハリー・コレットが若い頃のエディ・レッドメインっぽくて、これからの成長を要チェックです。2020年公開。
「望み」
堤真一、石田ゆり子主演他。愛する息子は殺人犯か、被害者か。建築家として成功した頼りがいのある父(堤真一)、家で校正の仕事をする優しい母(石田ゆり子)、サッカーに打ち込む人気者の高校生の息子(岡田健史)、成績優秀でいつも明るい中学生の娘(清原果那)。そんな誰から見ても幸せな一家が変わってしまったのは、息子がケガをして、サッカー選手になる夢を諦めたことがきっかけだった。反抗的な態度をとり、夜遊びをするようになった息子が姿を消したその日、彼の友人が殺害される。事件には3人の少年が関わり、もう一人殺されたという噂が広がった。その日から、世間からの誹謗中傷、マスコミの容赦ない追及を受けながら、父、母、妹、それぞれの<望み>が交錯していく―。息子を信じたい父と守りたい母。家族がたどり着いた答えとは?衝撃と感動のベストセラー、禁断の映画化。
3点!!テンポが悪いし、各家族のエピソードも弱いし、感情をフューチャーするシーンも全部微弱過ぎて、2時間ないのに長いなぁと何度も時計を観ちゃう感じでした。「信じたい」は信じる側の希望、望みであって、信じているということにはならない。信じたいことを願っているだけというようなお話でした。残された家族3人とも信じたいことと願っていることの答えが違うので、その感情の矛盾を剥き出しにするようなシーンが必要だったと思います。話し合わないって現代の核家族の象徴とかですか?(--) ただ、親の立場に立つとどれを取っても辛くて、クライマックスに事件の鍵を握るモノの在処が明らかになるのですが、それがそこにあるということは、息子は犯人ではない、しかし被害者で亡くなっている可能性が高いと、家族の「望み」の一方が叶えらてもその瞬間に絶望に突き落とされる構造で、本当に息が出来なくなる感じが想像しやすかったです。あと、祖母がご馳走を作って駆けつけてきてくれるの、あれは泣いちゃう。我が子のためなら一緒にダークサイドに堕ちてもって思っている親は多いだろうけど、長い目で生きていくことを考えたら、闇堕ちしたら、陽の当たる場所にいられなくなったら、人の心は死んでしまう。結果論ではなく、そんな当たり前の健全さや自分の中の信念は曲げることなく生きていきたいと思わせられました。主軸もグラグラしている感じなので重厚感もなく、見せ方次第の残念な作品でした。2020年公開。
「薬の神じゃない! DYING TO SURVIVE」
シュー・ジェン主演他。何がホンモノで何がニセモノか!?上海でインドの強壮剤を販売する店主チョン・ヨン(シュー・ジェン)は、店の家賃すら払えず、妻にも見放され、人生の目標を見失っていた。ある日、店を訪れた慢性骨髄性白血病を患うリュ・ショウイー(ワン・チュエンジュン)から、国内で認可されていないインドの安価なジェネリック薬を購入して欲しいという依頼を受ける。最初は申し出を断ったものの、金に目がくらんだチョン・ヨンは、ジェネリック薬の密輸・販売に手を染め、より多くの薬を仕入れるため白血病患者たちとグループを結成。以来のリュを始め、白血病患者が集まるネットコミュニティ管理人のリウ・スーフェイ(タン・ジュオ)、中国語なまりの英語を操るリウ牧師(ヤン・シンミン)、不良少年のボン・ハオ(チャン・ユー)が加わり、事業はさらに大きく拡大していくが、警察に密輸として目をつけられ始め、グループは解散に。しかし、薬を絶たれた患者たちの悲痛な叫びに、チョン・ヨンは決意を固め、患者の負担を軽くするため仕入れ値以下の価格で再び薬を売り始める。あえて危険な仕事を続ける彼を待ち受ける結末とは・・・?医薬業界に激震が起きた実話のニセ薬事件。中国で、500億円の大ヒットを記録した社会派エンタテインメント。
8点!!犯罪もの、医療もの、中国の社会派映画としてはかなりエンタメ寄りで、わかりやすく楽しめました。法を守り命を正攻法で訴え続けるか、法を破り目の前の命を救うか、どちらが正しいかは、私は前者寄りだけど、家族の命が危険に晒されている場合は後者に転ずると思います。本作でキーなのは主人公は主人公の家族も含め、誰も白血病になっていないということ。つまり、完全な正義であり、自己犠牲の賜物なのです。自分本位だったチョン・ユンが他人に助けを求められ、失われていく命を見たことで、大きく変わっていく姿を見て、人間って何歳になっても成長出来るんだな、素敵だなと思いました(^^) あとは、中国にも金が絡まない自己犠牲で動く人間がこんなにいるんだという・・・(爆)実話映画だと真相を知るという楽しみ方で作品を観てしまいがちなのですが、最後に彼が助けた人々がズラリと並ぶシーンでの彼らの行動に唐突に感情を大きく揺さぶられました。病気や感染症の怖さ、人のために動く勇気、一人の命や人生のかけがえのなさ、今、あらためて向き合うべき作品だと思います。2020年公開。
「浅田家!」
二宮和也主演他。それは一生に一枚の家族写真。幼い頃、写真好きの父からカメラを譲ってもらった政志(二宮和也)は、昔から写真を撮るのが大好きだった。そんな彼が、家族全員を巻き込んで、消防士、レーサー、ヒーロー、大食い選手権・・・それぞれが“なりたかった職業”や“やってみたかったこと”をテーマにコスプレし、その姿を撮影したユニークすぎる<家族写真>が、なんと写真界の芥川賞・木村伊兵衛写真賞を受賞!写真をきっかけに日本中の家族から撮影依頼を受け、写真家としてようやく軌道に乗り始めたとき、東日本大震災が起こる。かつて撮影した家族の安否を確かめるために向かった被災地で、政志が目にしたのは、家族や家を失った人々の姿だった。「家族ってなんだろう?」「写真家の自分にできることは何だろう?」と苦悩する政志の前に一人の少女が現れる。「私も家族写真を撮って欲しい!」それは、津波で父親を失った少女の願いだった―。一枚の写真のチカラを信じて、「家族」を撮り続けた写真家と、彼を支え続けた「家族」の感動実話。
4点!!うーん、写真洗浄のボランティアのお話には過去にも触れているので、可もなく不可もなく。山田洋次に起用された俳優は山田後だと演技に癖がついて、その俳優だけだとクサ過ぎて観てられないなと冒頭の二宮さんと妻夫木さんを観て思いましたが、徐々にペースを取り戻していました。黒木華ちゃんも山田後ですが、こちらは全く問題なしで流石。写真家に与えれらる賞はカメラマンとしての腕なのか、被写体が優れているまたは演出力なのか、どちらなのかわからなくなりました。レスリー・キーとかは演出力+瞬間を捉える力な気がするし、戦場カメラマンは被写体の力な気がするし・・・。あと、津波で家族を失ってまだ避難所にいて「海行こう」ってなるかな?子どもだとそこはイコールにならなくて、楽しい思い出は楽しいまま、ちゃんと記憶出来るのかな。そうだったら子どもの心は素敵だなと思います。中野監督の作品は、静かに感情を呼び起こしていく演者に頼る作風なので、「この俳優の演技が見たい」など何か引っ掛かるものがないと、ダレタイムがないダレた映画になってしまいます。菅田くんの演技が良くて、少ない出番だけど、彼の背景すらうっすらと見えるような、こういうタイプの俳優との相性が良いのではないかと感じました。本作を観て、浅田家の写真集を観てみたいなと思わせてもらえないのが答えです。あとは、単純に才能があっても自分以外、大事に扱えない、家族、恋人はさらにその次にしちゃう人が嫌いなのかも(爆)2020年公開。
「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」
ケイトリン・デバー、ビーニー・フェルドスタイン主演他。最高な私たちをまだ誰も知らない。明日は卒業式。親友同士のモリー(ビーニー・フェルドスタイン)とエイミー(ケイトリン・デバー)は、高校生活の全てを勉学に費やし輝かしい進路を勝ち取った。ところが、パーティー三昧だった同級生たちも同じくらいハイレベルな進路を歩むことを知り愕然。2人は失った時間を取り戻すべく、卒業パーティーに乗り込むことを決意する。「あいつらの4年間を一晩で済ましてやる!」高校最後の夜、ガリ勉女子高生コンビが青春を取り戻すため、卒業パーティーに殴り込み!!一夜限りの爆走青春コメディ。
2点!!うーん、ハマらないと同性の話は笑えなくて辛い。男の子の話ならバカだなぁ可愛いなぁと思えるけど(爆)学校では大人しめだけど、普段遊んでないからやらかしちゃった子っていたなぁと(^^;) そういう子ってやらかし方がデカイんですよね。引き際を知らないから。モリーたちの学校は動物園かというくらい変な子ばかりで、これ同じクラスだったら楽しいけど疲れるだろうなぁと思いました(笑)今の子ってヒエラルキー関係なく個性を尊重していて優しい子が多いから、パリピでも初めてパーティーに現れた同級生に全力笑顔でウェルカムって言えるのか、優しい世界で素敵だなぁと思いながら観てました。この手の映画の中ではハジけ方が弱くて、本当ご近所さんレベルで、逆に意味のない一発芸みたいなのが多かったからハマらなかったのかも。小学生みたいな女子二人。二人の言い争いはエイミーの緊急事態を優先しなかったモリーが悪いと思います。2020年公開。
「シグナル100」
橋本環奈主演他。生徒36人vs担任教師。ようこそ、最狂最悪の自殺ゲームへ。担任教師の手により、突如として自殺催眠をかけられた36人の生徒たち。「遅刻をする」「電話をかける」「涙を流す」・・・普段何気なく行っている日常の行動が死を招く。その催眠発動(自殺)のシグナルは全部で100。死の暗示を解く方法はクラスメイトの死のみ。生徒たちが次々と自殺に追い込まれる中、死への恐怖から人間の本性が徐々に暴かれていき、やがて生き残りを賭けた壮絶なデスゲームへと発展していく。(自殺)催眠を解くのが先か、自分以外のクラスメイト全員を殺すのが先か!?狂気と絶望が暴れ出す、ノンストップの88分。あなたは、この結末に耐えられるのか。
1点!!原作読んでます。原作もそうレベルの高い作品ではないけれど、原作リスペクトがないにも程がある。担任の動機、生徒のキャラクター、学校の暗部をついた駆け引きゲーム、ストーリー展開すべてがなかったことになってます。もはや、ストーリーなんてほぼない。そんなに「バトルロワイヤル」を超えたくて足掻くなら、原作ものじゃなくてオリジナルでやってくれ。原作を道連れにしないでくれ。スプラッター描写だけは、しっかりR15の惨劇だったけど、面白くないから、それさえもどうでも良くなるレベル。こういう映画はすべて無名のキャストで自主映画で作ってみて面白くなければやったらダメだと思います。台詞の言葉使いも会話の流れを途切れさすくらいおかしい。わりと将来有望と言われている若手俳優が揃っているのに、怪演披露しているのに、可哀想すぎる。久々にダイナミックにやらかしていて、原作者にも原作ファンにも謝った方が良い作品でした。2020年公開。
「海辺の映画館 キネマの玉手箱」
厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦主演他。また見つかった。何がだ?永遠。尾道の海辺にある唯一の映画館「瀬戸内キネマ」が、閉館を迎えた。嵐の夜となった最終日のプログラムは、「日本の戦争映画大特集」のオールナイト上映。上映がはじまると、映画を観ていた青年の毬男(厚木)、鳳介(細山田)、茂(細田)は、突然劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの世界にタイムリープする。江戸時代から、乱世の幕末、戊辰戦争、日中戦争、太平洋戦争の沖縄・・・3人は、次第に自分たちが上映中の「戦争映画」の世界を旅していることに気づく。そして戦争の歴史の変遷に伴って、映画の技術もまた白黒サイレント、トーキーから総天然色へと進化し移り変わる。3人は、映画の中で出会った、希子(吉田玲)、一美(成海璃子)、和子(山崎紘菜)ら無垢なヒロインたちが、戦争の犠牲となっていく姿を目の当たりにしていく。3人にとって映画は「虚構(嘘)の世界」だが、彼女たちにとっては「現実(真)の世界」。彼らにも「戦争」が、リアルなものとして迫ってくる。そして、舞台は原爆投下前夜の広島へ―。そこで出会ったのは看板女優の園井惠子(常盤貴子)が率いる移動劇団「桜隊」だった。3人の青年は、「桜隊」を救うため運命を変えようと奔走するのだが・・・!?映画は未来を変えられる!!大林宣彦監督が新しい世代へ託すメッセージ。エネルギッシュなパワーが爆発する、誰も体験したことがないエンタテインメントが誕生!
6点!!反戦と中原中也推しが映画の容量を超えてる(笑)色んな時代にタイムリープものかと思って観始めると「おお、そっち?」ってなります。途中から普通になるのかな?と思ったらそれが最後まで続くので「おお」って引き気味になりながらも最後まで感想。第二次大戦くらいから映画の舞台が現代に近いからか観やすくなります。「反戦」も4回目くらいまでは「そうだね、戦争はダメだね」となりますが、流石に20回以上叫ばれると園子温の台詞の繰り返しの如く「くどいな」となるので、全体のバランスが大事。映画自体も大林監督の頭の中をひっくり返したごちゃごちゃのまま出した作風なので、大林監督のリアルタイム世代はついてこれないのではないでしょうか。遺作なのに・・・(>_<) 映画が大好きというよりが、伝えたいことの手段が映画という監督なのかなと感じました。若手俳優の生かし方は流石で、新人の吉田玲も含め山崎紘菜など、演技力に頼らずとも役を生きる、スクリーンで映えているが素晴らしかったです。映画の中の映画同様、インターミッションを入れながら完走しましょうという「芸術は爆発だ」的作品です。2020年公開。
「私をくいとめて」
のん主演他。おひとりさまライフを気ままにエンジョイするみつ子(のん)31歳。みつ子が一人で楽しく生きているのにはワケがある。それは脳内に生まれた頼れる相談役=A(声:中村倫也)。人間関係や身の振り方に悩んだときは、Aがいつでも正しい答え(アンサー)をくれる。Aと一緒に平和でゆるゆるとしたおひとりさまの毎日が続くと思っていたある日、うっかり!年下の営業マン多田くん(林遣都)に恋をしてしまった!おそらくは両想いだろうと信じて、20代と30代の恋愛の違いを痛感しながら、みつ子はAと共に勇気を振り絞り、失敗したら立ち直れないダメージを負ってしまう31歳、崖っぷちの恋愛に踏み出そうとする・・・。脳内に相談役Aが爆誕した31歳おひとりさま。わかりみ深すぎ崖っぷちロマンス!
4点!!「勝手にふるえてろ」と同じ大九明子監督、同じ綿矢りさ、同じ系統の作品で原作も好きなのに、何故だろう?「勝手に~」にドハマリしたのに本作にはハマれなかった。決定打ではないのだけれど、原作にあるみつ子の行動動機やジェネレーションギャップなどが設定はあるのに説明が雑で、どう見てものんの方が年下のキラキラ感があるのに、キャスティングありきで林遣都、Aを中村倫也の声なのに前野朋哉にしちゃう意味の分からなさかな?個人的なイメージでは小手伸哉さん辺りだったのだけどな。原作のキャラも年齢も変えたくないけど、沿わないキャスティングで行きたいは原作リスペクトに欠けるし、それを上回るくらいの演技をしている俳優うも本作の中にはいません。のんは上手い下手じゃなく、おひとりさま闇系女子にしては表情が明るすぎるんですよね。誰もが感じたことのあるあるあるエピソードでも、ヒリヒリする感じが全然なかったです。大九監督自体、ハマるのとハマらないのがあるので、今回は不発だったかな。2020年公開。
「ストックホルム・ケース」
イーサン・ホーク主演他。なぜ、人質は、犯人に味方したのか?何をやっても上手くいかない悪党のラース(イーサン・ホーク)は自由の国アメリカに逃れるために、アメリカ人風の紛争をしてストックホルムの銀行強盗を実行する。彼は幼い娘を持つビアンカ(ノオミ・ラパス)を含む3人を人質に取り、犯罪仲間であるグンナーを刑務所から釈放させることに成功。続いてラースは人質と交換に金と逃走車を要求し、グンナーと共に逃走する計画だったが、警察は彼らを銀行の中に封じ込める作戦に打って出る。現場には報道陣が押し寄せ、事件は長期戦となっていく。すると犯人と人質の関係だったラースとビアンカたちの間に、不思議な共感が芽生え始める・・・。「ストックホルム症候群」の語源となったスウェーデン史上最も有名な銀行強盗を基にしたクライム・スリラー。
5点!!犯人確保しようとして、人質たちが全員犯人を守ろうと行動し出したら困るだろうなぁ(^^;) 今はストックホルム症候群対策もきちんと決まっているから大丈夫だろうけど、当時は人質たちの行動に警察も報道も「??」ってなっただろうと思います。ラースの過去の一件の強盗未遂事件の他にお涙頂戴的な話はほとんどなく、短い時間でサラリと話をまとめているので、ストックホルム症候群の基となった事件の内容を知りたい方にはちょうど良い作品。症候群が発生するには一定条件をいくつかクリアしていなければならないかと思いますが、犯人たちが極悪非道というよりは助けてあげないと速攻捕まっちゃうような性格だった場合も条件に入るのかな?イーサン・ホークの困り顔もあるけれど、なんだか可愛らしいほっとけない犯人でした。でも本人が「すぐ金が手に入ることに慣れる」と言っていたように人間として一瞬じゃない時間を付き合う場合には一緒にいたくない相手なんだろうけど。まぁ、ダメンズはいつの時代も世の女性の一定層に人気がありますからね(爆)スウェーデンの警察や銀行職員のゆる~い感じも相まって笑えないはずなのにクスリと笑える場面ばかりという珍しい事件の珍しい映画でした。2020年公開。
「朝が来る」
永作博美、井浦新、蒔田彩珠主演他。あなたは、誰ですか?一度は子どもを持つことを諦めた栗原清和(井浦新)と佐都子(永作博美)の夫婦は「特別養子縁組」という制度を知り、男の子を迎え入れる。それから6年、夫婦は朝斗と名付けた息子の成長を見守る幸せな日々を送っていた。
ところが突然、朝斗の生みの母親“片倉ひかり”を名乗る女性(蒔田彩珠)から、「子供を返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」という電話がかかってくる。当時14歳だったひかりとは一度だけ会ったが、生まれた子どもへの手紙を佐都子に託す、心優しい少女だった。渦巻く疑問の中、訪ねてきた若い女には、あの日のひかりの面影は微塵もなかった。いったい、彼女は何者なのか、何が目的なのか?河瀬直美×辻村深月による心揺さぶるヒューマンドラマの誕生。
3点!!原作読んでます。河瀨直美と原作「朝が来る」の相性は良いと思ったし、アカデミー賞にもノミネートされていたので期待していたのですが・・・原作はラスト、感涙出来たのに全然泣けない。そことそこショートカットするのに139分もいる?尺の使い方がおかしくて、もう本当ダレタイムが半端なかったです。ひかりの苦労ゾーンのエピソードひとつ丸々カットはおかしいです。あと栗原夫婦の「ひかりはそんな人じゃないです」って一瞬しか会ったことなくて妊娠の背景も知らないのに、あなたはひかりの何を知ってるの?っていう。あとは河瀨監督のドキュメンタリーな撮り方の欠点で養子縁組を希望している夫婦や広島のおばちゃんたちとか、棒読み時間が長すぎて居心地が悪い時間が続く苦行状態。井浦さんもファンですが、今回はその悪い影響を受けちゃったというか、出来上がっていない状態でOKが出ちゃった感じがしました。そんな中、蒔田彩珠の演技だけは別格で素晴らしい。ピュアさや10代の不安定さを抱えたまま荒んでいくひかりを見事に体現しています。個人的には、原作ものは原作と同レベルか超えないとやってはいけないと思っているので、そういう意味でも低評価かな。2020年公開。
「新感染半島 ファイナル・ステージ」
カン・ドンウォン主演他。あれから4年。かつての祖国は、別世界となっていた。謎のウイルスの感染爆発が、半島を襲ってから4年後。家族を守れなかった元軍人のジョンソク(カン・ドンウォン)は、亡命先の香港で廃人のような暮らしを送っていた。そんな彼のもとに、半島に戻り大金を積んだトラックを見つけ、3日以内に帰還するという仕事が舞い込む。だが、潜入に成功したジョンソクと仲間を待っていたのは、禍々しい感染者たちと、この世の地獄を楽しむ狂気の民兵集団。両者に追い詰めら得たジョンソクを助けたのは、母娘の生存者だった。この地獄から脱出する、という最後の望みにかけて、手を結んだ彼らの決死の作戦とは?真の敵は感染者か?暴徒と化した狂乱者か?残された希望が、絶望に覆われた<半島>を爆走する!!
6点!!同じゾンビ映画でも前作と系統が違うので、家族愛inゾンビを期待していくと期待外れになるでしょう。ゾンビ映画というよりはカーアクション?マッドマックス?予測不能過ぎて泣ける前作の方が圧倒的に好みですが、ゾンビアクションやもう何が何だかわからない敵味方入り乱れてのカーアクションの凄さは合格レベルを遥かに超えていることは確かです。ゾンビは皆、選手か何かなの?という人間離れした動きの連続だし、劇場で観たら怖いし迫力凄そうでした。クレイジーなドライビングテクを持つジュニ(イ・レ)があどけない子どもで彼女の魅力が作品の質を上げています(^^) 今回は前作と違い人間ドラマを徹底的に省きまくっているので、病んじゃった大尉やミンジョン(イ・ジョンヒョン)の背景がまったくわからず、感情移入しにくいドライさがあったと思います。主人公ジョンソクもしかりで、彼がどれだけの罪悪感と後悔を抱え、なぜ行動しているのかがカン・ドンウォンのイケメンフェイスだけだと伝わりにかったです。もう少し、人間ドラマが観たかったかな。2020年公開。
「とんかつDJアゲ太郎」
北村匠海主演他。とんかつもフロアもアゲられる男になる!!。とんかつ屋3代目の跡取り息子・アゲ太郎(北村匠海)。とんかつもフロアもアゲられる男「とんかつDJ」を目指そうとする!すべては一目惚れした苑子ちゃん(山本舞香)の心を射止めるために。でも、豚肉にも、DJ機材にも触ったことがないアゲ太郎。いい加減な性格のDJオイリー(伊勢谷友介)に弟子入りしたり、大人気DJ屋敷(伊藤健太郎)を勝手にライバル視しちゃったり、ノーテンキなアゲ太郎の道のりは、一に勢い、二に勘違い、三に運命の出会い!?とハプニングだらけ!果たして「とんかつDJ」として頂点を目指せるのか?満腹絶倒コメディ、ここに爆誕。トンでも映画の幕がアガる!
3点!!すごいダサい「WE ARE YOUR FRIENDS」みたいな。音楽も80年代?シーンのものばかりで、ここまでいくとジャパニーズ・レトロな良さがあるけど、日本独特な雰囲気を感じさせる作品でした。ストーリーは特に何のひねりもないので、ながら見で観て長いなと感じます。つまらない!というほどでもないけど、キャストに興味なければノリ以外何もない映画なので、観なくても大丈夫です。2020年公開。
「タイトル、拒絶」
伊藤沙莉主演他。ワタシの人生に、タイトルなんて必要なんでしょうか?雑居ビルにあるデリヘルの事務所で、華美な化粧と香水の匂いをさせながらしゃべる女たち。デリヘル嬢たちの世話係をするカノウは、様々な文句を突きつけてくる彼女たちへの対応に右往左往している。やがて、店で一番人気のマヒルが仕事を終えて戻って来る。何があっても楽しそうに笑う彼女がいると、部屋の空気は一変する。ある日、モデルのような体型の若い女が入店したことをきっかけに、店内での人間関係やそれぞれの人生背景が崩れはじめる。それぞれ事情を抱えながらも強く生きるセックスワーカーの女たちを描いた群像劇。
4点!!風俗ってこんなに人格破綻者とメンヘラとクズばかりなのだろうか?だとしたら早急に風俗にはカウンセラーを常駐させるべきだし、傷ついた心を抱えて風俗の世界に入っていく女性はさらに傷つけられることを覚悟しなくては危険だと思いました。本作の登場人物たちは主人公のカノウ(伊藤沙莉)でさえも人を見下していて、デリヘリの待機室というとても狭い空間は苦しみと怒りと虚勢に満ちていました。本作の女性たちの「強く生きる」は「脆い」とイコール。それでも必死に踏ん張って笑うマヒル(恒松祐里)は強いと言えるのだろう。舞台仕立てのシチュエーションものは元々好みだし、女性の傷に特化した作品なのは面白かったけど、ストーリーとしてカタルシスが得られるような群像劇にはなっていないし、浅く描いていると言えなくもない作品です。2020年公開。
「ザ・コール」
パク・シネ、チョン・ジョンソ主演他。ソヨンは幼い頃に大好きだった父を火事で亡くし、その原因を作った母を許せずにいた。母が入院中のため、無人となった実家を久々に訪れた彼女は、来る途中で携帯電話を失くし、古い電話機を引っ張り出す。するとヨンスク(チョン・ジョンソ)という若い女性から電話が繋がり、彼女は20年前の同じ家にいることが判明。時を超えて会話を続けるうちに2人は親しくなり、ヨンスクが父が命を落とした家事を事前に食い止めたことから、歴史が書き換えられる。ソヨンとヨンスク、2人の関係はさらに良くなるかに思えたが、このことをきっかけに2人の女の人生が大きくゆがみ始める。パク・シネ主演の時空を超えたサスペンススリラー。
6点!!【ネタバレあり】優れた韓国映画のひとつに挙げられていたので鑑賞。韓国の俳優が演じる犯罪者描写って本当に幽霊顔負けの怖さがあるけれど、本作はまだセーフに範疇でむしろ、最初の方は養母を演じたイ・エルの方が怖かったです。ヨンスクを演じたチョン・ジョンソの演技を初めて観たのですが、最初の可愛らしい少女の印象からどんどん目や表情が変貌していく様が見事で、観るのを躊躇っていた彼女の出世作「バーニング」を観てみたくなりました。未来が変わる描写が近未来SFみたいな変わり方なのが新感覚で「あれ?」って気付く感じじゃなくダイナミックなのが面白かったです(^^) ただ、未回収な伏線が幾つかあって、ソヨンのスマホ、ソヨンの養母がヨンスクのスーパーに持っていた鶏、過去と未来のヨンスクが繋がったタイミングと方法。過去と未来のヨンスクが繋がる方法はあの家のコードレスフォンだけのはずなので、ソヨンが知らないうちに侵入したのかな?結構なキーポイントの未回収があるので、気になったまま終わります。でも、二転三転していくストーリーがテンポ良く進んでいくし、ホラーが苦手な人でも面白さの方が勝って大丈夫なレベルだし、恐らく人間の闇描写に関しては原案のイギリス映画より上だと思います。ホラー初心者にオススメな作品です。2020年NETFLIX・日本未公開作品。
「パピチャ 未来へのランウェイ」
リナ・クードリ主演他。わたしらしく、闘う。1990年代、アルジェリア。ファッションデザインに夢中な大学生のネジュマ(リナ・クードリ)はナイトクラブで自作のドレスを友人たちに販売している。夢は、世界中の女性の服を作るデザイナーになること。だがイスラム原理主義の台頭によりテロが頻発する首都アルジェでは、ヒジャブの着用を強制するポスターがいたるところに貼られるように。従うことを拒むネジュマはある悲劇的な出来事をきっかけに、自分たちの自由と未来のため、命がけでファッションショーを行うことを決意する。ファッションデザイナーを夢見る少女と友人たちのかけがえのない青春は、ある日突然打ち砕かれた。アルジェリア“暗黒の10年”を舞台に新鋭監督が描く、真実から生まれた物語。
2点!!全然詳しくないのですが、本作を観ていて内戦地域とかは宗教の縛りが緩くなったりきつくなったりを繰り返していて、緩い時はネジュマのように世界中の普通の女の子と変わらずお洒落やデートを楽しめるのかなと感じました。でも、一度結婚してしまうと厳しい戒律の中に治められ身動きとれなくなっちゃうイメージ。あと、やはり女の敵は女な部分が大きくてその国の女性が全員ひとつになれば変えられないことなど殆どないはずで、でも男性により女性同士が対立するような構図が常に作られている。それに気づいていない女性も多い気がします。映画としてはネジュマのファッションへの本気度も、やっていることは中学生のファッションショーくらいのことなのでわからないし(抵抗の本気度はわかる)、物語として引き込むような面白さや展開もない意外性ゼロ過ぎるくらい。でも、「王様の耳はロバの耳!!」と叫ばなければ心が壊れそうになっているネジュマの気持ちはよくわかりました。この地域に暮らす女性皆が我慢するか諦めるかしなければならないのは、それを容認するすべての人が、男女問わず恥ずかしいことだと思った方が良いです。2020年公開。
「ザ・プロム」
メリル・ストリープ主演他。ニューヨークの人気舞台俳優ディーディー・アレン (メリル・ストリープ) とバリー・グリックマン (ジェームズ・コーデン) は、予算を注ぎ込んだ新作ブロードウェイミュージカルが大コケ。突如として役者生命の危機が訪れ大ピンチに。一方、インディアナ州の田舎町では、高校生のエマ・ノーラン (ジョー・エレン・ペルマン) が悲嘆に暮れていた。エマとガールフレンドのアリッサ (アリアナ・デボース) が一緒にプロムに参加することを禁止されたのだ。エマの境遇を知ったディーディーとバリーは、この機に乗じて自分たちのイメージを挽回すべく、同じくキャリアアップを図る皮肉屋の俳優たち、アンジー (ニコール・キッドマン)、トレント (アンドリュー・ラネルズ) と連れ立ち一路インディアナへ向かう。下心丸出しのセレブたちだったが、エマが自分らしく楽しめるプロムを実現すべく奮闘するうちに4人の人生にも、やがて大きな変化が訪れる。実際に起きたLGBTQへの差別を題材とした豪華キャスト陣による圧巻のミュージカル。
6点!!ダンスのテンポ感や配置がディズニーチャンネルっぽいなぁと思ったら、「gree」シリーズの監督でした。Netflix作品は製作費と上映時間の制限がない分、無駄に長い。ディレクターズカット版を観させられてるかのようで、必要ないダラけたシーンが多く、良作でも眠たくなります。しかも、本作の場合、ダラけてるのに顔力の強いメリルとニコールのワチャワチャしたシーンとかはなくて、それぞれのキャラクターのソロシーンも少ないんですよね。ニコールなんて、え?ソロないけど、終わっちゃう?って焦りましたもん(^^;) 良かったのは、重たくないのに、それぞれのLGBTQの彼らが置かれている立場の悲しみがとてもストレートに伝わってきたところ。他人のちょっとした意地悪心が当事者の心をどれだけ再起不能にさせることか。勇気を出して行ったプロム会場に自分一人きりなんてエグいにも程があるし、想像するだけで泣きそうになりました。そして、それを上塗りするかのような大人たちの公然の場での言い訳。言葉で人は殺せるんだよと今の世の中と重なってみえました(;_;) 自分の性が不安定で不安なまま10代を迎え、一番味方になって欲しい親に拒絶されたらアイデンティティーが粉々になるよね。どうして大人になると親になるとそれがわからない人たちがいるのだろう?家族というホームがしっかりしていれば、人は大抵のことは乗り越えられるのに。理解と共感が出来なくても愛していると伝えることの大切さもあらためて気づかされました。感想書いている今でも涙が溢れそうになるくらいメッセージ性のある良作だったのに、うっかり寝そうになるくらいダレタイムがある不思議な作品です(^^;) 2020年公開。
「#生きている」
ユ・アイン、パク・シネ主演他。ある日、韓国ソウル近郊で謎のウイルス感染が発生し、人々がゾンビ化して街を襲ってくる。電話も通じず、インターネットも通信不能な中、ゲームオタク青年のオ・ジュヌ(ユ・アイン)は、マンションの部屋に閉じこもり、テレビのニュースと窓から見える景色から情報を得て、生き残りをかけたサバイバル生活を始める。VR機器やドローン、SNSを使いこなすデジタルネイティブなオ・ジュヌだったが、やがて向かいのマンションに暮らす女性で斧やロープなどのキャンプツールを駆使するアナログ派のキム・ユビン(パク・シネ)と協力し、絶望的な状況から抜け出そうとする。
2点!!ステイホーム×ゾンビ。これコロナ禍になってから制作されたのなら一風変わったメッセージ性があって面白いけど、どうなんだろう?でも、メッセージ性は面白いけど、作品自体はどうか?と問われると、評判が良い作品の割にはストーリー展開も単純だし、短編で良いところを予算と時間をかけて引き延ばしている感じがしてつまらない。ネットフリックスの映画を幾つか観てきたけど、どれも無駄に予算と上映時間が長くてつまらないものが多い。「ネットフリックスはハズレがない」と騒いでいる人たちは普段映画をたくさん観ない層なのではないか?という結論に落ち着いた。かなり昔に制作された日本の「生きてるものはいないのか」の方がバッサリいってて斬新だし、アナログ感があってお勧めです。主人公のキャラ設定が引きこもりならギリギリまで引きこもってるワンシチュエーションゾンビの方が面白いと思うし、ゲーム中毒者なのにサバイバルになるといきなり瞬発力と運動神経を発揮するのとか違和感が凄い。あとは電気が途切れてるのにドローンやスマホをいつまでも動かせたり、隣人の家に食べ物があるだろうに、わざわざ当てのない場所を探しちゃうのとか、綱で渡るんじゃなくて降りちゃうんだとかツッコミどころも満載。ユビンのお腹の怪我とかも回収できてないし、ゾンビが普段通りの行動をとるのなら、家族が帰ってきちゃう方が面白いのにそういうのも一切なく、いきなりの救助ヘリなんてご都合主義過ぎて「あーーー」ってなる。自主映画かなんかなら微笑ましく観ますけどそうじゃないし。知らない男性二人と女性一人だけになるユビンの恐怖心だけは心から同意。あれは怖いよ。2020年日本未公開・Netflix作品。
「エイブのキッチンストーリー」
ノア・シュナップ主演他。僕にしか作れないたった一つの家族のレシピ―ブルックリン生まれのエイブ(ノア・シュナップ)は、イスラエル系の母とパレスチナ系の父を持つ。文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされる中、料理を作ることが唯一の心の拠りどころだった。誰からも理解されないと感じていたある日、世界各地の味を掛け合わせて「フュージョン料理」を作るブラジル人のシェフのチコ(セウ・ジョルジ)と出会う。フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、自分にしか作れない料理で家族を一つにしようと決意する。果たしてエイブは、家族の絆を取り戻すことができるのか?12歳の少年が手作り料理で壊れかけた家族の絆を取り戻す“心も美味しい”感動ストーリー!
7点!!ストーリーは単純ですが、どんな味だか想像しにくい料理でも美味しそうだし、エイブのワクワクや悲しみが12歳の目線で伝わってきて、ディズニー作品でもおかしくない良作でした。サンダンス映画祭出身の作品でここまで仕上がっている作品に出会えるのは珍しいです。まったくルーツも文化も異なる国同士であれば棲み分けが出来るけど、イスラエル系とパレスチナ系は重なる部分や似ている部分が多いから、普段からどうしても譲れない場面が多くなってしまうのかなぁと詳しくないなりに考えながら観ていました。でも、エイブが皆の仲を思って丹精込めた料理を誰も「美味しい」って言わなんですよ、この家族。高齢で頭が固いのはわかるけど、宗教以前に大切な人に寄り添う思いやりが足りないと感じました。日本だと神教や仏教を信じていても、どの文化に対しても「郷に入っては郷に従え」で体験を楽しめる人が多いですが、エイブがどちらのルーツも感じたい楽しみたいというのでは駄目なのかな?融通が利かない宗教だとしても自分にフィードバックさせる際に自己流で落とし込む分には何の問題もない気がするんだけどな(>_<) エイブの食卓はまさに今フュージョンで、自分のアイデンティティの基盤を構築する前から否定され続けるのは、辛いなんてものじゃないだろうなとエイブの気持ちを考えると胸が苦しくなりました。外であれだけ争っているのだから、せめて家の食卓では互いのルーツや文化を尊重し、互いに争わずに食事を楽しめる幸福をエイブとその家族がこれから構築していけますようにと、強く願いました。2020年公開。
「スケアリーストーリーズ 怖い本」
ゾーイ・コレッティ主演他。主人公にしてあげる、とびきり怖いお話の・・・。ハロウィンの夜、呪われた家で見つけた一冊の本。その“本”を読んだ子どもたちが消えた。毎夜ひとりでに書かれるストーリー。新しいページに名が刻まれるとき、“恐怖の物語”は完成する。ギレルモ・デル・トロ脚本!全米の子どもたちにトラウマを与えた禁書を映画化。
5点!!いまだにホラーの楽しみ方がわからないのですが・・・(汗)、オールドアメリカンな町の雰囲気が「IT」みたいで良くて、程よく怖く程よくエンタメで、ためてためて来る驚く系ホラーがハリウッドっぽくなくて、良く出来た作品なのだと思います。狙われる対象者も基準があるわけじゃないので、誰が襲われるかわからなくて面白いですし。まぁ、ラモン(マイケル・ガーザ)がベトナム戦争に行ってしまったことが一番怖いホラーだと思いましたけど(爆)サラの家はホーンテッドマンションみたいな感じで、なぜ映画の中の子どもは逃げているのにまずい場所まずい場所に行くのだろう?と毎回思います。特にチャック(オースティン・ザユル)。ハリウッドのホラーはすべて狙われてるのがわかっているのに警戒心のなさや舐めた態度が事件を呼んでいる気がします(^^;) 大人なので楽しめましたが、これは子どもは怖いだろうなぁと思います。絶妙にいたら嫌だ感の強いモンスター?ばかり。でも、ギレルモの他の作品の方が怖いです。2020年公開。
「思い、思われ、ふり、ふられ」
浜辺美波、北村匠海主演他。恋、それぞれの結末へ。明るく社交的な朱里(浜辺美波)、内向的でうつむきがちな由奈(福本莉子)、クールな理央(北村匠海)、爽やかで天然な和臣(赤楚衛二)。偶然出会ったタイプの全く違う4人は、同じマンションに住み同じ学校に通う高校1年生。親同士の再婚で「家族」となり、朱里に言えない恋心を抱える理央。そんな理央に憧れるけど自分に自信が持てない由奈。和臣に惹かれていき、自分の感情に戸惑う朱里。ある秘密を目撃してしまい自分の気持ちに蓋をしてしまう和臣。一人の告白をきっかけにそれぞれの感情は複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどすれ違ってしまう。4人の切なすぎる《片想い》の行方は?「ストロボ・エッジ」に恋して「アオハライド」で青春して、今ときめきたいすべての人へ―<咲坂伊緒青春三部作>の最終章がついに映画化。
4点!!原作未読です。三木監督は原作通りに描くくせに原作の良さをすべて消しちゃう天才なので(個人的に)、観るのは気が重かったですが、原作を知らないからか意外と観れました。でもまぁ、漫画の最初から終わりまでやるの?ってくらいダラダラとまとまりがなかったのはありましたが。廣木監督で観てみたかったな。あとは福本莉子の演技を観てみたかったです。思い思われふりふられてるなぁという感想(爆)嫉妬深い人にはこの関係性は無理だろうなぁと思います。しかも同じマンションって・・・ちょっとホラーに近い(爆)最終的にくっつく相手が予想外(また戻ると思ってた)だったのが良かったです。しっとりした雨に清涼感漂う4人も良かった。なかなか全員清涼感ある若手揃えるのって難しいと思うので〇。後半、その綺麗な空気感が失われ失速してしまったので、うん、やっぱり廣木監督で観たかった(爆)2020年公開。
「水曜日が消えた」
中村倫也主演他。性格も個性も異なる“7人の僕”(中村倫也)は、不便ではあるが、平穏に暮らしていた。各曜日の名前で呼び合う彼らの中でも、“火曜日”は一番地味で退屈な存在。家の掃除、荷物の受け取り、通院・・・他の曜日に何かと押し付けられている。そんなある日、“火曜日”が朝目を覚ますと、周囲の様子がいつもと違うことに気付く。見慣れないTV番組、初めて聞く緑道の音楽・・・そう、“水曜日”が消えたのだ。水曜日を謳歌する“火曜日”だったが、その日常は徐々に驚きと恐怖に変わっていく。残された“火曜日”はどうなってしまうのか―。1人の人間の内側で、曜日ごとに入れ替わる7人の人格。最も地味でつまらない“火曜日”の視点で描かれる物語。そんなある日、“水曜日”が消えることから僕たちの終わりが始まった。
3点!!話のあらすじから「セブン・シスターズ」のようなサスペンスフルな展開になるのかと思っていたのですが、本当に一日を楽しみきれずに淡々と過ごすそれぞれの日常が描かれている穏やかな作品でした。ただ、各曜日が消えていくサインは各所に散りばめられていて、そこに気づければ中だるみしないかも。本作は7人が人生をどうしたいか、基本人格は誰なのかを理解していないのが肝で、そんな中で教授(きたろう)が勝手に治療を進めない選択をしたのは違うかなと思いました。実際、不具合は生じたわけだし、基本人格が消えてしまったらしっちゃかめっちゃかになる恐れだってある。でも、本人が7人のままでという選択をしたということは今はその時でないということでもある。疑問だたのは、小学生から7人の生活を送ってきて、よく別の曜日と関わろうとせずにこれたなぁと、ただでさえ孤独を感じているのにそれは不自然かなと感じました。観察対象としては彼の人生がどうなっていくのか気になるけど、物語、映画としてはそんなに気にならないあっさりした作品でした。2020年公開。
「ジオラマボーイ・パノラマガール」
山田杏奈主演他。成長するだけじゃ、オトナになれない。東京に住む平坦で平凡な高校生・渋谷ハルコ(山田杏奈)、16歳。ある夜、橋の上で倒れていた神奈川ケンイチ(鈴木仁)に一目ぼれする。“世紀の恋”だとはしゃぐハルコに対して、真面目でおとなしげなケンイチは、受験目前、衝動的に学校を辞めてしまいそれどころではない。さらに勢いでナンパした危険な香りのする女の子・マユミに夢中になっていく。二人の平行線の恋はどこへ行くのか。時代が、街が、変わっても、「好き」の気持ちは、しぶとく残る。岡崎京子原作×瀬田なつき監督で描く、恋するふたりの小さな助走の物語。
1点!!山田杏奈目当て。岡崎京子作品はあまり好きではなく、瀬田監督作は「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」が好きです。本作の鑑賞前はきっとボヤッとフワッとした何も起こらない青春がオシャレに描かれるんだろうなぁと思っていて、やっぱり何も起こらず、山田杏奈好きでも眠たくなるグダグダ映画でした。漫画のモノローグをそのまま登場人物たちが声に出し続け不自然な独り言のオンパレードに、女子同士のキスシーン入れとけば青春感出るだろう的ないつもの岡崎作品の安直さに2時間耐えるのキツイです。マユミ(森田望智)ともラストのハルコとも、どうしてそうなった!?という過程が見たいのにサラッと描いとけばいいみたいな。それじゃ青春の生々しさは伝わらないです。皆、薄っぺらいキャラクターに見えて、若手俳優陣の良さが全然伝わらない作品でした。2020年公開。
「ベター・ウォッチ・アウト:クリスマスの侵略者」
オリビア・デヨング、リーヴァイ・ミラー主演他。とびきり、いかれた奴がやってくる!クリスマスも近いある日。アシュリー(オリビア・デヨング)は、ベビーシッターのアルバイトでルーク(リーヴァイ・ミラー)の家を訪れる。もうすぐ13歳のルークは年上のお姉さん、アシュリーに興味津々。ルークはアシュリーの興味をひこうとするが、彼氏との別れ話で頭がいっぱいのアシュリーは子供のルークに興味が持てない。そんな中、アシュリーに不審な電話が!家の外には不審者の影!アシュリーは年下のルークを守ろうとするのだが・・・。留守番を任された二人を襲う不審者の正体とは?ホラー版“ホーム・アローン”!?
4点!!久々に後味悪いのを観てしまった。日本のイヤミスの見事さとも違っていて、予想と違う展開にここまで戸惑うのも珍しい作品です。どう見たらいいかわからないまま最後までいくというのかな?リーヴァイ・ミラーの見た目が可愛いので、いつ「ごめんなさい~」ってなるのかな?と思っていたらまさかのw(o△o)wです。ルークは何がしたかったのだろう?親友の顛末には動揺していたからサイコパスとも違うと思うし、アシュリーを自分のものにしたいならあの展開はおかしいし。お母さんに抱きしめてもらいたかったのかな?「ホーム・アローン」を実践したら人は死ぬってことはよくわかりました(^^;) うっかりクリスマスか年越し映画リストに挙げてたので、このタイミングで観ておいて良かった~と思いました(^^;) 2020年公開。
「アーニャは、きっと来る」
ノア・シュナップ主演他。命がけで守ろうとした先に、少年が見たものは・・・1942年、第二次世界大戦さなかのフランス。ピレネー山脈の麓の小さな村に住む羊飼いの少年・ジョー(ノア・シュナップ)は、平和な日常を送っていた。しかしある日、ナチスの迫害から逃れてきたユダヤ人・ベンジャミン(フレデリック・シュミット)と知り合い、ユダヤ人の子供たちを山の向こうのスペインに逃がす救出作戦に協力することになる。そんな中、ついにのどかな村にもナチスがやって来た。村人たちを巻き込んだ作戦の行方は?。ナチス占領下、フランス・ピレネー山脈の麓の小さな村で起きた奇跡の物語が誕生。「戦火の馬」のマイケル・モーバーゴ原作、後世に残したい感動作!
5点!!原作未読ですが、モーバーゴの「戦火の馬」が好きなので観てみました。フランス側、ドイツ側、どちらの痛みも描いていて、残虐なシーンもないので、教材としては良いと思いましたが、盛り上がりに欠けていて100分ちょいなのに結構長く感じました。娘と合流するために逃げてきたユダヤ人、戦争の気配が少ない田舎町、悩めるドイツ人、帰還兵、羊飼いの少年と面白くなる材料が揃っているのに、それらを化学反応させないので、共感の薄い物語になってしまっていたし、ハラハラする緊迫感のあるシーンもなかったです。肝心のユダヤ人側の境遇や事情が語られることもなかったので、逃亡ものを観る時の祈るようにな気持ちも沸きにくくて、勿体ない作品だと感じました。リアルさでいえば、問題を起こさないように大人しく互いに関わらずにというのが本当だったのかも知れませんが・・・。あくまでジョー目線なせいか、肝心なシーンが全部又聞き状態で描かれていないのが、モヤモヤする作品です。2020年公開。
「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」
声:花江夏樹主演他。果てなく続く、無限の夢の中へ―蝶屋敷での作業を終えた炭治郎たちは、次なる任務の地<無限列車>に到着する。そこでは、短期間のうちに40人以上もの人が行方不明になっているという。禰豆子(声:鬼頭明里)を連れた炭治郎(花江夏樹)と善逸、伊之助の一行は、鬼殺隊最強の剣士である<柱>のひとり、炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、闇を往く<無限列車>の中で、鬼と立ち向かうのだった。炭治郎たちが次に向かうは、闇を往く<無限列車>。多くの人が行方不明になっているこの列車を舞台に、新たな任務が始まる。
6点!!原作は1巻でリタイアです。原作つまらなくてやめちゃったし、キメハラに遭うか~くらいの気持ちで観ましたが、意外と面白かったし泣けました。ただ、これを原作もアニメも未見状態で観させられたら設定を理解できる自信ないです(特に海外の方は)。観る前は「煉獄さんって本作から初登場なんでしょ?なんでその人で泣けるの?」と思っていましたが、思い出プレイバック+お母さんという韓国ドラマ並の畳みかけで彼の人となりが短時間でわかるようになっていたので泣けたし、未熟と円熟の対比構成が良かったと思います。あとはアニメも観たことなかったので、炭治郎と黄色い人の声はもう少し若くても良いように感じました(でもずっと聞いてるには低い方がいいのかな)。ただ、一般人の目線からすると行方不明者が多発している無限列車なんて不吉な名前の列車に乗車する気持ちがわからないし、鬼のNo.3が登場した理由もわからなし、画力も女性主要キャラとその他に差があり過ぎるし、これが日本の歴代アニメを抑えトップに躍り出たのも海外でも受け入れられたのも、出来の良さというよりはタイミングなのかなと感じました。もちろん、初見で楽しめたので一定レベル以上には達していますが。2020年公開。
「魔女がいっぱい」
アン・ハサウェイ主演他。魔女は潜んでいる―あなたのすぐそばに・・・。60年代―となる豪華ホテルに現れたおしゃれな美女の集団。中心にいる、最も美しく世界一恐ろしい大魔女<グランド・ウィッチ>(アン・ハサウェイ)は、そこであるとてつもない秘密の計画があることを明かす。偶然ある少年が魔女集会に紛れ、その企みを知ってしまう。大魔女が少年をネズミに変えたことで、物語は世界中の魔女を巻き込んで思いもよらぬ方向へ―。実は世界には、人間になりすました魔女がいっぱい潜んでいる?「チャーリとチョコレート工場」の原作者×ロバート・ゼメキス×アン・ハサウェイがクリスマスに贈る、驚きと希望のファンタジー。
4点!!子ども泣いちゃうやつじゃん (||゚Д゚) 「チャリチョコ~」とは別ベクトルで怖い。ストレートに魔女のビジュアルがグロい。そして全然ハッピーエンドじゃない(汗)おばあちゃんも孫も友人もこれでハッピーエンドだと思ってウキウキなのが謎。生きて一緒に生きられれば万事OKってことなのだろうけど。最後の方までオクタヴィア・スペンサーも魔女なのかと思って観てました。ロバート・ゼメキスはファミリー向けの良作を多く撮っているけど、まだ大人向けの堅くて長い映画を作る人というイメージが抜けなくて、ゼメキスとギレルモとアルフォンソ・キュアロン(「ハリポタ」シリーズ)が一緒に映画を作るとこうなるのかと。濃い作風の監督が3人集まると濃いけど、中途半端に中だるみするんだなと知りました(爆)あれだけの魔女が一堂に会しているのにコンパクトな話になってしまっていて、ビーチに子どももたくさんいることだし、もう少し大風呂敷広げた方がワクワクするのになと残念に思いました。クリスマス映画という宣伝文句でしたが、クリスマス感はゼロです。2020年公開。
「グッドバイ ~嘘からはじまる人生喜劇~」
大泉洋主演他。ワケあって夫婦、演じます。戦後の混乱から復興へ向かう昭和のニッポン。闇稼業で小金を稼いでいた文芸誌編集長の田島周二(大泉洋)は、優柔不断なくせに、なぜか女にはめっぽうモテる。気づけば何人もの愛人を抱え、ほとほと困っていた。そろそろまっとうに生きようと、愛人たちと別れる決心をしたものの、別れを切り出すのは至難の業。一計を案じた田島は、金にがめつく大食いの担ぎ屋・キヌ子(小池栄子)に「嘘の妻を演じてくれ」と頼み込む。そう、キヌ子は泥だらけの顔を洗えば誰もが振り返る女だったのだ!男は女と別れるため、女は金のため―。こうして、水と油のような二人による嘘夫婦の企みがはじまった。昭和の文豪・太宰治の未完の遺作を鬼才ケラリーノ・サンドロヴィッチが戯曲として完成させた「グッドバイ」を映画化。
1点!!太宰作品で喜劇は珍しいなと思っていたら、また「一緒に死んでくれ」だの「女が勝手に寄ってくる」だの情けない太宰自身を投影した主人公だった(爆)大泉洋だから太宰投影はないだろうと高を括っていたら甘かったです(爆)でも、大泉さんだとどこら辺がモテ男なのか全然わからない!(爆)ダメンズ好きって感じの女性たちでもないし。コメディというわりにテンポがすごく悪くて、構成も舞台みたいで動きが少ないし、結構見続けるのか苦痛でした。小池栄子さんが特徴的なキヌ子の喋り口調をしていて、これ最後まで維持するの?と思っていたら最後まで維持しててそこだけが面白かったです。ラストの川沿いでの告白シーン?の二人のテンションと勢いが往年の日本映画っぽくてレトロなのが良かったけど、全体的に流れに乗せるのに失敗した観ている方も途中退席者が出ちゃうような作品でした。2020年公開。
「異端の鳥」
ペトル・コラール主演他。僕は、生きて、家に帰る。発禁の書、半世紀を経て奇跡の映画化。東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である一人暮らしの老婆が病死した上に火事で家が消失したことで、身寄りをなくし一人で旅に出ることになってしまう。行く先々で彼を異物とみなす周囲の人間たちの酷い仕打ちに遭いながらも、彼はなんとか生き延びようと必死でもがき続ける。人はなぜ異質な存在を排除しようとするのか?ホロコーストの源流を辿り戦争と人間の本性に迫る、美しくも残酷な衝撃作。第76回ヴェネチア国際映画祭ユニセフ賞受賞作。
5点!!かなりの鬱映画で映画祭で退出者が続出したということで手元にありながらも中々観ることが出来ずにいました。落ち込んだ時は悲しい映画を観たいタイプだけど、これはその度を遥かに超えているというか、これまでの人生の後悔のすべてを思い出してしまいそうな映画でした(爆)ホロコーストものにあるハラハラドキドキとか感動または悲しくて号泣のようなものは全くなく、この世に存在するすべての悪行を集め、それを淡々と見せていく3時間でした。3時間・・・長かった。割と最初の方で、この子はこれまではどんな生活を送ってきた子なのかな?と考えていました。こういう映画を観ると、人間ってやはり存在しない方が良いんじゃないかな?とか考えてしまいますね。こんなにバラエティ豊かに同種を傷つけ、楽しみ、逃げる動物はいないのではないでしょうか?また殺さず生かしたまま生殺しで人の悪意を浴び続けるというのは、ラストまで心が何度も死んでいるし、弱い人間ほど自分で考えるのを放棄し、人に同調するものだから、真っ当な神経の持ち主がこの世で生きていくのは、とてもハードルが高いことだと感じました。でも、子どもが主人公のホロコースト映画で退出者が続出するR15指定でユニセフ賞受賞って対象者誰?と思わずツッコんでしまいました(^^;) 2020年公開。
「日本沈没2020」
失われゆく日常、そして日本。それでも人は前を向く。2020年、いま現在の日本を襲った突然の大地震。ごく普通の家族、武藤家の歩と剛の姉弟は大混乱の中、一家4人で東京からの脱出を始めるが、刻々と沈みゆく日本列島は、容赦なく彼らを追い詰めていく。極限状態で突きつけられる、生と死、出会いと別れの選択。途方もない現実と向き合う中、歩と剛は、未来を信じ、懸命に生き抜く強さを身につけていく・・・。監督:湯浅政明×原作:小松左京―いま描くべき日本が、ここにある。
9点!!湯浅作品がまたアヌシー国際映画祭に出てる、審査員賞獲ってる!ということで鑑賞。劇場版ではなくNetFlixのオリジナル版鑑賞です。原作は概要しか知らないけど、恐らく教授しか登場人物同じじゃないし、もう原作ではなく原案って言わなきゃダメなんじゃ・・・と心配になるくらいオリジナル満載でした。サクサクと見せてく割に、ちゃんとそれぞれの感情を自分に置き換えて観れる構成になっていて、次々と登場人物たちが亡くなっていく中、どの死も突然で軽くて、その軽さに衝撃とショックを受ける、死でなくても人ひとりのちょっとした行動が大人の心にはエグく重くズドーンと刺さるのが、湯浅作品の良さだと思ったし、毎話泣けました。もうこれは子を持つ親はくるよ、台詞で語りすぎないで観客にしっかり伝えるところは流石です。作画は崩壊してなくはないけど、いつもよりは安定してます(^^;) KITEのアイテムの色々は水陸両用戦車とか中々無理のある設定も多かったけど、難民問題、日本の排他的な思想、SNS社会、色々な要素が織り込まれているエンタメで見ごたえたっぷり、楽しんでいるうちに終わっちゃうで良いのではないでしょうか。私みたいに心にくる人にはちゃんと届くと思いますし。大人が観るアニメを探している方にオススメです!2020年公開。
「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」
フランソワ・シビル主演他。もう一つの世界で、“愛”を知る。高校時代に一目惚れをして結婚した、ラファエル(フランソワ・シビル)とオリヴィア(ジョセフィーヌ・ジャビ)。結婚10年目を迎え、ラファエルはベストセラーSF作家として多忙な日々を送っている。一方、小さなピアノ教室を開くオリヴィアは、すれ違いの夫婦生活に孤独を感じていた。そんなある日、我慢の限界に達したオリヴィアがラファエルに想いをぶつけると大喧嘩に。翌朝、見覚えのない部屋で目覚めたラファエル。そこは、自分がしがない中学教師で、オリヴィアは人気ピアニストとして活躍する、立場が逆転した<もう一つの世界>だった。そして、その世界のオリヴィアはラファエルを知らなかった・・・。“愛”を知りたいすべての人たちへ贈る2020年最高のファンタジック・ラブストーリー。
6点!!フレッシュな愛に生きるフランス人ならではの自己中なラブストーリー(爆)そこは帰るじゃないの!?とまさかの展開でした。ラファエル最低な男のままじゃないか。自分が傷つけたオリヴィアのことは気にならないのだろうか?ラファエルの脳裏に浮かんでるのは元いた世界のオリヴィアとの思い出なのに・・・。フランソワ・シビル、もう少し痩せたらパーフェクトなイケメンズで美男美女が目に麗しかったし、元いた世界のラファエルとオリヴィアの会話が刺さる刺さる。倦怠期のカップルに気まずいのを我慢して観ていただきたい(爆)「数年でここまで嫌な男になるとは」とかわかりみが深すぎた(爆)大人になると何かを得ると何かを失ってしまうものですよね(涙)テンポも音楽も絵図も良かったけど、ファンタジックというより世知辛さいっぱいの作品でした。2020年公開。
「悪人伝」
マ・ドンソク主演他。凶暴なヤクザの組長チャン・ドンス(マ・ドンソク)が、ある夜何者かにめった刺しにされる。奇跡的に一命をとりとめたドンスは対立する組織の仕業を疑い、手下を使って犯人探しに動き出す。一方、捜査にあたるのは、暴力的な手段も辞さない荒くれ者として知られるチョン刑事(キム・ムヨル)。彼は事件がまだ世間の誰も気づいていない連続無差別殺人鬼(キム・ソンギュ)によるものであると確信し、手がかりを求めてドンスにつきまとう。互いに敵意を剥き出しにしながら自らの手で犯人を捕らえようとするドンスとチョン刑事。しかし狡猾な殺人鬼を出し抜くために互いの情報が必要であると悟った2人は、いつしか共闘し犯人を追い詰めていく。極悪組長×暴力刑事×無差別殺人鬼。世界が熱狂した凶悪ヴァイオレンス・アクション。
3点!!マブリー目当てで。うーん、アクションの驚きが足りない。最初から最後までずっと殴り合っててくれて車に轢かれ続けてくれてもOK(爆)全員悪人で騙し合う感じかと思いきや、皆ちょっとずつ良い人で、女子高生に傘をあげるマブリーがトトロみたいで可愛い(笑)話は単純明快で悪人なのにマブリー頑張れと応援上映したくなる感じが良かったです。でも、韓国の警察とヤクザは銃も警棒?も使わないの?素手なの?特に警察。連続殺人鬼追ってるのに丸腰とか意味不明過ぎた。あとは警察が釈放した後に殺せばいいだけなのにドンスが出廷する意味もわからない。被害者家族のためだ~とか刑事に説得されるとかそういうシーンも特になかったし・・・(--) しかし、カンヌにいく韓国映画はバイオレンス描写多いのばかりだなぁ。韓国映画自体はそういうものばかりではないので、カンヌが求める韓国映画が刺激強めのものということなのでしょうか?2020年公開。
「僕の好きな女の子」
渡辺大知、奈緒主演他。今突然、「好きだ」と伝えたら、キミは何て言うだろう。会うと些細なことで笑い合ってる。バカなことをしてツッコんだりするけど、本当はエルボーとかキックとかじゃなくて君に触れてみたい。友人たちはキミの魅力も、この煮え切らない関係も全く理解されないけど、それでも一歩踏み出してこの関係が壊れてしまうなら、今のままの君との関係で十分幸せだ。きっと僕が好きな人は永遠に僕のことを好きにならないから―。作家・又吉直樹のエッセイを映画化。恋愛を経験した人なら誰でも共感できる切なさや痛さが散りばめられた等身大の恋物語。
3点!!渡辺大知、奈緒も好きなので俳優さん目当てで。「男女の友情は成立するか」を最後まで描いた感じ。友情って、誰かに遠慮したり、止めろと言われて止めたりするものではないと思うんですよね。ましては、恋人が出来たから関係が終わりではそれは友情ではないと思っていて。でもミホ(奈緒)の行動は、自分のこと好きだろ、もしくは可愛いと思ってるでしょという甘えがないと出来ない行動なわけで。これはあざといというのかな?たいていの男女はやってると思うけど・・・うーん。冒頭、かくれんぼからの待ち合わせ攻撃とかないわーと思ったけど、大学生くらいの頃はしてたわ(爆)とはたと思いました(ーー;) 夜の工事現場に入るのとかも今だったら友人でも「人様に迷惑かける非常識行動やめなよ」って普通に言っちゃうけど、若い頃だったら許容してたのかもと年齢に気づいてしまってショック(笑)奈緒は野島伸司作品に出てた時くらい可愛くて良かったけど、ミホには近くにいて欲しくないなぁと思ってしまいました。加藤は好感持てる青年で近くにいたら頑張れって思うと思う。内容もう少し深掘りして欲しかったけど、デートムービーみたいな感じでサラッと観るのには良い作品です。2020年公開。
「コンフィデンスマンJP プリンセス編」
長澤まさみ主演他。本物も偽物もない。信じればそれが真実。世界有数の大富豪フウ家の当主レイモンド・フウ(北大路欣也)が亡くなった。遺産を巡り火花を散らしていたブリジット(ビビアン・スー)、クリストファー(古川雄大)、アンドリュー(白濱亜嵐)の3姉弟の前で執事トニー(柴田恭兵)が発表した相続人は、誰もその存在を知らない隠し子“ミシェル・フウ”だった。ミシェル捜しが続く中、10兆円とも言われる遺産を狙い、我こそはミシェルと世界中から詐欺師たちが“伝説の島”ランカウイ島に大集合!そして、ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)の3人も、フウ家に入り込み、華麗に超絶大胆にコンゲームを仕掛け始める・・・はずが、百戦錬磨のコンフィデンスマン・ダー子たちに訪れる最大の危機!誰がフウ家の当主の座を射止めるのか!?世界を巻き込む史上最大の騙し合いが始まる!!
3点!!本シリーズで面白いと思ったことはなかったですが、本作はまぁ観れるくらいの面白さにはステップアップしており、一瞬、脚本家変えた?と思いましたが、古沢さんのままでした(爆) 詐欺師の話だからか、全員日本人の顔と発音なのに外人の名前がついていることのお遊戯感が半端なかったです(^^;)関水渚ちゃんは予告編では「広瀬すず出てる?」と思ったくらい似てて、本作でも似てるからこそ、天才肌の広瀬すずがいる限り、ブレイクは難しいのかも知れないと思ってしまいました。あとはやはり、三浦春馬と竹内結子の役柄もあって、二人が出てくると遺作感が出ちゃう切なさで純粋に楽しめないところがありました。GACKTまでJPの呪い?に巻き込まれちゃった感じがありましたし(>_<)長澤まさみは本シリーズは一貫してもう少し痩せた方が綺麗なのに勿体ないです。このまま続編に突き進んで何が起こるのか恐々ですが、ながら見守っていきたいです。2020年公開。
「ファンシー」
永瀬正敏、窪田正孝主演他。とある地方の寂れた温泉街。昭和の面影を色濃く残すこの町で彫師家業を営む鷹巣明(永瀬正敏)は、昼間は郵便配達員として働き、町外れの白い家に住む若き詩人にファンレターを届けている。一日中サングラスをかけている謎めいた鷹巣と、ペンギン(窪田正孝)と呼ばれる浮世離れしたポエム作家はなぜかウマが合い、毎日たわいない雑談を交わしていた。そんなある日、ペンギンのもとに彼の熱狂的なファンである月夜の星(小西桜子)という女子が「妻になりたい」と押しかけてくる。折しも地元の町では、ヤクザの抗争など気生臭い出来事が勃発。やがてニヒルで粗暴な鷹巣、ロマンティストで性的不能のペンギン、少女のようで夢見がちな月夜の星が陥った三角関係は、激しく危うげにねじれていくのだった・・・。元彫師の郵便屋×ロマンティストの詩人×詩人のファン。性愛と暴力の世界に溺れる男女3人のポエジーな三角関係。はかない一瞬の映像詩のようでもあり、不思議と生々しく心にまとわりついてくる独創的なエンターテインメントがここに誕生。
7点!!雰囲気とエロで押し切っている作品ではありますが、好みにハマって、この3人の危うさをずっと観ていたいなと思いながら終わってしまいました。窪田正孝のペンギンぶりと永瀬さんの色気と小西桜子のエロさ。小西桜子は「初恋」の時もそうでしたが、息遣いと不安定な演技が上手いです。胸は小さいけど痩せすぎてないし骨格もしっかりしているからフワフワ触感な色気があるし、声が抜群に可愛くて、同性だけどこれは落ちるわと思いました(^^;)永瀬さんはこうストレートな作品だともう鼻血出る(爆)原作未読でちょこちょこチョイスしている感じは否めなかったですが、脇役キャラも面白人間揃いで、コメディーな展開で彼らが堕ちていくのを観ているのは楽しいです。でもペンギンには最後まで傷ついて欲しくないと思いながら観ていました。ハマる人はハマると思うので、ぜひ。2020年公開。
「スキャンダル」
ニコール・キッドマン主演他。ニュースをお伝えします。2016年、アメリカニュース放送局で視聴率No.1を誇る「FOXニュース」に激震が走った!クビを言い渡されたベテランキャスターのグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)が、TV業界の帝王と崇められるCEOのロジャー・エイルズを告発したのだ。騒然とする局内。看板番組を背負う売れっ子キャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は、自身の成功までの過程を振り返り心中穏やかではなくなっていた。一方、メインキャスターの座を狙う貪欲な若手のケイラ(マーゴット・ロビー)は、ロジャーに直談判するための機会を得て―。密やかな爆弾は彼女の「告白」で着火した―世界騒然!全米最大TV局の<あの騒動>の真実。ハリウッド至高の3大女優が放つ、衝撃の実話。
8点!!この事件の詳細を知らなくてやっと鑑賞。女性はひとたびこういう被害に遭うと自分の何がいけなかったのか?と誰に聞くこともできず自問自答しがちですが、もう交通事故といっていいくらい女性の責任は0%、100%相手が悪い!!セカンドレイプが起きるのも100%相手が悪いです。もう最悪なんだよ!!って全面的に叫んで良いし、最悪だよね!!って世論は被害者の味方につくべきだと思います。自己主張の国アメリカの、しかも支配者層でも女性の立場はこんなにも弱いのかと驚きました。一度嘘をつくとつきつづけるしかなく、やがて自身の精神が壊れてしまい、事件の本質が見えなくなってしまう。加害者はそれすら込みでやっているのだから、もう本当に悪質。こういう事件は相手は100%悪くても本作の女性たちが辞めざる得なくなったように痛み分けになってしまい、ハッピーエンドにならない現実もきちんと描いていて下剋上ものとしては良かったと思います。でも、現実では100%ハッピーエンドになるべきで、勇気を出して声を挙げた人々の立場や未来は明るくあるべきだと切に願います。2020年公開。
「糸」
菅田将暉、小松菜奈主演他。めぐり逢う、ふたつの物語。平成元年生まれの高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)。北海道で育った二人は13歳の時に出会い、初めての恋をする。そんなある日、葵が突然姿を消した。養父からの虐待に耐えかねて、町から逃げ出したのだった。真相を知った漣は、必死の思いで葵を探し出し、駆け落ちを決行する。しかし幼い二人の逃避行は行く当てもなく、すぐに警察に保護されてしまい、葵は母親に連れられ、北海道を去ってしまう。それから8年後。地元のチーズ工房で働いていた漣は、友人の結婚式に訪れた東京で、葵と再会を果たす。北海道で生きていくことを決意した漣と、世界中を飛び回って自分を試したい葵。すでに二人は、それぞれ別の人生を歩み始めていたのだった。そして10年後。平成最後の年となる2019年。運命は、もう一度だけ、二人をめぐり逢わせようとしていた・・・。人は奇跡のような確率で誰かとめぐり逢っている―これは、平成という時代の流れを背景に描いた、壮大な愛の物語。
4点!!すれ違う系映画は「ハナミズキ」「僕等がいた」などありますが、どれも他人のアルバムを初見で観ましたみたいな極薄な内容で苦手だったのですが、本作は瀬々監督だったので、大事故にはならないかなと思って観ました。上映時間は長いけど、しっかりポイントポイントを押さえているので、それぞれのエピソードが生き生きしていて、ただの繋ぎ扱いになっていないし、二人以外の登場人物も覚悟を持って生きているんだなと感じられる描き方がされていて、良かったと思います。ありがちな純愛も何だかすごくピュアに韓流の畳みかけ方式で描かれていて、不覚にも「めっちゃ切ないじゃん!」って思っちゃいましたし(^^;) 北海道という土地柄もあるのかも知れませんが、花火大会とか綺麗だなぁと見とれてしまいました。曲もそもそも中島みゆきの曲をあまり知らないけれど、「糸」と映像が相乗効果でどちらも心に響きました。2020年公開。
「はちどり」
パク・ジア主演他。この世界が、気になった。1994年、ソウル。家族と集合住宅で暮らす14歳のウニ(パク・ジア)は、学校に馴染めず、別の学校に通う親友と遊んだり、男子学生や後輩女子とデートをしたりして過ごしていた。両親は小さな店を必死に切り盛りし、子供たちの心の動きと向き合う余裕がない。ウニは、自分に無関心な大人に囲まれ、孤独な想いを抱えていた。ある日、通っていた漢文塾に女性教師のヨンジ(キム・セビョク)がやってくる。ウニは、自分の話に耳を傾けてくれるヨンジに次第に心を開いていく。ヨンジは、ウニにとって初めて自分の人生を気にかけてくれる大人だった。ある朝、ソンス大橋崩落の知らせが入る。それは、いつも姉が乗るバスを通過する時間帯だった。ほどなくして、ウニのもとにヨンジから一通の手紙と小包が届く・・・。世界の映画祭で50冠、韓国で慰霊に大ヒットを遂げた、キム・ボラ監督長編デビュー作。
5点!!「今、私たちの学校は・・・」からパク・ジア目当てで鑑賞。空気の映画。この頃の女性目線での韓国の閉そく感だったり、瑞々しいけれど泡のように儚い青春の一瞬だったりが流れるように描かれています。ウニの日常は男の子とキスしたり万引きしたり、それこそ「こんなことがあった!」と大騒ぎするようなことばかりだけど、本作にそんなウニの気持ちに向き合う余裕のある人物はヨンジ先生が現れるまで誰もいなくて、日々悩んだり色々起こったことを誰にも言えないって家族がいても一緒に帰る子がいても、物凄い孤独感に苛まれそうです。ウニは成長期の子どもだから何とか順応しようと振舞っているけれど、色々人生を知ってしまった大人がウニのような立場に追い込まれたら、それこそ絶望ものかも知れない。「心の中までわかる人は何人いるか?」という質問があったけれど、家族だって何考えてるかわからないし、腹割って話しても理解し合えなかったりする。それでも家族だから大切なのは変わらないけれど、分かり合えないのは、子どもにとっては自分が安心できるホームがないのと同じで、新たなホームを自分で開拓できる年齢になるまでキツイだろうなと思いながら観ていました。しかも、ウニがホーム開拓しかけても、それらはことごとくウニの手元から滑り落ちていってしまうし・・・。それが人生、人生って険しいな(>_<) 14歳にして人生のすべてが凝縮したようなお話でした。2020年公開。
「スタートアップ!」
マ・ドンソク主演他。人生に迷える不良少年が出会ったのは、正体不明のおかっぱ頭のシェフだった―学校も嫌いで家も嫌い、ましては勉強なんか大っ嫌いだと反抗し、母親(ヨム・ジョンア)に1日1発強烈ビンタを食らう少年テギル(パク・ジョンミン)。親友サンピル(チョン・ヘイン)が早くお金を稼ぎたい一心で社会に飛び込んだ時、あてもなく家を飛び出したテギルは偶然入ったチャンプン飯店でただならぬオーラを放つ厨房長コソク(マ・ドンソク)と出会う。激しすぎる挨拶を交わし、その直後から人生最大の敵となったコソクとテギル。怖いもの知らずだったテギルはチャンプン飯店で奇想天外な人間たちと出会い、世の中を学んでいくのだが・・・。変わりたいと願う迷える若者×変わることをためらう大人。すべての世代へエールを贈る、笑いと感動の痛快コメディ!
3点!!マとチョン・ヘイン目当て。パク・ジョンミンとチョン・ヘインはもう少年って年齢じゃないだろうに、大人に守られる少年役は無理がある(汗)踊るマ、平手打ちのマ、目開けて寝るマ、全部最高です(笑)でも、そこ以外に見どころがあるかと言われたらない。ドラマでやっているような日常系のドラマが映画で展開されているだけ。韓国ってドラマはすごいお金かけてそうなのに映画は低予算な感じで作っているものも多くて、出来の良さも明らかにドラマの方が上で。謎です。おじさんキャストがもう殆ど顔見知り状態だった(爆)2020年公開。
「ドンテンタウン」
佐藤玲、笠松将主演他。これは、晴れが似合わない、あなたのわたしの物語。うまくいかない曲作りから逃れるかのように団地へと引っ越したシンガーソングライターのソラ(佐藤玲)。ある夜、新居の押し入れから、前の住人が残した大量のカセットテープが見つかる。テープに吹き込まれていたのは、贋作画家として日銭を稼ぐ青年トキオ(笠松将)の「心の声」だった。見ず知らずのトキオの思いに触れるにつれ、「記憶」と「現実」が交錯していくソラの日常。カセットテープとピアノとアロハシャツと2人分の朝ごはん―交わるはずのなかったソラとトキオのひと夏の物語が始まる。カセットテープが繋ぐ、交わるはずのない2人―。ひと夏のポップで奇妙なニュータウンムービー。「MOOSIC LAB2019」で長編部門準グランプリを受賞作品。
3点!!色気のある笠松将にノックアウトされたい人~!(ハイ!)ああ、笠松さんの格好良さにそろそろ皆が気づいてしまう。。これ、ふわふわもやもやしたお話で、誰か解説してってなりました。私的にはソラとトキオは恋人同士でトキオが死んじゃって曲が書けなくなったけどテープで彼の心に触れ乗り越えるという現実ラインの話だと認識したのですが、大半の方々はソラの妄想ラブだと捉えているようで・・・え、どっちなの?(汗)しかも最後の二人の笠松くんがますます意味がわからなくてもやっと過ぎる。画廊に残される方がトキオとして出てくスタイリッシュ笠松さんは誰なの?(汗)え、私の理解力がなさ過ぎたの?(汗)でも、不思議とつまらなくはなくて長いCMみたいな感じで二人の色が綺麗に出ている作品だなと思いました。誰か解説・・・。2020年公開。
「バルーン 奇蹟の脱出飛行」
空に壁はつくれない。1979年、東ドイツ・テューリンゲン州。電気技師のペーター(フリードリヒ・ミッケ)とその家族は、手作りの熱気球で西ドイツを目指すが、国境までわずか数百メートルの地点に不時着してしまう。東ドイツでの抑圧された日常を逃れ、自由な未来を夢見ていたペーターは、準備に2年を費やした計画の失敗に落胆の色を隠せない。しかし妻とふたりの息子に背中を押されたペーターは、親友ギュンター(デビッド・クロス)の家族も巻き込み、新たな気球による脱出作戦への挑戦を決意する。ギュンターが兵役を控えているため、作戦のリミットはわずか6週間。ふたりの家族は一丸となって不眠不休の気球作りに没頭するが、国家の威信を懸けて捜査する秘密警察の包囲網が間近に迫っていた―。なぜ、ごく平凡な家族は、世界が驚愕する脱出劇を成功できたのか?1979年、手作りの熱気球で東ドイツ脱出を目指した家族の勇気を描く実話サスペンス。
7点!!公開時行けなくてずっと観たかったけれど、なぜかツタヤになくてサブスクで発見したので鑑賞。不時着って意外と助かるものなのかな?猛スピードでは降下しないから?作中で描かれる東ドイツのペーター一家の生活はそんなに苦しそうではなくて、他の冷戦映画みたいに暗くてじめっとした色合いでもなくて、でも弾圧とかスーパーに物がないとか日々色んなことが長期的には暮らせないと判断したんでしょうね。国の威信の為に壁を越えようとしたものを殺すって感覚は、きっと一生理解できないと思う。命より重たいものなどないから。2時間超えているけれど、追手が常に迫っているような状況なので、緊迫感とスリルがあり、最後までハラハラドキドキでした。子どもを連れて命がけなんて状況に世界中がならないようにしなければならないのに、半世紀近く経った今でも世界は酷い有様だ。東に残してきたギュンターの両親は無事だったのだろうか?裏切者扱いはされなかったのかな?なぜ国や思想を前にすると命は紙のように軽くなってしまうのだろう?隣人でも殺せてしまうのだろう?と集団心理と人間という生き物の怖さが伝わってくる作品でした。2020年公開。
「アドリフト 41日間の漂流」
シャイリーン・ウッドリー主演他。1983年、婚約したばかりのタミー(シャイリーン・ウッドリー)とリチャード(サム・クラフリン)は、世界を旅する資金稼ぎのため、ヨットに乗り込みタヒチからサンディエゴへと旅に出た。ところが出発から2週間後、記録的なハリケーンに遭遇し巨大津波に飲み込まれてしまう。船室にいたタミーはしばらくして目を覚ますが、ヨットは操縦不能で無線も繋がらない。さらに、大怪我を負い波に漂うリチャードを発見する。リチャードを助け出したタミーは、極限状態の中、セーリングの知識を総動員し陸を目指すが・・・。「エベレスト 3D」の監督が描く、実話を基にした壮絶な漂流記。
6点!!上映時間が短かったのでサラッと鑑賞。サム・クラフリン、また「あと1センチの恋」みたいなロマコメやってくれないかな~最近髭モジャモジャなことが多くて本作はモジャモジャの極み。一応、漂流とは言いつつ、目的地方向へは進んでいたのかな?もう諦めていたのかがわかりずらかったです。しかも、このオチか~頑張ってきたのにガーンってなった。シャイリーン・ウッドリーは可愛いと思ったことがないので、フローレンス・ピューあたりで観たかったところです。一人で航海したのが初めてでこれはすごい奇跡のお話。2020年公開。
「無垢なる証人」
チョン・ウソン、キム・ヒャンギ主演他。心が近づいたとき、真実が見えてくる―。長い間、信念を貫いてきたものの、現実と妥協して俗物になることを決めた民主弁護士会出身の弁護士スノ(チョン・ウソン)。自身の出世がかかった殺人事件の弁護士に指名されると容疑者の無罪を立証するため、唯一の目撃者である自閉症の少女ジウ(キム・ヒャンギ)を証人として立たせようとする。自身だけの世界に入り込み、意思疎通が難しいジウ。スノは事件当日に目撃したことを聞くためにジウのもとを訪れるが、まともにあいさつもできない。だが、あの日のことを聞き出すためにジウと心を通わせていく努力をするスノ。少しずつジウへの理解を示していくが、2人は法廷で弁護士と証人として向き合うことになり・・・。韓国動員230万に突破!!無垢な瞳がとらえた真実の行方を描く、温かな余韻が広がる感動の法廷サスペンス。
8点!!良い話!!普通に良い話なだけなのに演技でじっくり見せて、ちゃんと感情も乗せて最後には泣かせてくれるのは韓国映画の本当に凄いところだと思います。日本映画も見習えないものだろうか。容疑者役がヨム・ヘランだったので、最初にもう「え、絶対悪い人じゃん」となってしまったのは残念(^^;) チョン・ウソンもキム・ヒャンギも良くて、温かくてほっこり出来る作品です。2020年公開。
「EMMA エマ」
アニヤ・テイラー=ジョイ主演他。容姿端麗で利発、裕福な暮らしを送るエマ・ウッドハウス(アニヤ・テイラー=ジョイ)は、女王様気取りで周囲の人びとの恋の仲介を楽しんでいた。しかし、いくつかの失敗を経て自らを見つめ直した彼女はやがて、自分がそれほど聡明でも善人でもないという現実に気づき・・・。ジェーン・オースティンの名作「エマ」を映画化。
4点!!原作未読です。恋愛のあれやこれやをしているうちに、友情や恋を通して成長していく青春ラブストーリー。ジェーン・オースティン作ですが、コメディに振り切っているのでかなり見やすくなっていると思います。それでも、元々の登場人物たちの関係性の説明がなかったり、気持ちが変化していく様が曖昧だったりするので「えーと、誰だっけ?」と思いながら観てました(^^;) ジョージがどのタイミングでエマを好きになったのかまじで意味不明。というか、エマのどこを好きになったの?(爆)狭い村であんなにくっつけようと動き回っていたら、厄介な人物にならないのだろうか?エマはアニヤが演じているので、愚かなところも含めて、若かりし頃の黒歴史というか、若いっていいなと思えるキュートな仕上がりになっていて、アニヤならではだと思いました。大した話でもないので、1時間半くらいでもっとシニカルな感じにまとめて欲しかったです。2020年日本未公開。
「ヒトラーに盗られたうさぎ」
さよなら我が家。明日がきっと見つかる。1933年2月。ベルリンに住む9歳のアンナは、兄のマックスや友人とともにカーニバルを楽しんでいた。しかし、同じ夜、クラシックのコンサートに行く準備をしていたはずの両親はなぜか出掛けないまま、深刻な顔で話し込んでいた。そして翌朝アンナは「家族でスイスに逃げる」と母から突然告げられる。実は、新聞やラジオでヒトラーへの痛烈な批判を展開していた辛口演劇批評家だった父はユダヤ人であったため“次の選挙でヒトラーが勝ったらヒトラー反対者への粛清が始まる”という忠告を受けており、選挙が近づきヒトラーの勝利が現実味を帯びてくるにつれ、身の危険を感じた父と母はヒトラーの弾圧から逃れるために密かに逃避行の準備を始めていたのだ。住み慣れた家を離れる際「持ち物は一つだけ」と母に告げられたアンナは、大好きな“ピンクのうさぎのぬいぐるみ”、そしてお手伝いさんのハインピー、食卓、書斎、ピアノ、台所…一つ一つに別れを告げる。そしてそれは、それまで何不自由なく暮らしていた彼女の平和な家族の風景が一変、この日を境に過酷な逃亡生活へと足を踏み入れていく始まりでもあった。第二次大戦前、世界に翻弄されながらもたくましく生きる少女の物語。アカデミー外国語映画賞「名もなきアフリカの地で」カロリーヌ・リンク監督作品。
8点!!子どもはたくましいといっても命が脅かされる状況を理解していて、その中で新しい人間関係を築く難しさは相当だろうなと兄妹を見ていて感じました。子どもは大人をよく見ているし、大人の不安感もそのままちゃんと感じてる。そんな子どもにとってぬいぐるみというのは唯一の親友で安定剤で欠かせないものなわけで、単に「おもちゃ」じゃないんですよね。だから、「大事なものをひとつだけ」と言われて真っ先にぬいぐるみを選ぶ。その思いの深さは大人は忘れてはならないと思います。ユダヤ人は頭が良いと言えど、アンナ一家のように思いきった決断をできた人たちは少ないわけで、気づいた時にはもう渦中、手遅れなのだと、今の世の中をみて、よりヒシヒシと感じました。私は大切な人たちを守れる人、気づける人でいたい。実力が足りなくても、逃げられるところまで逃げ切れる人でありたいです。2020年公開。
「君の誕生日」
ソル・ギョング、チョン・ドヨン主演他。ずっと忘れない。2014年4月16日、セウォル号沈没事故―残された私たちが迎える、君がいない君の“誕生日”。2014年4月16日・・・この世を先に去った息子スホ(ユン・チャニョン)へのいとしさを抱きながら生きるジョンイルとスンナム(チョン・ドヨン)。やがて1年にたった1日だけのスホの誕生日が近づいてくる。母スンナムは主役不在の誕生日は息子がいない現実を認めるようで怖くてたまらない。一方、ある事情により息子が亡くなった日に父親としての役目を果たせなかった父ジョンイル(ソグ・ギョング)は、家族に対して罪悪感を抱えたまま、あの日から2年後に韓国に戻ってくる。彼にとってすべてが見慣れない現実の中、家族と一緒にスホの誕生日を迎えるが・・・。忘れられない傷を持つすべての心に寄り添う、慰めと共感、記憶を紡ぐ感動作。
7点!!チョン・ドヨンが苦手なので避けていたのですが、評価良いのと涙活したいタイミングだったので鑑賞。まぁ、期待通り泣くよね。生き残った子どもたちや隣人の苦しみなども描けていてリアルで良かったです。なかなか、主人公の泣き声で隣人が苦しみ続けて大学落ち続けてるまで描けないと思う、見事です。序盤、妹の辛い環境が辛かった。海への拒絶反応や親の衝動的な悲しみになすすべなく巻き込まれてしまうところとか。人は弱いから、どうしてもそのコミュニティで一番弱い人間(自分を守る術をもたない子ども)に皺寄せがいってしまったり、当たられてしまったりする。してしまった方は自己嫌悪でいっぱいになるけれど、相手にぶつけた傷は消えないし、すでに自分でいっぱいいっぱいで、自分自身すら大切に出来ない母親は我が子の悲しみに対応することができない。人に寄り添うって難しいとあらためて思いました。寄り添う覚悟がないのに口出ししたがる無神経な人間がこの世には多すぎます。父親は遅すぎる。あの状態の母親を一人にしといたなんて。刑務所だから仕方のないことだけれど、もう修復不可能なことが人の気持ちにはあるんだよ・・・(涙)あと実は、私も遺族会なるものをまだ信じていないです。あれは正常性バイアスが正常に働く人たちのものだと思っている。同じ立場になったら情報交換以外の使い方するのかな?スホ役が最近ネクストブレイクなユン・チャニョンだった。もうあんな悲しい事故が起こらないことを祈っています。2020年公開。
「ブーブル」
トリプティ・ディムリ主演他。20世紀初頭のインド。10歳で裕福な領主のもとへ嫁いだブーブル(トリプティ・ディムリ)。夫であるイントラニルの屋敷には義弟夫婦とルーブルと年近いイントラニルの弟サティアが暮らしていた。サティアと兄弟のように育ったブーブルだったが、二人の仲に嫉妬した夫により、サティアはロンドンへ留学させられてしまう。20年後。領地では男性が次々と殺される連続殺人事件が起こっていた。ロンドンで法律を学んでいたサティアは5年ぶりに帰郷するが、無邪気だった面影は消え、妖艶な美女へと成長したブーブルの姿に驚きを隠せない。サティアは犯人捜しに乗り出すが、そこにはブーブルの悲しくも衝撃的な過去が隠されていた・・・。インドの児童婚慣習に切り込んだヒューマン・ダークファンタジー。
2点!!ボリウッドのスリラーというかダークファンタジー調の作品は初めて。燃える広大な森とヒロインのコントラストなど映像が大胆で美しかったです。ストーリーは児童婚の悪習を描いてはいるけれど、ファンタジーに寄り過ぎて、いまいち切り込めていない感じ。展開自体も意外性はゼロでふわっと1時間半で終わります。これ3時間だったらキツいだろうなー。女性たちが不幸になるとわかっていながら娘や孫を送り出すことを止めなければ、男性社会と戦う日など一生来ないと感じました。同性の敵は異性の筈なのに実際に足を引っ張るのは同性。その同性を頭から抑えつけているのが異性。この構図を何とかしなければいけないと思います。行動に移した女性を白い目で見る傾向がインドはより強いイメージがあるので、そこですよね(>_<)なんかこの三角関係の構図とファンタジー感、どこかの古典と似ている気がするのだけど、どこで読んだんだろう?オマージュがあるのかな? ラストは現実で落とし前つけて欲しかったです。2020年劇場未公開・NETFLIX公開作品。
「さくら」
北村匠海主演他。それでも、僕たちはずっと生きていく。音信不通だった父(永瀬正敏)が2年ぶりに家に帰ってくる。長谷川家の次男・薫(北村匠海)は、その年の暮れに実家へと向かった。けれど兄の一(吉沢亮)の姿はない・・・。薫にとって幼い頃からヒーローのような憧れの存在だったハジメは、2年前のあの日、亡くなった。そしてハジメの死をきっかけに家族はバラバラになり、その灯火はいまにも消えそうだ。そのつながりを繋ぎ止めるかのように、薫は幼い頃の記憶を回想する。それは、妹・美貴(小松菜奈)の誕生、家族の一員となる犬・サクラとの出会い、引っ越し、初めての恋と失恋・・・長谷川家の5人とサクラが過ごしたかけがえのない日々。やがて壊れかけた家族をもう一度つなぐ奇跡ようなの出来事が、大晦日に訪れようとしていた―。ヒーローだった兄の死から2年―ありふれた家族のきれいごとじゃない物語。
6点!!西加奈子作品は読めるけどクリーンヒットなものが少ないので本原作も未読です。本作もこう、人間の言葉にしにくいもやもや、ドロドロ感情を描いているけれど、本当にありふれた家族の延長戦上にあるものとして描かれているので、どこかしらピントを合わせられる作品となっています。恋愛ではなく家族を描いているからかな?序盤から結構ハードモードな家族でちょっと引いちゃうけれど、美貴の心の内はどうなんだろう?後悔?逢いたい?どっち寄りなんだろう?両親は気づいていたけど、そこまでとは思ってなかったのかな?心の内が見えないって不気味ですよね。ほんの少し、何ミリかのズレにも気づけないままになってしまう・・・。自分の気持ちと同じくらい相手の気持ちを大事に出来たら、世界は優しくなるのかな?さくら=犬はメインで描かれているわけじゃないけれど、動物の温かさに救われたり勇気をもらったり、それでも乗り越えられないものがあったりという人生を絶妙に表現していたと思います。なかなか、観る気が起こらなかったけれど、良い作品でした。2020年公開。
「ディヴァイン・フューリー/使者」
パク・ソジュン主演他。総合格闘家の若き世界チャンピオン・ヨンフ(パク・ソジュン)。彼は幼少期に事故により父を亡くし、神への信仰を失ったまま成長した。ある日、ヨンフは右手に見覚えのない傷ができていることが気がつく。彼は傷について調べるうちに、何かに導かれるかのようにバチカンから派遣されてきたエクソシストのアン神父(アン・ソンギ)に出会い、自身に正義の力が隠されていることを知る。一方、街にはびこる悪が密かに彼らの前に迫っていた・・・。若き格闘家とベテラン神父が悪に挑む!新次元エクソシズム・アクション・エンターテインメント!
1点!!ウ・ドファン目当て。まさかマーベル、これ観てパク・ソジュンにオファーしたんじゃ・・・と心配になるほど、映像技術だけに頼りきった内容のない映画。3人ともの背景も行動動機が薄い、もしくは全く語られないので、本当にただの除霊を観させられ続ける2時間強でした。しかも、チェ・ウシクまで絡んできてさらに背景不明のキャラクターが増えてる(>_<) ヨンフが最初からサラッと除霊に同行し始めるけど、行きがかり上とかではなく、観客が「え?なんでついてきてるの?暇なの?」と混乱してしまうくらい行動理由が読めない。。。人となりも薄いですしね。その割に脇役が豪華でますます???に。続編示唆してるけど、破壊的にアクションが凄いわけでもないし、無理じゃないかな。2020年公開。
「マザー」
長澤まさみ主演他。こんな母親でも僕にとって世界(すべて)。すべてを狂わせる<この女>聖母か。怪物か。男たちとゆきずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきた女・秋子(長澤まさみ)。シングルマザーである彼女は、息子の周平(奥平大兼)に奇妙な執着を見せる。周平を自分の分身として、忠実であることを強いる秋子。そんな母からの歪んだ愛の形しか知らず、それに翻弄されながらも、応えようとする周平。周平の小さな世界には、こんな母親しか頼るものはなかった。やがて身内からも絶縁され、次第に社会から孤立していく親子。そして、17歳に成長した周平は、ひとつの殺害事件を起こす。妹・冬華の存在に希望を見出し、学ぶことで自分の世界を広げようとした周平を何が追い込んだのか?彼が罪を犯してまで守ろうとしたものとは?母と息子。ひとつの殺害事件。実話をベースに描く衝撃作。
9点!!「(秋子が)いないとどうしていいかわからない」ではなく、「お母さんのことが好きだ」と周平は言った。この言葉がこの事件の切ない真実なのだと思う。だって周平は「ずっとダメだと知っていた」のだから。秋子は自分の身を堕とすのではなく、傍にいる存在を堕とす、たとえそれが大切な人でさえ誰彼問わず寄りかかれると思ったら寄りかかる恋愛依存なのだと思う。そうすることでしか生きていけないと思い込んでいる人間は世の中に一定数いるし、そういう人を知っている。本作では長澤まさみが演じているから美人だけど、世の男性は顔が良くなくてもスタイルが良くなくても、一瞬の気の迷いで女性を抱いてしまうし、してしまったら最後、情が湧いてしまう生き物なのだと思う。周平の小さな世界の法律は秋子そのもので、その法律はいつも間違った答えしか示してはくれない。おかしい、ダメだと思っても、法律だから従うしか道はないのだ。それでも、逮捕されることで、秋子と引き離され、周平は共依存から抜け出せるかも知れない。けれど、秋子は一生抜けられないと思う。抜け出すことを拒絶しているし、ロックオンできる可能性が高い周平を手放すわけがないから。周平が共依存から抜け出せたとしても、秋子が抜け出せなかった場合、周平の心はきっとずっと苦しい。それが虐待された子の典型的な特徴であり、典型的なのに抜け出し、完治する方法はいまだないからだ。周平役を演じた奥平大兼(おくだいらだいけん)と郡司翔がとても上手くて驚いた。是枝監督に演出されているのかと思った(爆)長澤まさみも素晴らしくて、作品をリードし質を上げていたし、「キングダム」じゃなくて本作で日本アカデミー賞を獲るべきだったと思った(爆)2020年公開。
「生きちゃった」
仲野太賀主演他。心を、本音を、押し殺して生きている。幼馴染の厚久(仲野太賀)と武田(若葉竜也)。そして奈津美(大島優子)。学生時代から、3人はいつも一緒に過ごしてきた。そして、ふたりの男はひとりの女性を愛した。30歳になった今、厚久と奈津美は結婚し、5歳の娘がいる。ささやかな暮らし、それなりの生活。だがある日、厚久が会社を早退して家に帰ると、奈津美が見知らぬ男と肌を重ねていた。その日を境に厚久と奈津美、武田の歪んでいた関係が動き出す。そして待ち構えていたのは壮絶な運命だった。なぜ、こんなにも魂が震えるのだろうか。なぜ、こんなにも彼らに共鳴するのだろうか?石井裕也監督、渾身のオリジナル最新作にして原点回帰作。
7点!!太賀と若葉竜也ってファン層被ってるので、一部にはこの二人ってだけでたまらない映画で、私もこの二人目当て。男女のマイナス部分あるあるな話で、耳に痛いし、いつ自分がそうなるとも限らない話。日本人が英語だといきなり饒舌になるあるあるは、日本人同士だと意見を言うと冷めた目で見られるとか否定されるとかあるけど、外人相手だと良いリアクションが返ってくるって期待しているからだと思う。つまり、肯定してもらいたい願望。だから、理想の自分を出せたりする。でも、英会話やインドに行って人生変われるなら、自分の中に変われる力があるのに出せてないだけだし、出さないというストッパーをかけてるのは自分一人だけだから。引き返すタイミング、人生の岐路ってその場気づいて動くのはほぼ無理だし、だからこそ成功者はほんの一握りなのだと思う。奈津美は最期に何を思ったのだろうか?誰かに届けたい想いが最期だったのだろうか?元妻という一度守ると決めた人を亡くしても、彼はきっと変わらない。変われるんだったら、これまでの幾つかの岐路で変われたと思うし、再起不能みたいな顔をしても、彼自身は何も変わらないし、変えるつもりもない。また、本当にいたのか扱いにして、良かったことも悪かったこともボンヤリと片づけてしまうやつ。罪悪感のある被害者面だと思う。日本人だからじゃねーよ、そういう風に育てられ、仕方ないと許されてきた結果だよって腹が立った。「言ったってどうにもならない」で片づけちゃう自己完結型男。それが自分を想ってくれる人たちをどれだけ傷つけて、気を遣わしてるのかわかってるの?なんで、鳩が豆鉄砲を食ったような顔してるの?どうにもなって欲しいのなら、どうにかしろよって思った。頑張れって傍にいてくれる人がいるうちは、自分壊してでも殻突き破りなよって思った。別に日本人だからじゃない。このタイプはどこの国にも一定数いる。どこかの誰かの話かと思って、めっちゃ共感して腹立ったけど、言葉に出来ない人たちの心情はよく描けてるし、太賀と若葉竜也のこういうじんわりグサグサ系ケミは最高でした。石井裕也監督作の中では一番好きかも。2020年公開。
「レディ・マクベス」
フローレンス・ピュー主演他。19世紀後半の英国。裕福な商家に嫁いだ17歳のキャサリン(フローレンス・ピュー)。気難しい40歳の夫は彼女に興味がなく、体の関係を持たない。意地悪な舅からは外出を禁じられ、人里離れた屋敷で退屈な生活を送っていた。ある日、夫の留守中に若い使用人に誘惑され不倫関係となったキャサリン。抑え込まれていたものが解き放たれ、少女は欲望を満たすため、邪魔者を許さない純粋で残酷な怪物へと変貌していく。世界の映画祭・映画賞で絶賛の嵐!アカデミー賞女優賞ノミネート、フローレンス・ピューの原点作。
5点!!フローレンス・ピューの2016年の初主演作。顔めっちゃ幼い!と思ったら当たり前か(^^;) それでもラストシーンは冒頭と同じ構図カットで一気に老け込んだ険しい表情を魅せていて、流石、演技で引き込むフローレンス・ピューでした。でも、大作以外は殆ど彼女の演技力頼りの実に微妙な作品に出ることが多く、本作もそう。シンプルなストーリーで彼女の演技だけで見せていく構図になっていて、他の俳優さんの演技が光っているということもなく。アナ役の女優さんは結構イイ線いってたと思います。愛というより欲ですよね。ただの欲なら去る者は追わず次に鞍替えすればいいと思うのだけど、それをしないのは、経験が少ない故の子どものような執着心なんでしょう。ただ、そんな彼女をレディ・マクベスに例えていますが、キャサリンの周囲の人々も貴族の仮面をつけているだけで相当非道な人々の集まりなので、彼女だけが突出して悪というわけではなく。殺害は飛び越えちゃった感あるけど、不倫程度ならあの環境では誰もキャサリンを責められないと思います。男性は許してもらえて、女性だと責められがち、騒がれがちなのは現代でも変わっておらず、何百年経っても殆ど変わらないのかーと思うとこの世に絶望を覚えます。傷つける側にも傷つけられる側にもなりたくない。でも、そうしないと囚われのキャサリン如く、部屋にこもりっきりでいるしかなくなり、人生が色褪せ死んでしまう。それを数百年、見て見ぬふり、鈍いふりをし続ける男性って相当、邪悪な存在だなと思ってしまいました。初主演から発掘されて当たり前の凄みある演技を見せているフローレンス・ピューには次はエンタメとしても楽しめる作品に出て欲しいです。2020年公開。